当院ではマイナ保険証については特に声高に宣伝することなく、ただ「保険証をお持ちですか?」というスタンスで統一しています。マイナンバーカードが保険証として利用できること、マイナ保険証に一本化されること、これらは強引か否かはさておき、決定事項として話は前に進んでいます。利用率が低迷しているからと言って、そのプロパガンダをわれわれ医療現場に丸投げするようなトップの発言はやはり反感を買うでしょうし、それを拡大解釈して患者さんに伝えた結果、マイナ保険証以外の受診は後回しにされるとか、診療拒否されたなどというトラブルも起きているようです。人に物を伝える時、解釈は千差万別で、例えば「虫歯がありますね、治療しましょう」で治療を始めると、患者さんは「えっ、どんな治療されるの?。削って詰めるだけ?、神経取るの?、歯を抜くの?」といろいろ解釈できます。だからわれわれは、『どこにどの程度の虫歯があって、どのように治療するのが最も適切か、選択肢を示して、患者さんの社会的背景等も含めて最も利する方法を選んで、了承・納得の上で初めて治療が始まります。』 これでやっとわれわれと患者さんの治療に対するベクトルは同じ方向に向くことになるので、トラブルになる可能性も低くなります。マイナンバーカードについては今、政策を進める側と医療現場と患者さん(国民)のベクトルは必ずしも同じ方向に向いているとは言い難いのが現状ではないでしょうか。