78番目の図書館~人知れぬ物語たちの棚~ -6ページ目

初めまして、芦帆本那耶の「左の人」です。

先日、「右の人」が言っていた通り、芦帆本那耶は二人で一人です。

主に私がする予定ですが、お互いのペースでやっていきたいと思っています。

このブログでは、芦帆本那耶が館長としてたくさんのお話を紹介していきたいと思っています。

今は三題噺ばかりですが、いつかふつうのお話も紹介できたらと思っています。

では私もお話を紹介します。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「誕生日」「個別指導」「修学旅行」


「うわぁーやっぱりこの季節もまだ暑いよねー」

私は今修学旅行で京都に来ていて、友達の晴香と観光している。

やっぱり9月に入ったとはいえ、まだまだ暑かった。

「やばい暑いよね。こんな中じゃ観光どころじゃないよ~」

「まぁまぁ。雨降るよりかよくね?」

「まぁそうだけど…」

暑すぎて動くのもいやになってくる。はぁ、早くホテルに戻りたい…。

「あと軽くお土産買うだけだし、早めにホテル帰ろっか」

「賛成!!」

私は早くホテルでくつろぐため、急ぎ足でお土産屋さんに向かった。

「あ、これ可愛い!見て晴香、これすごいいいよ!」

「あ、本当だ。そうだ、こっちに試食があったよ」

私は晴香とはしゃぎながらお土産を見ていた。その時、晴香がぽそっと呟いた。

「ねぇ、美衣。今日、何の日か覚えてる?」

「え?何かあったっけ?」

そんな私の反応に、晴香は少し安心したような、しかし少し残念そうなそんな顔をした。

私はなんなのか考えていたものの、すぐお土産に気を取られてしまった。


「いっぱい買ったー!」

お土産を山ほど抱えた私は、ホテルまで意気揚々と向かっていた。

「ホントにいっぱい買ったね」

晴香は私を見て苦笑している。まぁいいもん。大は小を兼ねるって言うでしょ。

「ねぇ、美衣、ちょっとこのお店寄っていかない?和菓子きになっちゃって」

「いいね!寄る~」

珍しいな、晴香がそんなこと言うなんて。まぁいいや、ちょっと疲れちゃったし。私は晴香と二人でお店に入った。

「良い感じのお店だね!……あぁ、塾のみんなと一緒に来たかったなぁ…あとちょっとしか会えないし…」

修学旅行に出発する前に、塾のみんなとそんな話をしたのを思い出す。

私の通っている塾は個別指導の塾で、人数も少なく、仲もいい。もちろん、晴香も一緒の塾に行っている。でも、卒業したら私は引っ越ししてしまうからもう会えなくなってしまうのだ。…もっとたくさんの思い出が作りたかった。

「ねぇ美衣、もしここにみんなが着たら嬉しい?」

嬉しそうに晴香が笑いながら言う。なんでそんな嬉しそうなんだろう。

「もちろん嬉しいに決まってるじゃん。なんで?」

「じゃあ、こっちに来て!!」

晴香にぐいっ、っと手をひっぱられて奥の部屋に行くと、そこには。

「美衣、お誕生日おめでとー!!」

塾の友達や先生が満面の笑みで待っていたのだ。「なんでここにいるの!?」

思わず私は叫んでしまった。あ、そういえば今日私の誕生日だったんだ…。

「私が京都の回るルートをあらかじめ教えておいて、みんなでここで美衣を驚かそうって仕組んでたんだ」

晴香が嬉しそうに笑うと、先生が苦笑顔で言った。

「美衣ちゃんは受験終わったら引っ越しちゃうでしょう?だから、みんなが盛大に誕生日をやろうって」

「みんな…」

胸が熱くなってくる。こんなことをみんなが考えてくれたなんて。どうしよう、泣きそう。

「美衣?」

みんなが心配してる。そうだよ、嬉しい時は泣くんじゃなくて。

「ありがとう、最高の誕生日だよ!!」

やっぱり、私は笑っていたい。だって、この幸せをみんなと分け合いたいもん!

私は、人生の中で一番幸せな体験をして、一番大切な思い出を手に入れた。


「美衣先生~時間だよ~」

「あ、は~い」

あの日から、何年もすぎて、私は今、個別指導の塾の講師をしている。毎日が楽しくて、キラキラしている。

「こんな毎日を送れるのは、みんなのおかげだよ。ありがとう」

私はそう写真に話しかける。あの日、京都のお店で私の誕生会をやった時の写真だ。

あの時は私は祝ってもらう側だった。でも、今は違う。

「先生~まだ~?」

塾の子供たちがせわしなく動き出す。

「あともうちょっとだよ、隠れてないと」

カラン、と扉の開く音がする。あと、もう少し。

あの日の幸せを、分け合う時まで。


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いかがでしたでしょうか。

このような形で皆さんに紹介していきたいと思います。


それでは、これからどうぞよろしくお願いしますm(_ _)m