今は昔、金魚は皮膚科外来にもおりました
外用剤って気軽に使いますが、本来は指導が命です
でも、指導がされてなかったり、理解されてなかったり
なので、参考までに「なぜ」そうするかわかると良いかもですね




化学療法中は、ヒルドイドまたはビーソフテン(ヒルドイドのジェネリック)がよく処方されるけど
保湿剤と言えば、ラップ系とスポンジ系の二種類があり
ラップ系は皮膚を覆って乾燥を防ぐ(刺激少なし)、ワセリンなど
シアバターやホホバなんかも、この系列
こってりしたテクスチャーで、体温で溶けてテカテカ、ベタつく
他の外用剤を塗って最後に塗ると蓋をする感じに・・・・
冬は便利

スポンジ系は、水分を抱き込んでキープしてくれる
ヒルドイド以外にも尿素のウレパールやヒアルロン酸、セラミドなど
塗り心地も良いので使いやすいけど、意外にもかぶれる人も
乾燥性の皮膚疾患では必須に
そして、他の軟膏より先に塗ることが多い


スポンジ系のヒルドイドは、ヘパリン類似物質が主成分
皮膚に水分を補給する、傷の修復、高い保湿力、血行促進作用、血液凝固を防ぐ、鬱血を改善する、傷の治りを早める・・・軽い抗炎症作用もアリ
肌に浸透し肌の水分と結合し水分量を増やすから美容液替わりに使う人も居るわけ
ヒルドイドクリームは、さらっとしているから夏向き
添加物のラノリンアルコールがアレルギーを起こしやすい

ヒルドイドソフト軟膏はどろっとしているが添加物が少ない
クリームからアルコール、ラノリン等を抜き、軽質流動パラフィン、セレシン、スクワラン、サラシミツロウ等の保湿成分を加えたものだから
皮膚水分の蒸発を防ぐ働きクリームと軟膏の中間の特性

実はローションもあるヒルドイド
クリームと同様にラノリンが添加してあって金魚は使えません

この2つは痒くなる人は止めましょう
軟膏以外は化学療法中はあまり使わないかも


ヒルドイドは、出血のある部分や粘膜、ジュクジュクしたところは禁忌
(こういう所は吸収率があがり、刺激で悪化の可能性も

ヒルドイド顔に塗らないようにというのは、顔の皮膚はとても薄いので炎症が強ければ逆に赤みを誘発してしまうから
なので、既に皮膚障害が強すぎる場合はワセリンで保湿した方が良いです



ワセリンと併用する場合はヒルドイドが先でワセリンが後
ワセリンの特性を先に述べた通りデス
傷跡を治す目的なら、火傷や虫さされの黒ずみにはよく効き
早ければ早いほど効果がありアットノンなんて言う名前でも出てたり
表皮の生まれ変りをサポートする(28日で生まれ変わる時に、栄養が行き渡るようになる)
シワやくすみやたるみにつける芸能人がいるわけ


このようなヒルドイドは、分子標的抗がん剤導入時には予防的に使用
その後、炎症がひどい場合には止めてステロイド主体にする
という調整が必要デス(投与後2週後くらいかな)
手足に起きる乾燥性皮膚炎には、1日3回(回数が多いほど効くと言われる)、夜など外に出ない時間帯はワセリンも重ねて靴下を
化学療法と手足ケア2(軟膏の塗り方)
で書いたように重症度に合わせてステロイドを正しく使うのが大事


ざ瘡様皮疹は顔や胸などにもでき、基本的には無菌性で普通のニキビとは違います
でも、時には膿むこともあり、手当を間違うと痕が残る色素沈着に
炎症がひどくなったら(1~2週)はヒルドイドを止め、ステロイドの強めにする
ここでガッチリ叩いて、強いステロイドは長期使用しないことが多い
(皮膚が薄くなったり、二次感染が心配だから)
にきび治療薬アダパレンゲルに切り替えるのが良いと言われてマス
薬の影響で角質化した細胞が、毛穴をふさいでしまうので
洗顔がかなり大事(こすらないけれど、濡らしてから大量の泡できちんと)、そして5分以内に保湿
炎症がありしみるようなら、保湿はワセリンなどに切り替えを勧められると思います
ステロイド使用中は、日焼け厳禁なので顔は特に注意
みんなが皮膚科医のフォローを受けられたら良いのだけど

ヒルドイド、市販品もあるんですけどね

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