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Chamomile tea

図書館戦争の二次小説を書いています。基本堂郁です。
はじめての方は「はじめに」をご覧ください。(メッセージボードにINDEXのリンク貼ってます。)

今日は雨ですTT

今度雨をテーマにした堂郁も書こうかな。


一本で終わる感じのSSです。


恋人期 堂郁



***



「じゃじゃーん!」


いつも堂上から呼び出すが今日は久々に郁から呼び出された。小牧のニヤニヤに見送られ、今は郁のニヤニヤの前にいる。


差し出したのは小さなパウンドケーキ。程よい焼き具合で抹茶色に染まっている。


「どうしたんだ、これ。」


「先週作ったんです。寮で火は使えないけど電子レンジなら使えるってことに気づたので。パウンドケーキは材料混ぜればできるんです。先輩から材料貰って作りました。」


先週の公休は用事がある、と言われていた事を思い出した。その時は柴崎との買い物でも行くんだろうとたいして気に留めなかったが今思えば『用事がある』と言われたのは初めてだった。

毎回『柴崎と買い物』であったり『飲み会』だったり特に伝えるように言っているわけでは無いが必ず具体的に要件を堂上に伝えてくる。


「そうか。で、これを俺に?」


首がちぎれるんじゃないかというくらいの勢いでブンブン縦に振った。


「犬みたいだな。」


「えっ、あたしがですか!?せめて猿から下げないでください・・・ ゴリラとかの方がまだいいですよう。。。」


予想の斜め上の発言に驚いた。いや、いつものことと言えばいつものことなのだが真顔でそういわれると面白くて仕方がない。


「お前、注目するところそこじゃないだろ、普通。しかもゴリラでいいって・・・」


「人間にしてくれるなら人間がいいです!っていうか人間ですよ、あたし。」


「わかってる。そうムキになるな。このパウンドケーキは抹茶味なのか?」


だいぶ話が反れたので軌道に戻す。 再び郁の顔に笑顔が戻った。 相当頑張って作ったのだろう。


「はい。でも、味見してないんですよ。見た目が良かったから大丈夫かなーって思って。」


うっかり成分80%以上の郁が『味見をしていない』というとかなり心配になった。しかも、見た目が良かったから大丈夫ってどんだけだ!という突っ込みは純粋な郁の笑顔を前にしては言えない。


人生で初めてパウンドケーキ作ったんです。と頬を赤らめて言われてはなおさらだ。


そしてそれがものすごく可愛い。


「食べていいか。」


またまたぱっと顔が明るくなった。


「はい!もちろんです!教官のために作ったんですから。」


抹茶色のパウンドケーキはふんわりしていて不器用な郁がここまでできるのかというくらい素晴らしい出来だ。


口の中に入れるとほんのり抹茶の香りがした。


「ん・・・?」


しょっぱい。汗でもかいて自分の口に入ってしまったのかと思ったが、それにしても・・・・・しょっぱい。


「どうかしましたか?」


きょとんとした子犬のような顔で郁がこちらを見つめてくる。


「もしかして砂糖と塩を間違えて入れたなんてことは無いよな?」


先程まで笑顔だった郁の顔が一気に青冷めたのが目にとれた。堂上に有無を聞く前に手から食べかけのパウンドケーキを取って口にする。


「しょっぱ!なにこれ!?教官、しょっぱかったらしょっぱいって言ってくれて全然いいんですよ。ああ、本当ごめんなさい。g量ってやってもこんなありきたりな間違いするなんて呆れちゃいますよね・・・。」


ホント、すみません。とシュンとうなだれる姿は落ち込む郁には少しばかり申し訳ないが可愛い。こうなってしまえば砂糖と塩を間違えたことすら可愛いように思えてくる。


「俺はどうやら重症の郁病にかかってしまったようだな。」


「やっぱり呆れちゃいましたよね、すいません、ホント。」


「いやいや、そうじゃなくてだな。お前可愛すぎだ。」


「えっ!?今のどこに可愛いなんて要素あったんですか!教官、もしかして熱でもあるんじゃ・・・」


混乱する郁を抱き寄せて黙らせる。


「いいから。それ以上可愛いことするな。寮に帰れなくなる。」


耳までゆでだこのように赤くなる郁を見て自分まで恥ずかしくなった堂上だった。





「で、堂上教官はどうしたの。」


寮に戻ると早速堂上の反応報告会を柴崎にすることになった。報告会ではなく、これは尋問に近い。


「なんか・・・よくわかんないんだけど・・・『重症のイクビョウ』とかなんとか・・・」


「はあ?あんたら呆れるわー。ホント、糖度高すぎ。こっちまで胃もたれしちゃいそうだからやめてよー。強いお酒ちょうだーい。」


えっ、酷い。と食って掛かる。


「あんたねえ。イクビョウの意味わかってないでしょ。」


コクリ、と頷く。


「アイス一個で教えてあげるわ」


せっかく柴崎に報告してるのにー と愚痴を漏らすと「当たり前でしょ。」とシレっと返された。何が当たり前なのかよくわからないがいつも何かと協力してもらったりしてるので歯向かえない。


クソ、悪戯深い笑みすら美しい。


外食一回にされないだけ安いもんだ、ということでアイス一個に応じた。


「あんたのことがスキすぎて砂糖と塩を間違えたのすら可愛く思えちゃった~ってことよ。 あー、説明するのもベタ甘過ぎてつらーい!本じゃなくて検閲すべきはこっちのバカップルだわぁ」


一瞬意味が分からなかったが数秒経ってやっと意味がわかり顔が真っ赤になる。


「うそーーーーーーーーーーーーーーーー!」



この時の郁の叫び声は女子寮中に響いて後々大きな話題となったそうな。



***



あっ、永遠の0のサイトがリニューアルされて・・・なーんとなんと!

待ちに待った予告編!そして岡田准一さんの坊主が公開ー!昨日は完成披露試写会があったみたいでTV録画してバッチリ見ました笑 幾つかようつべにあげられているのもあるので見逃したものもチェックしようと思います★


長くなってしまいました汗


堂郁 ココロ 最終話


***



戦闘鞘腫で筋肉モリモリで高身長・・・のくせに郁は体重が軽い。そして時と場合を問わず食べるのに無駄な脂肪が一切ない。だから、『重い』という理由で潰れた郁を運ぶのに苦労したことは無かった。


が、この寝言にはもううんざりだ。


「王子様・・・」


お前の求める王子様はもう居ない___ どうして昔の間違いだらけの背中を、俺が切り捨てた昔の自分を、わざわざ後生大事に抱えてくるんだ。

この間王子様を卒業する。そう言ったばかりじゃないか。


「うるさい。黙れ。」


気づけば口が動いていた。そんな事言っても夢の中で王子様を追い求めている郁には届かないのはわかりきっていることなのに。


「教官の背中を追いかけます。」


自分も酔っているのではないかと耳を疑った。郁のことが気がかりでそれは、寝言かと疑うほどはっきりした口調だった。


「起きてるのか。それなら降りろ。」


返事は無い。耳元には規則正しい寝息が聞こえるばかりだ。


先程の飲み会のこともあってか、堂上はどこか居た堪れない気持ちになり、小走りで寮に向かった。





女子寮には今日は柴崎がいない。


寮監に頼んで鍵を借りて郁を部屋に運んだ。 もう潰れた郁を運ぶのは両手で数えられる回数を超えているので何処も怪しむことも無く、「今日もお疲れ様」とだけ言われてすんなり鍵を渡してくれた。


ベッドは二つあるが悩むことが無かった。


なにせ、飾らている置物やら雰囲気やらが全く違うのだ。


右は明るく、上品な感じが伝わってくる色遣いのものが置かれており、整理整頓されている。

もう一方はと言えば女らしい色は一つも使われておらず、ファンキー文具やら飾りがちょこちょことついているだけだ。


明らかに右が柴崎で左が郁のベッドだろう。


しまっているカーテンを開けて郁を中に入れた。


その時。 あるものが目に入った。


「はじまりの国のさいごの話」


タイトルを読む前にすぐわかった。 茶色いカバーに緑色の木が描かれているこの本は紛れもなく高校生の郁が万引きの汚名を着て守ろうとした本だ。 そしてこの本が『王子様』の発端でもある。


やっぱり未だ王子様は卒業していないのか・・


と思ったその瞬間、その本から小さなメモ帳がはみ出ているのが見えた。


人のものを勝手に見るのは堂上のフェアではない。 しかし、考えるより先に手が動いた。


そこには、見覚えのある、丸っこい郁の字。


『はじまりの国のさいごの話。 王子様と会わせてくれてありがとう。 あたしは堂上教官の背中を追います。そして、必ず越します。その日まで』


あたしはあんたを超えるんです。だから絶対辞めません


そんな言葉を聞いたことがある。今、郁は堂上の背中を追っている。


チビで性格の悪いクソ教官、と何度罵詈雑言を聞かされたかわからない。そんな彼女が今追っているのは__ 自分だ。紛れもない、堂上篤を追っている、という事実がここにあった。


郁は堂上が知らない間に変わっていた。 王子様卒業宣言は嘘ではなかった。



成長・・・したな。



安らかに眠る郁をそっとベッドの上に置き後を去った。 今、自分の顔を誰かに見られたら舌を噛んで死んでやる。 まるで郁のようなことを思いつつ堂上は昔の自分によく似た部下を想って微笑んだ。




柴崎は郁が堂上に運ばれてから席を立った。

目的の物件を間近で見物出来て大きな収穫だ。 いつまでも茨城産純粋培養乙女である郁の姿は見ているだけで頬が緩む。時々イライラすることもあるのだがそれを耐える堂上の姿も見どころだ。


全く、あたしも性格悪いわ。


と、自分でも思うが本当に二人のことを見ていると面白い。


明日は笠原に尋問しなきゃ。



そして柴崎が合コンに来たのにはもう一つ目的があった。


郁が初めて参加する合コン。気がかりだったのだ。いくら堂上がいるとは言え、恐らく二人は離ればなれの席になる。 自分が行けば郁に変な虫がつかないだろうと予測したのだ。


やはり、自分が行って正解だった。一匹風変わりな虫が郁によりついていたがそいつについては堂上がスプレーで一発抹消してくれたみたいだ。


任務完了。



柴崎が寮に着くと丁度郁を送り終えた堂上とかち合った。


「うちの娘がいつも迷惑かけてすみません」


口では謝っているが全く謝罪の意が感じられない。


「あ、最近寝言変わりましたよね、笠原」


痛いところをツカれて堂上は固まった。柴崎はと言えばもうそれは悪戯心あふれた笑みを浮かべている。


「王子様、としかいっとらん。じゃあな。」


あーら、笠原と一緒でわかりやすわね。


柴崎はこれからの二人の未来を想像してふっと笑顔になるのだった。



***


妙な終わりでごめんなさいー! 長々と書き続けた「ココロ」シリーズこれにて完結致します!


3日もあけてしまいました汗汗 ホントにごめんなさいTT


今日、終業式があってこれからは安定した更新ができると思います。


では!⇓


結婚後

オリキャラ注意!


***



堂上は郁が家を出た後一人何をしてよいのかわからず、ただぼーっとしていた。


思えば、一人になったのは久しぶりだ。普段は家に帰ると郁がいる。いない日も時々あるが、その時は夕食を作るので暇を感じることは無い。公休日も食材の買い出しに行ったり郁とデートしたりするので殆ど独りということが無いのだ。

独りになると改めて郁の大切さを感じる。


はにかむ笑顔の郁の顔が頭に浮かんだ。


小さく飾られているカモミールの花、願いがかなうというクマの小さなぬいぐるみ、淡いピンクのエプロン。


全てのものが郁を物語っていた。


気が付けば堂上は眠りの中にいた。





ピーンポーン という玄関チャイムで目が覚めた。時計を見ると1時間ほどたっただろうか。

ささっと身を整えて玄関に向かった。


「はい。」


鍵を開けた瞬間、汗だくで目が血走った郁の姿があった。


「あ、あ、あつしさん・・・! ど、ど、どうし・・・よう・・・。あたし、あたし」


「落ち着け。」


大きな手が郁を包み込んだ。 なでられて少しずつ、落ち着きを取り戻す。

今、自分は何故こんなに急いで焦って困っているのか。冷静に冷静に考えた。 そうだ。結婚指輪。


「結婚指輪がどうした?」


「気が付いたら・・手にしてなかったの・・・。どうしよう、篤さん。」


「今日の朝はつけていたのか。」


少し考えてから首を縦にふる。


「朝食の時は」


首をフルフルと横に振る。


「あ・・・じゃあ、洗顔の時に無くなったんだ!」


「そういうことだな。」



洗面所に向かい、隅々まで探したが問題の指輪は見つからなかった。一体どこにやってしまったというのか、まったく見当たらない。


「篤さん。無かった・・・どうしよう」


大丈夫だ、必ずどこかにある。


堂上のその言葉を信じて懸命に探し回った。


1時間くらい探し周り、もう諦めかけたその時、電話が鳴った。


『笠原?三村なんだけど・・・何も言わないで出てっちゃうからみんな心配してて。』

「あ、ごめん。結婚指輪探してて・・・みんなにも今日はごめんねって伝えておいてもらえる?本当にごめん」

『結婚指輪失くしたの?』

「う・・・うん。そうみたいなんだよね。」

『笠原のことだからポケットの中とかにあるんじゃないのー?』

「まさか。」

『見つかるといいね。また会おう。』

「うん、じゃあね」



「何した」


郁が行きそうなところをちょこちょこ動きまわりながら堂上が口を開いた。


「何も言わないで飛び出てきちゃったから心配されちゃったみたい。」


「そうじゃなくて。」


手の動きが一瞬止まって目が合った。


「どういうこと?」


「だから、『まさか』って、何がどうしたんだ。」


ああ、そういうことか、とやっと理解した。


「同期のトモダチがあたしのことだからポケットにでも入れてるんじゃないかとか言うからさ。あたしでも大切な結婚指輪をポケットに入れるなんてこたーしないって思って。」


堂上の口が上に上がり、郁のポケット一直線で突進した。


「ちょ、ちょ、」


郁が抵抗する前にポケットの中に手が入り、中を探られる。


じゃじゃーん と効果音が付きそうな勢いで手が出てきた。


手の中には指輪・・・では無い。それは、小さなカモミールの花だった。 堂上はがっくりうなだれる。


が、郁はひらめいた。


自分の朝の行動が目によみがえる・・・・



郁は珍しく堂上よりも早く起きたので張り切って朝ごはんを作ろうと気合いをいれた。

その時、急にカモミールのお茶を飲みたくなってカモミールティーを入れた。そして、ここだ。 料理をするにあたって指輪は慣れなくていつもお皿の上など判り易い場所に指輪をいったん置く。

しかし判り易い場所、というのが思い当たらなくて・・・


そう、あとで取り出せば失くすことのない


「カモミールティーのお茶の葉っぱの中!」


目が飛び出るとはこういうものをいうのだろう、というような勢いで堂上が吹いた。


「お、おまっ・・・どういう経緯でそうなるんだ?」


とりあえずなんでもいいからカモミールティーカモミールティー、とつぶやきながらキッチンのカモミールティーのふたを開けた。


「あったーーーーーーーー! あたしの愛しの結婚指輪・・ 大好き!もうどこにもいかないで・・・」


ふと隣を見ると堂上が不機嫌そうにこちらを覗いていた。


「お前はいつから指輪に恋したんだ。」


へ?とすっきょんとんな声を上げてしまった。


「いつって、今でしょ!」


「お前も意外とミーハーだな・・・ じゃなくてな、お前の夫は俺だけだろう」


「あたしの夫は篤さん。 でもこの指輪は篤さんでもあるんです。 篤さんに貰ったから。」


そう可愛いこと言うな。


とくしゃくしゃと髪をかき回された。 そして暖かく、ぎゅっと、いつもの風景の中で抱かれる。


「失くすなよ。俺の分身。」



消えたリングはまた手の中に戻ってきた。

堂上もまた、ここにいる。



***


((多分後日談続きます!あの上田さんとの後日談です。))