『罪と罰』ドストエフスキー:いまでもこれより面白い小説はない。 | lideli-rev

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罪と罰 (上巻) (新潮文庫)/ドストエフスキー

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罪と罰をはじめて読破したのは、19才の春だったかな。
自分が世界一だと思う人たちみんなが、ドストエフスキーに影響を受けたといっていた。タルコフスキー、黒澤明、手塚治虫、小林秀雄などなど。当時そんな人たちと同じ列に並びたいとおもっていて、ドストエフスキーを読破することはその大きな関門だった。

多分、8回目にしてようやく読破。はじめはチンプンカンプンで、その後も何度も読んだ。
サスペンスだってことはわかってたけど、そのうち感動巨編ということもわかってきた。
ストーリーのプロットも素晴らしく、スヴィドリガイロフのような極めて魅力的な悪役もいる。
実は、たった7日間(だったかな)の物語だったというのは、解説本を読んで初めて知った。
読みにくいのは、ひとつに自意識を克明に描く表現方法という、この作品独特の作風による、ということと、当時読んでいた米川正夫訳にすごいクセがあることに起因していると、後々理解。

そこまでわかってくると、本作の深遠さ、テーマの壮大さ、やさしさがわかってきた。
娘を売春させる酔っぱらいのオヤジから、殺人鬼(?)、役立たずの役人など、その全てをまるごと救ってしまおうとという作家の姿勢に、自分の世界の見方の狭さを気付かされた感じ。

空前絶後、僕が読んだ小説でこんな本は他に無い。
面白いストーリーやキャラクターはいくらでもいるだろうけど、人間表現の深さと的確さは他に例を見ないように思う。

同じ頃に読んだドストエフスキーの同時代の文豪トルストイは、つまらなかった。(『復活』)
あまりの倫理観の薄さに、正直主人公が馬鹿みたい。その主人公の薄さこそ倫理性の高さというような作家の姿勢が嫌い。

そう思うと、時代をくぐり抜け、古典となる作品って『罪と罰』のような深さに到達することなのかな。

謎とき『罪と罰』 (新潮選書)/江川 卓

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罪と罰 (手塚治虫漫画全集 (10))/手塚 治虫

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