開業して20年も経つと患者さんの年齢層も変わってくるわけでして、当時赤ちゃんだった子供も成人するといったように、月日の流れを実感することも多々あります。家庭の事情等で来院が途絶えた人もいるでしょうし、特にここ最近めっきり減ったなぁと思うのは患者さんの通う学校の吹奏楽部の演奏会への協賛金の寄附依頼です。つい先日久しぶりに患者さんから依頼があって、歓んで協力させていただきました。その患者さんも当院初診時はまだまだ幼く、その子が高校生になったという事実に目を細めるばかりです。 演奏会といえば思い出す忘れ得ぬエピソードがあります。プログラムが完成したら、協賛金の対価(?)として招待チケットもいただいたりするのですが、何かと理由をつけて滅多に行くことはありませんでした。ただ一度だけ、たまたま時間ができたのでフラッと覗いてみたことがありました。観客席に座り、患者さん本人の演奏が終わったら帰ろうかと軽い気持ちだったのですが、なぜかプログラム一曲目から最後の曲目まで涙が溢れて止まらなかったことがあります。一生懸命練習したその成果を発表する姿に感動したためかどうか未だに理由がわからないのですが、周りからは変な人だと思われていたかもしれません。おそらく私の人生でも指折りの不思議な体験だったと思います。 私が小学校の頃は年一回学習発表会なる行事があって(今でもあるのでしょうが)、寸劇・合奏・合唱などを保護者を中心とした観客に披露します。今でも記憶に残っているのは、寸劇では狂言(題目は附子だったと記憶しています)をしたこと。あとやはり音楽関係はよく覚えていて、合奏では「太平洋行進曲」、「君が代行進曲」を演じた記憶があります。考えてみれば、昭和41年生まれの私が小学生当時はまだ第二次世界大戦終戦から30年余りしか経っていなくて、この選曲も納得がいきます。合唱で思い出すのは中学生のお兄さんお姉さんが歌っていたリズミカルな「じんじん(沖縄の歌)」と壮大な「モルダウの流れ」です。自分も早く中学生になって歌いたいと羨望の眼差しで聴いていたことを思い出します。