78番目の図書館~人知れぬ物語たちの棚~ -10ページ目
館長 那耶のひとこと…
これも三題噺となっておりますが、前回とは変わった感じの物語のようです。
何と言うのでしょう。ユーモアな作品というのでしょうか。
こちらも棚の方に置いておきますので、宜しければお読みください。





時刻は8時50分。
これはさすがにマズイのではなかろうか。
布団の中で僕は思った。
でもしょうがないんです。
昨日まで今日がテストだって忘れてたし、部活だって試合近いから休めないし、マネージャーがご飯食べようって言うから可愛いし行きたかったし、まぁ奢らされちゃったけど楽しかったから良いし……。
それに帰ってきたらもう9時過ぎちゃってたし、最近の9時ドラマは面白いし、お風呂入ったら眠くなっちゃったし……。
よし、体温測ろう!
そして電球作戦で39,0くらいで学校を休もう。
体温計は………見つからないや。

時刻は8時55分。
ふぅ…。
とりあえずそんな事言っている場合ではなかった。
布団から飛び出し、制服に袖を通す。
…とても冷たい><
しかしそんな事を感じている余裕もない。
そのままカバンをひったくり階段を降りる。
そこでマンネリした一言を言ってみる。
「ちょっとお母さん!何で起こしてくれなかったんだよっ?!」
……まぁ母親は妹を幼稚園に送りに行っているのでいませんけどw
とりあえず出発だ。

時刻は9時10分。
試験はもう始まっている。
そ、そんなバカな。
な~んて現実逃避もしている場合じゃない。
家を出てから、ひたすらに走り続けている僕。
学校は走れば20分くらいで行ける距離なのだ。
そろそろ見えてくる校舎。
さぁゴールはもうすぐだ。

時刻は9時20分。
教室にたどり着いた。
先生の睨みを食らいながらもテスト用紙を受け取る。
こんだけ時間があれば大丈夫そうだ。
席に着き、カバンから筆記用具を……お?
落ち着いて、もう1度カバンから筆記用具を…出せなかった。
まさか、こんな落とし穴があったとは!
僕は筆記用具を忘れてしまったのだ。

時刻は9時30分。
手の動かない僕。
何とかしなければ…考えろ、僕。
その時、閃いた僕。
ポケットに手を突っ込み携帯を握る。
そしてストラップを探り、一気に引きちぎった。
よし、これでいけるぞ!
携帯に昔ペットボトルに付いていたペン型ストラップを何となく付けていた事を思い出したのだ。
それを取り出し、さっそく名前をスラスラと書き始める。
これで試験も何とかなると思いきや…。
さすが特典ストラップ。一瞬にして芯は折れた。

時刻は9時50分。
もうダメだ。苗字しか書けていない答案用紙。
イラつきながらもカバンを叩く。
…ん?
何か細長い物が転がる音がする。
これはもしかして、もしかして…!!
希望に胸を膨らませ、カバンに手を突っ込みそれを掴む。
それこそがついに救いの……ではなく体温計だった。
…ここで、体温計かよっ!!!

時刻は10時00分。
鐘の音とともに試験は終了を向かえた。




おしまい