八ヶ岳音楽祭
オペラ「愛の妙薬」

無事、公演を終えることが出来ました。


昨年末ぐらいからスタートしたプロダクション。今回は僕が演出も含めて、取り仕切らせていただくことになり、プロデューサーの細洞寛さん、合唱インスペクターの松本六郎さんをはじめ、現地スタッフの皆さんと連絡を取り合いながら進めてきました。



3月から甲府市在住の前原加奈さんに合唱指導を始めていただき、僕が最初に稽古に出向いたのは6月末でした。



北杜市での合唱稽古と、東京でのソリスト稽古を並行して行っていき、9月には初の合同稽古。順調に本番へと向けて積み重ねたいきました。




ところが、本番1週間前に前原さんの体調不良による降板→急遽代役を、たまたま同時期に別件で連絡を取り合っていた中野亜維里さんが務めてくださることになりました。中野さんは別組ではありましたが7月に杉並公会堂で「愛の妙薬」をご一緒していまして、これ以上ない形でアディーナ役を引き受けていただきました。


とは言え、どちらも日本語訳詞公演ではありながら、使用している訳詞は別のもの。もちろん演出もまるで違うので、わずか1週間で組み立て直していきました。想像を絶する大変な作業を、笑顔で引き受け、公演中止の危機を救ってくださり、更には新座長として公演を牽引してくださった中野さんには、心より感謝いたします。

アディーナ役の中野亜維里さん

…この笑顔に本当に救われました




佐伯正則マエストロ、ネモリーノ役の青地英幸さん、ドゥルカマーラ役の平岡基くん、ジャンネッタ役の浅川萌瑛さんによるチームワークが最高でした。



そして、合唱団がとても素晴らしかったです。こちらの要求を120%にして返してくれて、とても生き生きと演じてくださいました。それぞれの役柄をお渡ししたら、各々に考えて、自分の役を全うするエネルギーが舞台を彩っていました。



そして、スタッフの皆様。

プロデューサーの細洞寛さんに支えていただき、また合唱インスペクターの松本六郎さんとの連携がとてもスムーズで、おかげさまでいろいろなことが実現しました。

照明スタッフの皆様やお手伝いしてくださった方々も、逐一お声がけくださるので、安心してお仕事をお任せすることができました。



そして北杜市の職員さんで、今回の事業を担当してくださった輿水さん。とても実直な方で、情熱的で…昨日、会場入りしたら、受付にすごい「書」がありました。


僕の身長をはるかに超える大きさの「愛」…輿水さんの書です。


言葉や行動よりも、心で私たちを応援してくださっている想いが伝わってきて、胸が熱くなりました。ありがとうございました。



そしてそして、今回残念ながら降板せざるを得なくなってしまった前原さん。誰よりもこの舞台を牽引してきた第一人者である当人が、誰よりも悔しかったと思います。現在は体調も回復しているとのこと。「コロナ」という規定のもと、本人には落ち度は何もないのにこのような形になってしまったこと、本当に無念でなりません。でもまた必ずしご一緒できる機会があるはずですから、これからもよろしくお願いします。


お茶目な青地ネモリーノと佐伯マエストロ




今回は、コロナ禍でのオペラ公演の大変さと、そんな中でもオペラを公演する意義を、とても感じる公演でした。
市の職員さんや、舞台スタッフさん、そして関係者各位の方々のご協力なければ、実現出来なかったであろう、心のこもった舞台になりました。

そして何よりも、ご来場くださった皆様のおかげで、無事に興行できました。本当にありがとうございました。