『デビルマン』永井豪:世界の滅亡を直接描いた、多分はじめての作品かな。 | lideli-rev

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世界が滅亡する物語は多いけど、その過程を綿密に描いたマンガは、歴史的にこれがはじめてじゃないかな。
手塚治虫『火の鳥』でも歴史の中でさらっと文明が滅亡するけど、その過程が詳しく描かれることは、多分なかった。楳図かづおの『漂流教室』は滅亡後が描かれているが、その過程は描かれていない。
しかも、その過程は悪役であるデーモンによってもたらされたものではあるが、半分は人類自身の集団ヒステリーによる。ヒロインの死に方は特にショッキングで、日本漫画界のヒロインの死に方として、いまなお最悪ではないか。

1972年~の作品で、物心ついたころ、すでに名作だった。読んで名作だと思い、いまでもその地位は揺るがない。時々新版が出る。人気は健在だ。ファンも多く、映画『デビルマン』への酷評は、あの名作の映画化だからこそ、そのあまりの出来の悪さへの恨みも大きいのだろう。(すみません、見てませんが)

小説にまで拡げると、1964年に小松左京の『復活の日』がある。細菌兵器の事故で世界が滅亡するという話で、滅亡の過程が描かれるものの、人類はなす術も無く実に静かに坦々と滅亡していく。
比べると、何とデビルマンはアグレッシブな滅亡だろうか。

今思うと、ネタはクトゥルフ神話なんでしょうけど、実際クトゥルフ神話関係の作品を読んでも若干がっかり。旧支配者の、ある意味バカみたいな造形はあんまり魅力を感じない。
本作は、世界でもっとも成功したクトゥルフ神話の亜流と評価していいんじゃないかなぁ。



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