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海にゐるのは、
あれは人魚ではないのです。
海にゐるのは、
あれは、浪ばかり。
中原中也 「北の海」より
不出世の詩人、中原中也の詩集。
「汚れつちまつた悲しみに」「北の海」「サーカス」など、誰もが一度は目にしたことのある名作が収録されています。
繊細で瑞々しい言葉と旋律。
日がな一日空を眺めて過ごしていたいと思う作品。
あくせく働くのが嫌になるので、休日に読むのがおすすめ。
ふとした拍子に、コマーシャルソングかなんかが頭の中に浮かび、延々とエンドレスで流れ続ける事がありませんか。
あれはなんとなく嫌なものですが、詩にも似たような効果があると思います。
心地よい言葉のリズム感があって、気づくと頭の中で詩の一節を繰り返していたりします。
続きが思い出せなくてイライラし、本棚から詩集を引っ張りだしてしばらく読む。
で、ほんとにいい詩だなあ、と思って良い気分になります。
忘れたり思い出したりして、牛のように反芻しながら諳んじるのが詩の醍醐味ではないでしょうか。
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