新緑の坂道。
つい半月前は桜並木だったのに、今はもう青々と。
この自然界の変化の大きさに比べて、
人間の変化や成長がなんと小さいことか。

今日も午前中は劇団青年座研究所での授業。
いっぱいいっぱい盛り込んでしまったけど、
みんな楽しそうについてきてくれたから、
本当にありがたい。
若い子たちの瞬発力や、向上心はすごい。
ただ、きっと忘れるのも早い。
それは取り込む情報が多すぎるから。
だから、それをきちんと整理して、
自分の中にストックできるか。
しかも、それは取り出したいときに、
すぐ取り出せるようにしておかなければならない。
という情報処理能力が、大切。
かく言う僕も、
例えばいま生徒さんたちに教えている口腔内の息の当て方で母音の響きを生み出す方法は、僕が中学生の時に音楽の授業で教わった方法をアレンジしたもの。
こんなことを中学生に教えてくれていた音楽の宮澤先生もすごいなぁ、と思うが、それを今でも覚えていて、活用している僕の情報保管能力も大したものだ、と自画自賛したくなる。
青々と繁る草花や木々の葉は、
このあと黄朱色に色づいて、やがては枯れ落ち、
冬の間は次の開花の準備を始める。
古来からの記憶を脈々と引き継ぎ、
当たり前のように変化を繰り返していく。
人はその中でどのように生き、
何を想えば良いのか。
そして、何を蓄えていくべきなのか。
飽和した情報や感覚の中から、
自らの知性と良識で選びとり、
きちんと我が物として取り込む能力を、
これからも育んでいきたい。
…と思った春の朝だった。