横浜市内一!駅チカ図書館
横浜市南図書館は平成4年(1992年)市内16館目に弘明寺公園内、弘明寺公園プールのあった場所に開館しました。4階建ての建物に駐輪場、図書館、プールが共存。屋上が弘明寺公園プールとなっています(図書館は2・3階部分)。また、最寄りの京急本線弘明寺駅は図書館の目の前。市内でもっとも駅から近い図書館です。
南図書館は線路沿い、弘明寺公園内駐輪場を抜けるとすぐ
広々と、あらゆる世代に開かれた図書館
広い壁面と通路
南図書館の特徴として目を引くのは館内のゆったりした広さ。実際の面積は1790,34㎡と市内でも中規模なのですが、壁面が広く、書架間の通路も2m超と全体にゆったりとした造りになっています。
広い階段の踊り場では「広報よこはま南区版」に毎月掲載の南図書館おすすめ本を紹介したり、2階化粧室近くの壁面では、弘明寺境内の季節の花の写真を展示するなど、広々した館内の造りが有効に楽しく活かされています。
ちょっとおまけ 広いからこそ活かされるブックバスケット
館内であれこれ本を選ぶ時の頼れる味方・ブックバスケットは、2階エントランス正面に常備。通路がひろいからこそ安心して使えます。嬉しい心遣いですね。
本と人をつなぐ多様な講座
南図書館では足を運んできたあらゆる人たちの知りたいこと、興味のあることを利用者の声からキャッチし、それを活かして本と人をつなぐ工夫をしています。
利用率のたかいシニア世代の声に応えた健康医療情報コーナーは、資料の充実と利用のしやすさに配慮。講座の案内と関連図書などを一か所に集め、見やすく新鮮な情報が常に展示されています。
夏休みの子ども向けには「作ってみよう紙芝居」や「夏の夜のこわいおはなしの会」を開催。「作ってみよう紙芝居」講座は、紙芝居の作成や実演をしているグループ「かみしばい・いっぽ」の片岡直子氏が講師としてサポート。参加者が、おはなしを自分で考え絵を描いて上演する、そのすべての工程を体験し、楽しむことのできる人気の講座です。
右)「夏の夜のこわいおはなしの会」は、閉館後、19時から明かりを落とした室内で開催(平成28年8月3日)
左)20名の参加者がオリジナル紙芝居を作成した「作ってみよう紙芝居」(平成28年7月28日、8月4日連続講座)
他にも地域に多く暮らすフィリピンにつながる人達のために、外国語資料コーナーとは別にタガログ語のコーナーを設けるなど細やかな対応がされています。
地域との関わり
利用者のニーズを反映した講座では、市民向け施設との連携が積極的に行われています。認知症サポーター養成講座、成年後見や相続などに関する専門家の講演会、女性の就労サポート相談会の実施では、区役所やフォーラム南太田(男女共同参画センター南)などと連携。内容に合わせて関連資料を用意し、講座参加者の理解をサポートするよう図書館を会場として行う講座ならではの工夫がされています。
南図書館ではどの講座も参加率が高く、専門機関に足を運ぶのは敷居が高いけれど、近くの図書館で気軽に相談できるなら…という声に応える取り組みとなっているようです。
ハローワークやフォーラム南太田へ行く前に図書館で情報収集、求人情報も用意しています
ちょっとおまけ 「ぐみょじい&ぐみょにゃん」誕生秘話
横浜市南図書館キャラクター「ぐみょじい&ぐみょにゃん」は、平成24年(2012年)、開館20周年記念の公募により誕生。制作は「みやなぎ」という図書館好きの女性ユニット。実は現在も新たなバージョンが制作され続けているそう。ぜひ館内で「ぐみょじい&ぐみょにゃん」を探してみてくださいね。
寄り道さんぽ図書館とまち歩き
古刹弘明寺に近い横浜市南図書館。弘明寺門前には商店街が広がり、長閑ながら活気のある下町の風情を味わえます。今回は弘明寺商店街界隈、個性的な本を楽しめるスポットと散歩道をご紹介します。
●弘明寺
坂東三十三所観音霊場第一四番札所、瑞應山蓮華院と号する真言宗の弘明寺は、平安時代初期に創建された横浜市内最古の寺院。本尊の木造十一面観音立像は国の重要文化財に指定されています。また、その門前は昭和10年(1935年)頃小さな商店街でしたが、戦後、戦火を免れたこの地に闇市ができ、昭和20年に「銀星会」として現在の弘明寺商店街の前身が誕生しました。親しみやすい人情豊かな商店街は、弘明寺と共に今も多くの人に愛されています。
南図書館のある弘明寺公園は、以前は弘明寺の寺林であった緑豊かな場所。展望台からは横浜の街が広々と見渡せます。
●ねこの手ハウス
弘明寺公園入り口にある「ねこの手ハウス」は、喫茶、無農薬農産物や趣味の手作り品販売、様々な講座や同好会など多彩な顔をもつユニークな場所。2001年のオープン以来「誰にとっても居心地の良い場」をモットーに、訪れた人が無理なく関わって気軽に楽しむことのできる場所であり続けています。南図書館にも近いので、図書館帰りに立ち寄る人もいるそう。
左)店頭の古本は20円から 右)図書の貸し出しもしています
「ゆっくり学び、皆で楽しむ」をモットーにした多彩な講座や同好会は誰でも参加できます
横浜市南区弘明寺町264
電話 045-731-3060
10:00~16:00
定休日 日曜・月曜・祝日
●大岡川プロムナード
大岡川は磯子区氷取沢付近を水源に日野川と合流し、南区内を流れて東京湾に流れ込む都市型河川です。弘明寺の観音橋から中区太田橋まで約3キロに及ぶ大岡川プロムナードは昭和55年度に着手でぃ、昭和59年度に整備されました(与七橋~観音橋は昭和62年度~平成2年度に整備)。市内有数の桜の名所として知られる「さくらまつり」は南区の春の風物詩。桜の時期に限らず、緑に接することのできる川沿いの散歩コースはいつでも気持ちいい。
●子どもの本&クーベルチップ
2016年8月に弘明寺の観音橋近く大岡川沿いにオープンした本屋さん。「子どもの本から始まる・つながる」をキーワードに、子どもから大人まで誰もが楽しめる本の魅力を発信しています。絵本作家のトークイベントや原画展、読書会や朗読会などイベントもたくさん。絵本から始まるあらゆることを、まるごと楽しませてくれる本屋さんです。
左からスタッフの仲村裕子さん、北村順子さん、神保佳子さん
店内には子どもの本に長く関わって来たスタッフの皆さんが選んだ本が楽しく配置されています
利用案内
横浜市南区大岡2-1-17セレサ弘明寺102
電話・FAX 045-344-8702
12:00~19:00(木曜日~日曜日)
12:00~17:00(日曜日)
定休日 月曜・火曜・水曜
*営業日の詳細は店頭配布のカレンダーを参照
ブログ http://ehon-suki2.jugem.jp/
図書館からのメッセージ
的場剛館長(右)と司書の塩田寿美子さん
的場館長からのメッセージ
「地域のニーズに応えたい」
横浜市南区では市民向け施設同士が連携し、区民の生活課題の解決や担い手作りを進めています。地区センター、地域ケアプラザ、学校などとの連携で、区民へのサービス向上を目指す取り組みの中、図書館はどんな役割を果たすことができるのか、常に考えています。図書館で開催した講座のアンケートの意見など、本の購入や今後の講座の企画にも活かしています。ぜひ足を運んで様々な図書館の活動も利用してみてください。
「なつやすみ!とくべつおはなし会」では紙芝居も上演
(平成28年8月23日)
EDITORIAL NOTE
横浜市南図書館は、坂の上という立地ながら駅から近く、しかも緑豊かな公園の敷地内にあり、街の風景に溶け込んだ図書館という印象です。貸出しカウンターでは職員さんが様々な利用者さんと自然に会話を交わしていて、穏やかでほのぼのした雰囲気がありました。弘明寺商店街には喫茶店も多く、図書館帰りの散歩と休憩も合わせて楽しめそうです。
【参考文献】
書名をクリックすると横浜市立図書館での所蔵が見られます。
『南・ひと・街・こころ 南の風はあったかい』 1994年 南区制50周年記念誌編集委員会/編
『南区の魅力ガイドブック』2000年 魅力づくり・ホットみなみプロジェクト
『南なんでもWALKER』 2003年 南区制60周年記念事業実行委員会/企画・編集
2009年 横浜開港150周年南区推進会議/編
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横浜市南図書館
利用案内
開館時間
火曜日~金曜日:午前9時30分~午後7時
休館日
アクセス
住所:〒232-0067 南区弘明寺町265-1
電話:045-715-7200 FAX:045-715-7271
ホームページ: http://www.city.yokohama.lg.jp/kyoiku/library/chiiki/minami/
取材協力/画像・資料提供_横浜市南図書館 /ねこの手ハウス/子どもの本&クーベルチップ
取材_ 安木由美子