大変な一年…と表現するのは短絡的かな、と思えるほど濃厚な時間でした。



2020年はニューイヤーコンサートから始まり、1月31日に東京文化会館小ホールでの2回目のリサイタル「古澤利人リサイタル2021」を開催しました。


そこから2月に入ると新型コロナウイルスの話題が増えていき、ヨーロッパでは医療崩壊などが起きているという報道を受け、3月に予定していたスペイン遠征を断念。緊急事態宣言も出され、自粛生活がスタートしました。


我が家では様々な準備が行われ、自宅に篭りながらも日常を楽しむべくホットプレート生活や家庭菜園、てんとう虫採取の為に毎日近くの土手を散歩したり…とにかく子供たちと毎日ずーっと一緒にいる生活は、長男が生まれた7年前から一度もなかったので新鮮であると共に、子供たちと毎日24時間過ごしてきた妻の大変さをやっと思い知りました。今までごめんね。



家族との生活を何よりも最優先に考えつつ、生活をする為には仕事もしなければならない。


ところが指導していた合唱団は全て活動休止。かろうじてボーカルレッスンの講師を務めているT1projectが6月から活動再開したのが唯一の仕事といった状況でした。


とは言え、僕も春から準備は進めていて、Zoomなどを使いこなせるようになり、これまでやったことのなかった「オンライン・レッスン」や「オンライン講座」を実施。「りも芝居」や「おうちでなつうた」なども実験を繰り返しながら少しずつ様式を整えていき、今や僕の生活のメインコンテンツの一つになっていきました。



それらを通して新たな出会いがあったり、未知なる体験もあったりして、なかなかエキサイティングな毎日を過ごしていて、今思えばとてもドキドキワクワクした時間だったと思います。


そして夏の終わりからミュージカル「ひめゆり」の稽古がスタート。個人的には悪戦苦闘しながらも徐々に良い方向に進んでいき、ラストスパートをかけ始めたところで例の事件が起きてしまいました。稽古場での大規模なクラスタ感染。僕も新型コロナウイルス感染症を患ってしまいました。


発症から10日間の療養が義務付けられました。
…PCR検査の実施、陽性判定からのホテル療養7日間。そして療養終えても「感染者」というレッテルに悩む日々。意を決して感染したことを公表し、むしろ体験談としての情報を発信することで、役立てられないか、と考えました。このコロナ感染を通していろんな人の内面が垣間見えたりして、これまでの人間関係に亀裂が入ったり、実際に別れもありました。そしてその反対に本当に自分を信じ、支えてくれた方々への感謝の気持ちがこれまで以上に大きくなりました。



その後、すっかり衰えてしまった声を取り戻すべく、改めて父から歌のレッスンを授かったり、自分でも一から勉強をし直して、声のチューンナップを行いました。ずいぶん声が変わりましたよ。


12月には一度中止になった新作オペラ「クリスマス・キャロル」のハイライト再演が実施され、大好きなスクルージ役を全力で演じることができました。そして、その後は来年のリサイタルに向けて真っしぐらです。
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この一年、実は公には出来ないところで個人的には大変ショックなことが幾つもありました。とても悲しかったり、傷ついたり…でもそんなことで暗い顔はできません。前を、上を向きます。


クリスマスにはずっと応援してきた西野亮廣さんの映画「えんとつ町のプペル」が公開されました。その中で印象に残るセリフがあります。

「下を見るから揺れるんだ。上を向きな」

これはまさにこのコロナ禍で打ちひしがれた僕たちに向けられたセリフになりました。諦めるな。白旗を上げるには早すぎる。そう鼓舞されているようでした。



来年頭のリサイタル実施については、表立っては皆様から応援していただいていますが、裏では賛否両論あると思います。僕自身が迷っているのですから当然です。


でも、だからこそ、今は下を向かず、前を見据えて全力で走ります。その結果、つまづいて豪快に転んだって良いと思います。僕が怪我して恥をかくのは一向に構わない。むしろたくさんいじってもらって美味しい、と考えるようにしています。実施したことで感染者を絶対に一人も出さない。それだけが僕に与えられたゴールです。


まずはお客様の安全・安心を第一に徹底的な感染防止策と、きちんとして舵取りを。その上で実施できることを祈りながら、きちんと準備をしていきます。頑張ります。ぜひ最後まで見届けてください。


今年は大変お世話になりました。
来年もよろしくお願いいたします。
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「古澤利人リサイタル2021

202118日(金)

18:15開場/19:00開演

東京文化会館小ホール

JR上野駅(公園口)から徒歩1

全席指定:5,000

【出演者】

古澤利人、池谷京子、古澤泉、古澤利空

石渡裕貴(ピアノ)

感染予防の為、千鳥格子型に空席を設け、客席収容人数を半分に設定しております。当日は検温、手指消毒、マスク着用をお願いしてご来場いただきます。


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