Chamomile tea -4ページ目

Chamomile tea

図書館戦争の二次小説を書いています。基本堂郁です。
はじめての方は「はじめに」をご覧ください。(メッセージボードにINDEXのリンク貼ってます。)

お久しぶりです!本日無事(?)にテストが終わったのでまた更新再開します。

ずっとやすんでいてごめんなさい泣

だいぶ前となってしまいましたが「小さな幸せ」の続きです。

郁ちゃんがすこしカワイソウなことになってしまうので苦手な方はご遠慮ください。


恋人期



***


今日は待ちに待った桃いるかのストラップを購入する日。

風当たりが強いという予報だったので二人とも少し暑着だ。


「お前、やけに今日ニヤニヤしてるな。」

「だって桃いるかですよ!?教官!もう昨日なんて・・・」

「眠れなかったんだろ。そのヒドイ隈を見ればわかる。」

「えっ・・・隈できますか!?」


やだ、と言いながら郁は顔を手で覆った。


確かに今朝メイクするときになんとなく目の下が気になったような気もしたが、昨日眠れなかったせいで寝坊してしまったので急ぎすぎてメイクの際に電気をつけなかったのだ。隈ができていようができていまいが全くわからない。 それに、運悪く、というのか、今日は柴崎が仕事だったためいつもビシバシ指摘してくれる人がいなかった。


覚えのある事情になんで昨日早く寝なかったんだ、と悔やむ。


「今日も寝不足かもな」


しばらく考えに止まったが堂上のニヤリ加減を見て顔が真っ赤になった。


「ちょ、どういうことですかそれ!」

「わからないのか?説明するか?」

「いいえ!結構です!」


堂上のニヤリ度がこれ以上加速する前に郁は言葉を遮った。


「そんなことより教官、あれ!」


郁が指差す先にはなにやら行列がある。


「なんだ?あれ・・・」

「たぶん、桃いるかのストラップの行列だと思います。」

「は?」


堂上が驚いた顔で立ち止まった。


「なにかありましたか?」

「いや、なんで桃いるかにそんな行列が並んでるんだ?」


堂上が驚くのもよくよく考えてみれば無理は無い。

この前ケーキを買った時は外に出て桃いるかのケーキを宣伝するくらいそこまで人気じゃなかったのだ。人気といえば小学生などが殆どで郁のような20代の若者には殆ど売れていなかった。が、最近雑誌で取り上げられたのをきっかけに、桃いるかの意味とそのかわいらしい容姿がたちまち若者達に人気となり今となっては取り寄せ待ちをしている店も少なくない。

そんな桃いるかの情報を郁は毎回新聞や雑誌でチェックしているのだ。


「桃いるか最近凄く人気らしいです。前にケーキ買ったときはそんなに人気じゃなかったんですけど・・・。しかもあの桃いるかの意味がすっごく重要なんですよ。」


「意味?」


堂上は昨日柴崎に吹き込まれたことを思い出し、頬が緩んだ。


「あ・・・・ いや、なんでもないです!とにかく、はやく並ばなきゃ買えなくなっちゃうので並びましょう!」


郁は半ば強引に堂上の手を引いて列へと並んだ。

販売開始まであと30分以上もあるのにもう10人以上の人が列に並んでいる。

時間をつぶそうと堂上のほうを見た瞬間、ふと黒い物体が動いたのが見えた。

視力2.0の目を酷使し、よくよく見るとそれは人間だ。後ろに女の人が追いかけている。


「あれって・・・」

「ん?なんだ?」

「引ったくりじゃないですか?教官、行きましょう!」


堂上が『おい』と止めるのを聞かずに郁は飛び出して行った。

こういうときには足の速さはとてつもなく役に立つ。


近くまで行くと紫の女が「バック返して~」と言いながら走っているのが聞き取れた。黒い男は体育系なのかある程度足が速いようだが流石に郁を越す速さではない。


以前ひったくり犯を捕まえたときの要領を思い出し、上にとっつかかって一気に転ばせた。


すると黒い男は戦う気がうせたのか一気に抵抗をやめた。

男は30代前半と見られる男で結構筋肉質だ。だからあんなに速かったのか、と納得する。


「ちょっと、そのバッグ返しなさいよ」


黒い男はバッグを郁に渡した。そのバッグはいかにも高級そうである。


郁が黒い男を連れて警察に行こうとしたその刹那

一気に頭が地面にぶつかった。


「っめえふざけんな!」


頭を強打してしまい身動きがとれない。

周りがざわついている音が聞こえるがその音がどんどん遠ざかっていく。視野がだんだんぼやけ始めた。


「郁!」


だれかがあたしを呼んでいる


ただそれだけのことしかわからぬまま郁は意識を失った。



***




お久しぶりです。学校がスタートしてしまって忙しくブログの更新をストップしてました汗汗

これからたどたどになるかもしれませんがよろしくお願いします^^



恋人期



***


今日も一日が始まる。

毎日六時ぴったりに設定したアラームを止めて堂上はゆっくりと起き上がった。今日はどんな夢を見たか覚えていない。昨日は郁が登場して大きな拳骨を食らわせた記憶があるが・・・。夢に出てきただけでその日一日が幸せなような気がするのは重症だろうか。

ベッドを整え、カーテンを開けて、朝お決まりの水を飲む。

そういえば昨日郁に「朝歯磨きをする前に水を飲んだら菌がお腹に全部入っちゃうんですよ!」とか言われたっけ。思い出したところで手を止めて洗面所へと向かった。


ここは共同スペースだが六時だと人もまだまばらだ。六時半ごろになるとごった返すので堂上はそれが嫌いで六時に起きている。恐らく郁は未だおきていないのだろう。毎日10分前を言いつけているのに必ずといっていいほどぎりぎりに来て勢いよくドアを開けるのだ。 きっとあのドアはいつか壊れる。


「おはよう、どーじょう。顔、怖いよ?」


ふと肩に見慣れた感覚が寄せた。小牧の手だ。よほど怖い顔をしていたのか小牧が苦笑している。


「おはよう。」


「笠原さんのこと考えてたでしょ?」


不意を突かれて眉間の皺が深まる。この悪友にはなんでもお見通しなのだ。


「あれ、図星?笠原さんと一緒、わかりやすいよね~」


小牧がおかしそうに腹を抱えて笑った。


「何を考えていてもいいだろう。あいつと一緒にするな。あんなコロコロ変わっていたら心も体も持たん。」


「そんな、笠原さんに失礼だよ。明日公休でしょ?外泊届けだしておく?」


「余計なお節介はいらん!もう10分以上もここにいるからもう俺は出勤する!」


小牧の笑い声を背中で聞きながら堂上は大股歩きでその場を去った。



なんでお前がここに



時計は未だ六時半より前だ。捨て台詞で先ほど小牧に出勤するなんて言ってしまったが正直かなり後悔していた。が、今、郁がなぜ男女共同スペースにいるのか。自分の中でした計算では今はまだ郁はベッドの中で寝言を言っている筈だったのだが。捨て台詞を吐いた後悔より驚きのほうが圧倒的に大きい。


新聞に見入っていた郁は堂上が肩を叩くまで全く気配に気づかなかった。


「うえええ?わっ、堂上教官!おはようございます!」


「お前今まで気づかなかったのか?」


気配に敏感な郁は普段は誰よりも早く特殊部隊質に来客があれば気づく。聴力がいいのか、それとも野生の本能か。


「えぇっと・・・新聞に夢中になってまして・・・。いつもなら堂上教官の匂いが近くにしたらすぐ気づくんですけどね~」


匂いで気づくってやっぱりお前は犬か、犬なのか、と突っ込みたくなったがかわいい顔で言われたので犬ではなく人間だと脳内で訂正した


「なにか読みたい記事でもあったのか。」


考えなくてもふと口から出た疑問。 そこまで夢中になる記事って一体なんだったのか。


「あー・・・えぇっと・・・・」


郁は途端に口籠もった。そんな言いづらい記事なのだろうか。顔に出たのか郁は猛スピードで堂上に新聞を見せ付けた。


「これです、これ!」


郁が指差す先には小さいイルカの写真がある。


「ももいるかの新作ストラップが新宿店限定で出るんですよ・・・。。。でも期間限定で、。、。、。行ける日が無いんです。」


新聞に書いてある日付を見ると今日、明日、明後日の三日間だった。

図書隊は休日が毎回決まっているわけではないのでどうも感覚が狂ってしまうが、確か今日から三日間は連休の筈だ。堂上班は明日公休が割り当たっているので郁と出かける予定だった。


「それなら明日、そこに寄っていくか。」


「いいんですか!?」


輝く笑顔は子供のように純粋だ。そんな郁を見てNoとはいえないだろう。


「もちろんだ。どちらにせよ新宿は通るし、ついでってことで行けるじゃないか。」


ありがとうございます!ときらきら笑顔で郁は礼を言った。郁は未だ部屋着姿だったので急いで部屋へと戻っていった。




「堂上教官、そのももいるかの意味、しってますか?」


新聞記事を見ていると入れ違いに来たのか柴崎が向かいに座っていた。


「・・・・知らない。っていうかお前、盗み聞きしてたのか!?」


「やだ、聞こえただけですよ。」


かなりわざとらしいがいつものことなので苦笑で済ます。


「このももいるかの意味、好きな人が幸せになれますようにっていう意味なんです。笠原は純粋ですからねえ。あたしが男だったらとっくに教官から奪ってるのに。」


「それは駄目だ。」


じゃ、あたしは業務がありますのでお先に、というと柴崎はその場を後にした。


出勤前に思わぬ幸せが堂上に訪れた。

好きな人への幸せなら、もう、受け取ったぞ、郁。

その日一日堂上が妙にご機嫌だったのは言うまでも無い。



***

今回はずっと書きたかった「もしもカミツレデートが続行していたら」を書きたいと思います。

タイトルセンス0ですみません汗。

いつもパラレルですが、今回は特にパラレル全開なので苦手な方はご遠慮ください。

原作31ページ辺りを少し読むと流れがわかりやすいかもです!



***


堂上が探した映画は今話題の映画だった。もちろん郁が好きなアクションもの。

普通こういうときってラブ系の映画観るんじゃないの!?というのは隅においておく。ラブ系は正直苦手だからだ。


「これでどうだ」

「はい!これすっごく観たかったんです!」


ケーキの最後の一口を口に放り込んだ。堂上もカモミールティが僅かに残っている。

このデートみたいな状況・・・ いくら上司と部下でももし自分のことが嫌いだったらお茶には誘わない。だから自分は一応嫌われてはいないんだと思い込む。 そうしないと心が落ち着かない。


目の前にいる堂上はやはり男らしかった。

今は脱いでいるがトレンチコートがよく似合う。普段から鍛えているだけあってかっこいいのだ。


普通の男とは一味違う。


お茶を飲む堂上をまじまじと見つめて観察していると顔を上げた。


「うぎゃっ、すみません。」

「すみません、って何がだ。プライベートなんだ、そんな固まらなくてもいい」


固まらないわけないじゃないですか、教官!

好きな男とお茶ですよ?お茶お茶!それにさっき映画の約束をしたばかり・・・


「笠原」


思考をめぐらせているところに堂上が真剣な面持ちでこちらを見つめた。


そんな表情で見られたら顔がユデダコになっちゃうじゃないですか・・・。。。


「はいぃっ!」


「お前が好きだ。付き合ってくれないか。」


今、なんていった?

好き?付き合う?

あまりの衝撃に郁は固まった。堂上に嫌われてはいないと思いこんだ。が、好きっていうのは・・・

それって・・・部下として、ではないですよね?と尋ねると堂上は大きく目を見開いた。


「当たり前だ。お前はどうだ・・・?」


「は、はい!あ、あたしも教官が・・・好き、です。その、部下としてじゃなくって。」


カチンコチンになりながらも答えると堂上は今までに見たこともないようなやさしい笑顔を浮かべて郁の頭をそっと撫でた。


「映画に行こう、郁。」


とどめの名前呼びによって郁はノックアウトしたのであった。



店を出ると堂上がさりげなく手を繋いできた。この状況、夢か。夢なのか?

夢なのだとしたら随分と自分に合わせた都合のいい夢・・・


郁は立ち止まって自分の頬をつねった。


「いてっ」


「夢じゃないぞ。」


「夢です。これは、きっと夢です。でも覚めたくないなあ・・・」


なにをかわいいことを。

郁らしい振る舞いに堂上は頬を綻ばせた。


正直、今日はものすごく緊張した。断られたら、走って逃げられたらどうしよう、と。今まで何度も告白の機会があったのにしなかったのはそれを恐れていたからだ。しかし、恐れてばかりでは実らない。今日は告白を絶対にする、と意気込んで来た。

服は以前親父から貰った少し値の張るものをチョイスし、入念に整える。


7年、7年の恋。それが散るか、実るか。


もう郁はあのときの高校生ではない。業務を除けば立派な図書隊員だ。堂上が過保護といわれつつも大切に育ててきた。


入隊当初は「ちびで性格の悪いクソ教官」と散々に言われていた。自分のせいで危険な職業を選ばせてしまった、とひどく後悔した。


しかし、時が経ち、郁と過ごすにつれ、入念に鍵をかけてきたジュエルボックスは壊れていった。


そして今。きれいな、透明なジュエルを堂上の色に染めようとしている。


「郁、映画が始まるぞ」


「はい!」


にっこりと笑う郁の手を引いて映画館へと足を踏み入れた。


***