
「これから新宿へ行きます。
少しでもいいので会えないでしょうか?」
突如鳴った電話口から聴こえる
甘く妖艶な声。
自分が常にその動向をチェックしているラッパーであり、
昨年自身で立ち上げたレーベル「forte」代表の
HAIIRO DE ROSSIからの呼び出しとくれば、
断るわけにはいかない。
半年以上ぶりの再会
その用件はforteの第一弾リリース
「TAKUMA THE GREAT」のデビューアルバムのCDサンプルの受け渡し。
このデータ/便利社会において、
わざわざCDを手渡しで渡してくるあたりに
彼の人間性が十二分に伺える。
「TAKUMA THE GREAT」を初めて知ったのは
昨年初夏の町田のクラブ。
初めてライブを観たその瞬間、
久々に耳と心をガシッと鷲掴みにされたのは
今でもよく覚えている。
ただのバイリンガルにあらず、
言葉一語一句のスピット具合、抜群のリズム感、
数々の経験から吐き出されるリリックと
ラッパーに必要な全てを極めて高いレベルで常備した上で
圧倒的なオリジナリティーを兼ね備えてるときてるから
手に負えない。
まさに日本語ラップシーンに現れた
新たな希望と可能性と言えるであろう。
そんなTAKUMA THE GREATを世に放ったHAIIRO DE ROSSI。
彼もまたTAKUMA THE GREAT同様、稀代のラッパーであり、
これからもっともっと突き抜けていって欲しいアーティストである。
肉体的/精神的ともに
数々の修羅場をくぐってきたのであろう。
久々に会った彼はさらに深みと凄み、
そして少しの尖りと優しさを放ちながら、
うつむき加減のいつもの佇まいで淡々と言葉を紡ぎ出していた。
彼に会うといつも感じるのは仲間意識と地元意識。
それこそがHip Hopマインドの根幹を成していることは言うまでもなく、
これだけ多様化したHip Hopシーンにおいて
今なお、B-Boyマインドを感じる数少ない一人である。
そんなHAIIRO DE ROSSIが主宰するレーベル
「forte」渾身の一枚
TAKUMA THE GREAT "TAKUMA THE GREAT"。
日本語のラップに少しでも興味があるようでしたら
是非、聴いてみて下さい!!