国立国会図書館 国際子ども図書館 | 図書館利用促進プロジェクト

図書館利用促進プロジェクト

永遠に残していかなければならない人類の知的所産「図書」。
さまざまな図書が集積する「図書館」のあり方が
近年、著しく変貌を遂げています。
図書館の魅力を再発見!
それが「図書館利用促進プロジェクト」の狙いです。

外観

クローバー概要

国際子ども図書館は、国内外の児童書に関する図書サービスを国際的な連携の下に行う国立の児童図書館です。平成12年(2000年)1月に国立国会図書館の支部図書館として設立され、同年5月に部分開館し、平成14年(2002年)5月に全面開館しました。
「子どもの本は世界をつなぎ、未来を拓く!」という理念に基づき、次の三つの基本的な役割を持つ図書館として活動を行っています。

基本的な役割

◉児童書専門図書館としての役割
国内外の児童書及び関連資料を広範に収集・保存・提供するとともに、調査研究、研修、情報発信等を通じて、児童書や子どもの読者にかかわる多様な活動を支援します。

◉子どもと本のふれあいの場としての役割
国内外の児童書の提供、各種催物、見学、情報発信等を通じて、すべての子どもを対象として図書館や読書に親しむきっかけを提供します。

◉子どもの本のミュージアムとしての役割
児童書に関する展示会やそれに関連した講演会、各種イベント等を通じて、児童書の持つ魅力を広く一般に紹介します。

サービスの基盤


◉資料の収集・保存
国際子ども図書館は、国立国会図書館の一翼を担う児童書専門図書館として、法定納本制度に基づき日本国内の児童書(概ね18歳以下を主たる利用者として想定)を網羅的に収集し、保存しています。平成14年度からは教科書の収集も開始。また、保存のために資料のデジタル化を行っています。

◉特色ある資料・コレクション
・池田宣政コレクション 「少年倶楽部」などで活躍し、伝記や冒険小説を執筆した池田氏の著書と関係資料860からなるコレクション。
・イングラムコレクション 主にイギリスで刊行された18~20世紀の児童書約1,150冊からなるコレクション。
・フランゲ文庫児童書コレクション 米国メリーランド大学図書館が所蔵する、戦後占領期に連合国最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)による検閲を受けた出版物のうち、児童書約8,000冊をマイクロフィルムで収集したもの。

◉所蔵資料統計

図書(国内) 261,362冊
  (外国) 82,200冊
雑誌(国内) 50,000冊
  (外国) 178タイトル
新聞(国内) 12タイトル
  (外国) 1タイトル
非図書 55,370点
(平成25年3月現在)

クローバー施設

1階◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
1階

世界を知るへや明治期外観
世界をしるへや 世界各国と各地域の地理、歴史、民俗等を紹介する資料や、子どもたちが世界に興味や関心を持ち、国際理解を深めることを目的とした資料があります。






子どものへや
子どものへや 子どもを主な対象とする閲覧室。国内外の子どもの本(絵本、読み物、知識の本、雑誌など)があります。子ども用の検索端末で本を探すこともできます。






おはなしのへや

お話のへや おはなし会やわらべうたの会を行います。







カフェテリア

カフェお昼のランチのほか、軽食なども用意。飲料、お菓子なども販売しています。営業時間は9:30~17:00、ラストオーダーは16:30。






テラス席

テラス

悪天候時を除き、飲食物の持ち込み可能なテラス席があります。パラソル付きの机と椅子を設置。







2階◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
2階







第一資料室

第一資料室

日本とアジア諸国で刊行された児童書の一部と関連資料及び日本の最新版の教科書を開架しています。






第二資料室

第二資料室

外国(アジア諸国を除く)で刊行された児童書と関連資料を開架しています。日本で刊行された児童向けのDVD/CD-ROMやマイクロ資料の閲覧もできます。






3階◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

3階





メディアふれあいコーナー

メディアコーナー 子どもたちが親しめる約130点のDVDや、国際子ども図書館が作成した電子展示会「絵本ギャラリー」をパソコンで閲覧できます。





ホール

ホール

講演会や催物や展示会を開催します。







本のミュージアム

本のミュージアム 子どもの本に関する展示会を開催します。









ラウンジ

ラウンジ ガラスのカーテンウォールに囲われたスペースで、休憩用のソファなどがあります。







クローバーここもポイント!~歴史浪漫に浸る~

国際子ども図書館の建物は明治39年(1906年)に帝国図書館として建てられ、昭和4年(1929年)に増築された明治期ルネサンス様式の建物を再生・利用したものです。
戦後、帝国図書館は国立図書館と名称が変わり、昭和23年(1948年)に国立国会図書館が創設されて、その支部図書館となってからは平成10年(1998年)まで支部上野図書館の施設として使用されてきました。
平成8年(1996年)に「国際子ども図書館基本計画」が策定。平成12年(2000年)に、装いも新たに国立初の児童書専門図書館として開館しました。

備考
明治39年(1906年)の出来事
・伊藤博文が韓国統監府の初代統監に就任・アテネオリンピック開催・南満州鉄道設立
昭和4年(1929年)の出来事
・初のターミナルデパート、阪急百貨店が開店・ニューヨーク証券取引所で株価が大暴落(ブラック・サーズデー)・東京駅に八重洲口開設


国際子ども図書館は貴重な建築遺産の内外装の意匠・構造を最大限に保存した建造物です。「世界を知るへや」(旧帝国図書館・貴賓室)、「第二資料室」(同・特別閲覧室)、「本のミュージアム」(同・普通閲覧室)、「大階段」は補修のみを施し、歴史的建造物の保存を行いました。明治・昭和・平成の三つの時代に造られた建物が一体となり、貴重な建築遺産を保存利用しながら、新しい機能と空間を併せ持つ図書館として再生しました。

外観 左:明治期建築時/右:明治39年頃 
明治期外観


左:3階普通閲覧室(明治39年)。現在は3階ホール/右:2階婦人閲覧室(昭和4年~20年頃)。現在は2階第1資料室
明治~昭和

歴史浪漫の刻まれる建物

左:100年前のシャンデリアと手すり(大階段)/中:100年前の寄木細工の床(世界を知るへや)右:「おすとあく」ドア
現在1


左:手ぶきガラス(ラウンジ)/中:100年前の白レンガ(ラウンジ)/右:職人が鏝(こて)で描いた漆喰天井(世界を知るへや) 
現在2


クローバーここもポイント!~充実の子ども向けサービス~


国際子ども図書館では、読み継がれている児童書を中心とした子ども向け資料を提供するとともに、おはなし会などの子ども向け催物を行っています。


子どものためのおはなし会

開催:毎週土曜・日曜日

時間:14:00~/4歳~小学1年生 15:00小学2年生以上

内容:おはなし(ストリーテリング)、絵本の読み聞かせ

申込:不要。「子どものへや」に集合


ちいさな子どものためのわらべうたと絵本の会

開催:毎月第2水曜日・第3土曜日

時間:11:00~(30分程度)

対象:3歳以下の子どもとその保護者

人数:15組(事前申込制・先着順)


クローバー図書館からのメッセージ


国際子ども図書館企画協力課企画広報係

荻原みさ子さん


国際子ども図書館では、子どもたちがより多くの本を手に取ってもらえるように、書棚を低くしたり、表紙を見せて陳列したりと、読みたい本を見つけやすくするいろいろな工夫をしています。さらに、子どものへや、世界を知るへやでは、時々のテーマごとに本を選んで展示するコーナーがあります。ぜひ来館して本との出会いを楽しんでいただきたいと思います。なお、この展示リストは、全国の図書館で児童サービスを担当する方々の参考になるように、ホームページで公開しています。
そのほか、児童書に関連する展示会、講演会、イベントを開催しています。また、上野公園という立地を生かして、近隣の文化施設と連携したイベントにも積極的に取り組んでいます。動物、音楽、科学などさまざまな興味と本を結ぶきっかけ作りにしてほしいです。
明治39年に帝国図書館として建築された歴史的な建物も見どころのひとつです。各部屋をまわりながら当館のスタッフが案内するガイドツアーも行っています。国際子ども図書館で所蔵している本にや、建物の由来と歴史など、国際子ども図書館についてもっと知りたい方はぜひご参加ください。
現在、新館の建設を進めています。新館は2015年度に竣工する予定です。国際子ども図書館のさらなる飛躍にご期待ください。


完成模型
2015年竣工予定の、新しい「国際子ども図書館」(模型)


クローバーEDITORIAL NOTE① 大人も楽しめる子どもの図書館


国際子ども図書館は、明治39年(1906年)に旧帝国図書館として設立され、のちに国立国会図書館の支部・上野図書館として用いられ、平成12年(2000年)1月にわが国初の国立の児童書専門図書館として設立されました。昭和初期に増築されたこの洋風建築の建物は、明治期のルネサンス様式の見事な煉瓦造り。昭和の修復工事でも、貴重な建築遺産としてその構造を温存させ、今も大切に保存・再利用されています。また、建築家・安藤忠雄氏による平成の改修工事では免震工法を採用した工事が行われ、未来へ継承されるべき建築物であると実感できる建物です。
中へ入ってみると、1階から3階までの各部屋はたくさんの本にふれあえるよう、さまざまな工夫がなされています。1階の「子どものへや」は、天井いっぱいに蛍光灯を張り巡らせ、どの場所でも子どもたちが手元が暗くならずに本を読むことができるようになっていたり、「世界を知るへや」では、子どもたちが世界の本に触れられるよう、絵本の表紙が見えるように本を並べています。また「おはなしのへや」では、土日には読み聞かせのための「おはなし会」が定期的に行われ、字を読むことができない年齢の子どもでも、耳から物語を読むことができる、楽しい会を催しています。2階の資料室、3階の「本のミュージアム」などは子どもだけでなく大人も楽しめるサービスが満載です。
本は分類番号順に並べられ、たくさんの資料の中から目的の本を探しやすくしたり、本の貸し出しができないため、地域の図書館でも利用しやすくするために分類番号を統一させています。
火曜日と木曜日には各団体の希望に合わせて行う「見学・ツアー」があります。事前予約が必要ですが、各部屋をまわりながら、帝国図書館として建築された歴史的な建物の見どころなどを解説。歴史好きにはたまらない催しといえるでしょう。普段入ることができない書庫も見学でき、懐かしい書物にも出会うことができます
場所が上野動物園から近いので、休日に子ども連れで出掛けた際に訪れるのに最適。カフェも併設していますので、大人が平日にゆっくり訪ねるのにも楽しい場所です。(Tipsy chico)


クローバーEDITORIAL NOTE② まさにサルベージ!


「図書館ガイド」は雑誌編集者のchicoさんが1年以上前から温めていた企画である。「図書館あり方がハードもソフトも以前とはずいぶん違ってきた」というのが出発点のようである。わたくしは数年前に近年の活字離れを危惧して千葉県の新聞販売会社の力を借りて「総国(ふさのくに)逍遥」という文学通信紙を発行していた。残念ながら2年8カ月(32号)で休刊することになったが、その頃の残滓とchicoさんの企画が化学反応を起こしたようにして浮かび上がってきたのが「図書館利用促進プロジェクト」であった。
とりあえずはブログからスタートすることになった。その記念すべき第1回をどこにするのか? chicoさんの提案は「国立国会図書館 国際子ども図書館」であった。内心「なんだ、子供かよ」という思いもよぎったが、図書館好きのchicoさんの意見に従った。しかし、昨年12月に下見をしたときは「子供だからと侮るなかれ」と、まさに目から鱗であった。
こういうプロジェクトに参加するくらいだから本好きである。ところが最近は年齢のせいか、面白い本を読んでも、人に伝えるときに「あれだよ、あれ…。あれ、なんだっけ?」ということが多くなってきた。そういうイライラがつのる中でのchicoさんの提案はなかなか気が利いていたと、今は思う。
展示会「日本の子どもの文学―国際子ども図書館所蔵資料で見る歩み」では、いい齢をしながら「うわあ」とまるで少女のような声を上げてしまった。さすがに「赤い鳥」をはじめとする戦前までの児童書コーナーにシンパシーを覚えることはなかったが、「戦後から1970年代まで―『現代児童文学』の出発」コーナーあたりからは胸が(ハートが)ドキドキ、脳味噌がゾクゾクする感覚に陥った。「ノンちゃん雲に乗る」「ぐりとぐら」「ベロ出しチョンマ」「くまの子ウーフ」「ボクちゃんの戦場」…。「あれだよ、あれ」という脳味噌にかかった扉の鍵が開かれる感触は、まさにサルベージ!
懐かしい本を手に取り、活字を目で追っていくと、その本のストーリーとは関係のない、その頃の記憶も甦ってくる。なるほど、これが童心に帰ることなのか、と思いつつ、本とのふれあいの原点を想起する。「国立国会図書館 国際子ども図書館」はこのプロジェクトのスタートを飾るのにふさわしい図書館だと痛感した。(上原由迩)


ビル国立国会図書館 国際子ども図書館


利用案内

休館日:月曜日、国民の祝日(55日のこどもの日は開館)、年末年始、第3水曜日

2階第一・第二資料室休室日:日曜日

開館時間:9:3017:00


アクセス
住所:東京都台東区上野公園12-49JR上野駅公園口より徒歩10分) 地図
電話番号:03-3827-2053
ホームページ:http://www.kodomo.go.jp/




写真提供:国立国会図書館 国際子ども図書館 取材:湘南文学舎