文京区立本郷図書館 | 図書館利用促進プロジェクト

図書館利用促進プロジェクト

永遠に残していかなければならない人類の知的所産「図書」。
さまざまな図書が集積する「図書館」のあり方が
近年、著しく変貌を遂げています。
図書館の魅力を再発見!
それが「図書館利用促進プロジェクト」の狙いです。

全景


クローバー概要


本郷図書館は文京区が本郷区と小石川区に分かれていた頃、明治43年(1910年)に東京市立本郷簡易図書館として開館。太平洋戦争後の昭和25年(1950年)10月に管理運営が区に移管され、文京区立本郷図書館として再発足しました。昭和37年(1962年)9月には近代文学を代表する文豪・森鷗外が後半生を過ごした「観潮楼」跡地に「鷗外記念館」を併設した文京区立鷗外記念図書館として運営。建物は帝国劇場をはじめ、数々の美術館や博物館を手掛けた谷口吉郎による設計で、文京区の地域図書館という性格と、森鷗外を顕彰する記念施設という二面性をもった併設館として、44年間にわたり区民や研究者に親しまれてきました。
平成18年(2006年)4月、「鷗外記念本郷図書館」は鷗外記念室と分離して、本郷図書館として現在地に移転。現在の敷地は「元根津」と呼ばれ、根津神社の旧地として江戸時代の切絵図にも描かれた場所にあります。「汐見地域センター」として図書館以外の交流館が併設されたのが特徴です。
文京区では、各図書館が分野ごとに分担して専門書の収集に努めています。本郷図書館は「近代日本文学」 を分担しています。


◆所蔵資料

一般書 90,465
児童書 19,567
CD 13,351タイトル

平成26年4月1日現在


クローバー施設

1階◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

貸出返却カウンター、児童書コーナー、一般書架、AVコーナー、新聞雑誌コーナー、事務室があります(床面積:369㎡/座席数:24)

フロア図1階


1階① (左)貸出返却カウンター。(右)地域・郷土資料コーナー


1階② (左)児童室。(右)ねころび台


1階③ (左)児童書新刊コーナー。(右)CDコーナー

1階④ (左)新聞・雑誌コーナー。(右)階段踊り場に設置された企画コーナーで夏目漱石の系譜を紹介


地階◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

読書相談カウンター、一般書架、参考図書・YAコーナー、コピー機・インターネット利用端末があります(床面積519㎡/座席数:82)

地下A


2階① (左)読書相談カウンター。(右)文京ゆかりの文人コーナー

地階⑦ (左)一般書架・文学全集。(右)文庫コーナー


2階④ (左)YAコーナー。(右)参考図書コーナー

2階⑤ (左)サンクガーデンに隣接する閲覧席。(右)森鷗外コーナー


クローバーここもポイント!~文京ゆかりの文人がイラストに
地下1階の書架のサイドには、「文京ゆかりの文人」と題して、イラストレーター・高松啓二さんのイラストが並べられています。森鷗外だけでなく、夏目漱石、石川啄木、川端康成、樋口一葉、太宰治ら文人のイラストも常時展示。どの作品も彼らの特徴をよく捉えられていて、利用者の目を楽しませてくれます。


イラスト

クローバーここもポイント!~谷根千散策のお供「谷根千ゆかりの文人まっぷ」
高松啓二さんの描かれた文人イラストは、本郷図書館と指定管理者ヴィアックス、紀伊国屋書店が共同で制作された「谷根千ゆかりの文人まっぷ」にも掲載されています。この地域にゆかりのある文人だけでなく、落語家や画家なども紹介されていて、谷根千(谷中・根津・千駄木)散策の際には十分活用できるオススメマップです。

イラストマップ


クローバーここもポイント!~サンクンガーデンの沙羅の花
地下1階には、「サンクンガーデン(地下にある庭)」と呼ばれる庭があります。6月下旬から7月初旬のわずかな期間、森鷗外が「褐色(かちいろ)の根府川石(ねぶかわいし)に 白き花はたと落ちたり ありとしも靑葉かくれに 見えざりしさらの木の花」と詩歌集「沙羅の木」の中で詠んだ沙羅の花が咲きます。詩のように沙羅の花は青葉の中に隠れてしまうような可憐な花です。仏教ゆかりの名木として知られ(インドと日本の沙羅は種類が異なりますが)、朝に咲き夕には散りゆく“一日花 ”である沙羅の花は、日本人の美意識にも通じます。開花状況は図書館に問い合わせると教えてくれます。


沙羅の花

クローバーここもポイント!~千駄木三丁目南遺跡の出土品
本郷図書館のエントランスの左側は展示コーナーになっており、展示ケースが設置されています。ケースの中に展示されているものは土器類と江戸期の食器。汐見地域センターのある場所は緩やかな台地(本郷台地)の上にあり、センター建設中に遺跡が発見されました。千駄木三丁目南遺跡として調査した結果、縄文時代・弥生時代及び江戸時代の遺構と遺物が確認。延宝期(1673~1681年)は根津権現の敷地、延享2年(1745年)以降の「場末沿革図書」によると、この場所が「根津権現旧知」と記されています。宝永5年(1708年)以降、享保18年(1733年)までは寛永寺の「千駄木御林」になり、その後、江戸後期には百姓地としての性格を帯び、団子坂では町場化が進みました。多岐に富む出土品がこの土地のかつての姿を興味深く想像させます。


出土品


クローバー図書館からのメッセージ


本郷図書館副館長
小山和美さん


本郷図書館は地域との接点を大切にした図書館運営に努めています。幅広い年齢層に向けた講演会やCDコンサート、プロのアナウンサーを招いた朗読会などを開催。森鷗外の「高瀬舟」、志賀直哉の「小僧の神様」の朗読会は文人ゆかりの当地ならではイベントとして好評を得ました。ほかに古典文学にちなんだ「文京昔語り」や、紙芝居の達人“のまりん”こと野間成之先生を招いた「のまりん紙芝居劇場」といったイベントも随時開催しています。
当館が発行しているミニコミ紙「book+cat」は“地域情報の発信”というコンセプトで編集にあたっていますが、区外から訪れる観光者だけでなく、地域の皆さんにも楽しんでもらえる紙面作りに取り組んでいます。住み慣れた町の中にある“新しい発見”を紹介したいと思っています。谷根千(谷中・根津・千駄木)という下町人情のあふれるエリアにある“情報の拠点”としての役割は多岐に及ぶと考えています。地域のためにある図書館でありたいし、地域の皆さんに守っていただけるような図書館をめざしています。


イベント (左)文京昔がたり。(右)のまりん紙芝居劇場


クローバーEDITORIAL NOTE① 図書館と地域の人を結ぶミニコミ紙「book+cat」


本郷図書館が発行しているミニコミ紙「book+cat」は2010年12月9日に第1号を創刊、今年3月20日で10号目を迎えた。コンテンツは「本郷ゆかりの文人紹介」「小説の舞台を歩く」、文京区の名所をめぐる「山羊さんぽ」(“山羊”は八木館長の名前をもじったもの)や「このへん♩フォーカス」など、谷根千ならではの地域情報が満載。第7号は「森鷗外生誕150年記念号」、第10号は「特大号」として発行された。編集にあたるのは図書館スタッフで、各分野の担当者は編集長(小山副館長)のダメ出しにも屈せず、ネタ集めと取材の交渉、紙面のレイアウトやイラスト・写真撮影など、すべて自分たちの手で作り上げている。取材を通して地域の新しい情報を得ることも多く、図書館と地域の2ウェイコミュニケーションが結実した情報紙として付加価値の高さをうかがわせる。この地を訪れたときには、まず本郷図書館に足を運び、「book+cat」を手に谷根千散策をスタートさせるのもいいだろう。(Tipsy chico)


図書館だより

今年3月20日で10号目を刊行した「book+cat」


クローバーEDITORIAL NOTE② 森鷗外のさまざまな表情を楽しむ


本郷図書館の自慢はなんといっても森鷗外関連の書物の多さだろう。かつて文京区立鷗外記念図書館としても運営されていたこともあり、文京区所蔵の鷗外関連の資料の多さは目を見張るものがある。この本郷図書館からほど近い文京区立森鴎外記念館のある場所はかつて鷗外の住居があった。鷗外は明治25年(1892年)からここで暮らしはじめ、大正11年(1922年)に没するまで、「青年」「雁」「高瀬舟」など数々の名作を著している。
鷗外の住居は「観潮楼」と呼ばれた。2階の書斎から品川の海が遥かに望めたのが名称の由来だそうだ。観潮楼は鷗外にとって交流拠点でもあった。観潮楼歌会をはじめとする集まりには、与謝野鉄幹、伊藤左千夫、石川啄木、斎藤茂吉、永井荷風、正岡子規、北原白秋ら錚々たるメンバーが揃ったという。
本郷図書館の「森鷗外関連書籍」コーナーには鷗外の等身大ペーパークラフトが展示されている。雑誌や広告などで活躍するとともに、図書館で子供似顔絵教室も開催している高松啓二氏の作品だ。ペーパークラフトは光の加減や目線によって異なる見え方をする。鷗外は自らの作品の中で自分の表情をさまざまに描いている。ペーパークラフトは鷗外に合った表現方法かもしれない。(上原由迩)


図書館スタッフ

森鷗外の等身大ペーパークラフトと本郷図書館スタッフの皆さん


ビル文京区立本郷図書館


利用案内
休館日第4月曜日、12月30日~1月4日、特別整理期間
※第4月曜日が祝日の場合は開館し、翌日休館
開館時間月~土曜9:00~21:00 日曜・祝日・12月29日9:00~19:00


アクセス
住所東京都文京区千駄木3-2-6
電話番号03-3828-2070
ホームページ:https://www.lib.city.bunkyo.tokyo.jp/lib02-hongo.html



取材協力_文京区立本郷図書館 取材_湘南文学舎