館長 那耶のひとこと…
本に埋もれてしまい更新が遅れてしまいました。
ホワイトクリスマスとなった聖夜にあったかくなるような本を探しました。
前篇、中篇、後篇と分かれているこの本を読んで、素敵な時間をお過ごしください。
ではこの本も棚に並んで置いておきますので、宜しければお読みください。
「昴、どこにいるの?」
あたしはあたし専用の執事を探して、屋敷をさまよっていた。
「ここにいます、咲夜お嬢様」
ふいに、後ろから声が聞こえた。それを聞いて、あたしは振り返る。
「全く、何処にいたの?昴」
あたしより一歳上の執事は、申し訳なさそうに良い訳をした。
「今夜の天気を調べておりまして。今日もあの日と同様、星が綺麗に見える夜のようだったので」
「昴は本当に星が好きね」
「申し訳ありません」
「いいわ。お腹すいたわ、昴」
「すぐにご用意いたします。では、咲夜お嬢様、こちらへ」
昴にエスコートされながら、あたしは食事を取る為の部屋に向かった。
あたしは鐘鳴咲夜。鐘鳴財閥の娘で、生まれた時から、昴が執事としてそばにいた。
昴は、もともと昴の父親があたしの父親の執事をしてて、昴の兄もあたしの兄の執事をしているってことで、そのままあたしの執事になった。
生まれた時からずっと一緒。兄のようにしっかりしていると思いきや、子供っぽくて頼りなくて。あたしはいつもはらはらしてる。
「ねぇ昴、今日も流星群があの日みたいに見えるの?」
食事を取りながら、そばにいる昴に話しかける。
「はい。また、あの場所で」
そう言って昴は微笑む。目をキラキラさせて、子供みたい。
それを見て、あたしはあの日の事を思い出していた。
「聞いて下さいお嬢様!今日流星群が来るそうです!」
その日、昴は目を一段とキラキラさせて部屋に飛び込んできた。
「落ち着きなさい、昴。流星群がどうしたのよ」
他の使用人と一緒にいたあたしは、ため息をついて昴に言った。
「あ、すみませんお嬢様。でも、今日流星群が来るんですよ?次、いつ来るか分からないのですよ?あの湖まで行けば、良く見えるはずです!」
一瞬申し訳なさそうな顔をするものの、すぐに目をキラキラさせて話し出す。ああ、何て子供なの。
「でも今日はとても寒いわ」
あたしはそう呟くと、他の使用人たちが次々に口を開く。
「その通りです。お嬢様が風邪でも召されたらどうするのです」
「こんなに外は暗いのに、もし怪我でもされたら」
しょぼん、とした昴はすごすごと部屋を出て行こうとする。それを見たあたしはため息をいた後、笑ってこう言った。
「流星群、気になるじゃない。行きましょ、昴」
「本当ですか!?」
ぱあっと顔を明るくさせて、嬉しそうにこっちを向いてくる昴。その笑顔を見てあたしは微笑んだ。そして使用人達の心配そうな顔を見て、あたしは言う。
「服を着込めばこのくらい大丈夫な寒さだわ。そんなに遠くに行く訳じゃないし、明かりは持っていくし。それに」
昴の方を見て、あたしは言った。
「あたしのことは昴が守ってくれるもの。ね?」
それを聞いて昴は少し大人びた笑顔で微笑み、優雅に一礼した。
「もちろんでございます、咲夜お嬢様」
「じゃあ支度をして頂戴。あたしが着替え終わった頃を見計らって、迎えに来て。皆、あたしの着替えの準備をして」
「承知いたしました」
部屋を移動し、上着を着ながら、あたしは昴の笑顔を思い出す。いつも、あんな風に大人っぽくしてればいいのに。こうやって、あたしが大人になってあげないといけないんだから。
「…全く、それでも年上なの?」
そう呟き、ため息をついた時、扉をノックする音が聞こえた。
「どうぞ」
「お嬢様、用意はできましたでしょうか?」
昴がひょこっと現れる。ちゃんと着込んでいてあったかそうだ。
「出来たわ。明かりとかの用意は出来たの?」
「もちろんでございます」
ぱんぱんに膨らんだリュックと懐中電灯やランタンのような明かりを嬉しそうに昴は見せた。
「上出来よ。じゃあ行きましょう」
そんな昴の姿を見てあたしは苦笑しながらそう言った。
「お嬢様、こちらです」
昴に道案内されながら、あたしは夜に飛び出した。