え~お婆ちゃんといえば子供の頃に遊びに行くと
お小遣いをくれたりして、
姨捨山の話みたいなせつない話を聞くと、
子供の頃はご飯も喉を通らなくなりましたが…
まだまだ強烈なおばあちゃんというのは世の中にはいるもんで…
真夏の天気の良いある日…
快調に自転車をこいでいると…
「すみません!」
とおばあちゃんに声をかけられる…
道を聞かれるのかと思い…
自転車を停めると…
ガバッと腕をつかまれた…
またか…
正直、嫌な予感がした…
自転車にまたがっていた事もあり、今回は簡単には突き放せそうにない…
観念してとりあえず話を聞く事にはした…
この間、5分少々…
どうやらこのおばあちゃんは距離にして20kmくらいを炎天下の中、
徒歩で親戚の家を尋ねてたきたらしいのだが…
生憎留守で…
このまま、帰る元気もないらしい…
そりゃあそうだよ…めちゃめちゃ暑いもん…
下手すりゃ自分だって熱中症でたおれそうだよ…
涙目で「とっても可哀相なおばあちゃんなんです。」とか言っている…
突然、道端でこんな身の上話を聞かされても困るんですけど…
こっちの気持ちなどお構いなしに必死に話かけてくる…
どうやらお金が全くないらしい…
「あのね、おばあちゃん…駅前に交番があるからそこで相談した方が…」
と言うと…
「また、歩いてここまでお金を返しにくるのは大変だから…etc.」
などといい…いっこうに自分の腕を離してくれない…
それどころか益々、腕を掴む手に力が入ってる…
「あのね…だから僕をつかまえても何にも力にはなれませんよ…」
と困り果てた笑顔で言ってもなにがなんでも腕を話そうとしない…
しかもさっきは駒沢から来たって言ってたのに…
今度は江戸川区から来たとか言っている…
駒沢は世田谷区だよ…
気が動転してるんだろう…
どうやら帰りの交通費が欲しいのか…
自分の財布には1000円札がたしか3枚…
どうしよう、自分もあまりお金持ってないしな…
おばあちゃんの哀願が続く…
これも何かの縁か…わかったよ…
「少ないけど交通費に使って…」
と戻ってくる事はまずないだろうとわかってはいたが、
おばあちゃんの必死の哀願に負け、
自分の連絡先も教えずに1000円札を渡した…
その瞬間、手が離れたので自転車をこぎ距離をとった…
振り返るとおばあちゃんが両手を合せ感謝してくれている…
まあ、ちょっと怖かったけど良い事した後は気持ちがいいなぁ~
と思ったのもつかの間…
そのおばあちゃんが顔をあげた瞬間ニヤリと笑った…
明らかに先ほどの哀願していた潤んだ瞳とは違い、
悪意満ちた表情になっていた…
俺…ひょっとして…ボラレタ?
ここでUターンして取り返しに行って
騒がれたりしたら、さらに面倒にな事になりそうだ…
チックソォ~
お前なんか姨捨山があったら真っ先に捨ててやるからな~!!
…
…
…
でもこんなお婆ちゃんだったら逆に自分が置き去りにされそうだな…(笑)