海外患者搬送を20年も行っていれば、
多くの航空機会社のお世話になってきた。
しかし、テルアビブ行きのイスラエル航空の利用は初め、
以前のキャリアは2013年のエールフランスであった。
午前中に患者さんをピックアップして、
東北道を南下、一路、成田国際空港へと向かう。
成田出発は午後7時30分であるが、
既に1時間以上、遅延しているとの情報。
制限区域に乗り入れるため、
空港で1時間程の待機となる予定が3時間の待機。
気がつけばアラブ系の私服保安要員が車の周りに、
目の前にあるのは「世界一普通ではない」イスラエル航空の機体である。
自国では戦争の真っ只中、
世界でも珍しい赤外線ホーミングの地対空ミサイルを避けるための
「フライト・ガード」が搭載されている。
あの航空機会社である。
結局、3時間30分の待機でようやく患者さんは搭乗、
「機内の何にも手を触れるな」等と言われながら、
直ちに降機、空港を離脱した。
8時間以上の患者さんの管理、搬送よりも、
搭乗に世界一厳しい航空機会社の洗礼が、
もっとも難儀であった。