お久しぶりです!本日無事(?)にテストが終わったのでまた更新再開します。
ずっとやすんでいてごめんなさい泣
だいぶ前となってしまいましたが「小さな幸せ」の続きです。
郁ちゃんがすこしカワイソウなことになってしまうので苦手な方はご遠慮ください。
恋人期
***
今日は待ちに待った桃いるかのストラップを購入する日。
風当たりが強いという予報だったので二人とも少し暑着だ。
「お前、やけに今日ニヤニヤしてるな。」
「だって桃いるかですよ!?教官!もう昨日なんて・・・」
「眠れなかったんだろ。そのヒドイ隈を見ればわかる。」
「えっ・・・隈できますか!?」
やだ、と言いながら郁は顔を手で覆った。
確かに今朝メイクするときになんとなく目の下が気になったような気もしたが、昨日眠れなかったせいで寝坊してしまったので急ぎすぎてメイクの際に電気をつけなかったのだ。隈ができていようができていまいが全くわからない。 それに、運悪く、というのか、今日は柴崎が仕事だったためいつもビシバシ指摘してくれる人がいなかった。
覚えのある事情になんで昨日早く寝なかったんだ、と悔やむ。
「今日も寝不足かもな」
しばらく考えに止まったが堂上のニヤリ加減を見て顔が真っ赤になった。
「ちょ、どういうことですかそれ!」
「わからないのか?説明するか?」
「いいえ!結構です!」
堂上のニヤリ度がこれ以上加速する前に郁は言葉を遮った。
「そんなことより教官、あれ!」
郁が指差す先にはなにやら行列がある。
「なんだ?あれ・・・」
「たぶん、桃いるかのストラップの行列だと思います。」
「は?」
堂上が驚いた顔で立ち止まった。
「なにかありましたか?」
「いや、なんで桃いるかにそんな行列が並んでるんだ?」
堂上が驚くのもよくよく考えてみれば無理は無い。
この前ケーキを買った時は外に出て桃いるかのケーキを宣伝するくらいそこまで人気じゃなかったのだ。人気といえば小学生などが殆どで郁のような20代の若者には殆ど売れていなかった。が、最近雑誌で取り上げられたのをきっかけに、桃いるかの意味とそのかわいらしい容姿がたちまち若者達に人気となり今となっては取り寄せ待ちをしている店も少なくない。
そんな桃いるかの情報を郁は毎回新聞や雑誌でチェックしているのだ。
「桃いるか最近凄く人気らしいです。前にケーキ買ったときはそんなに人気じゃなかったんですけど・・・。しかもあの桃いるかの意味がすっごく重要なんですよ。」
「意味?」
堂上は昨日柴崎に吹き込まれたことを思い出し、頬が緩んだ。
「あ・・・・ いや、なんでもないです!とにかく、はやく並ばなきゃ買えなくなっちゃうので並びましょう!」
郁は半ば強引に堂上の手を引いて列へと並んだ。
販売開始まであと30分以上もあるのにもう10人以上の人が列に並んでいる。
時間をつぶそうと堂上のほうを見た瞬間、ふと黒い物体が動いたのが見えた。
視力2.0の目を酷使し、よくよく見るとそれは人間だ。後ろに女の人が追いかけている。
「あれって・・・」
「ん?なんだ?」
「引ったくりじゃないですか?教官、行きましょう!」
堂上が『おい』と止めるのを聞かずに郁は飛び出して行った。
こういうときには足の速さはとてつもなく役に立つ。
近くまで行くと紫の女が「バック返して~」と言いながら走っているのが聞き取れた。黒い男は体育系なのかある程度足が速いようだが流石に郁を越す速さではない。
以前ひったくり犯を捕まえたときの要領を思い出し、上にとっつかかって一気に転ばせた。
すると黒い男は戦う気がうせたのか一気に抵抗をやめた。
男は30代前半と見られる男で結構筋肉質だ。だからあんなに速かったのか、と納得する。
「ちょっと、そのバッグ返しなさいよ」
黒い男はバッグを郁に渡した。そのバッグはいかにも高級そうである。
郁が黒い男を連れて警察に行こうとしたその刹那
一気に頭が地面にぶつかった。
「っめえふざけんな!」
頭を強打してしまい身動きがとれない。
周りがざわついている音が聞こえるがその音がどんどん遠ざかっていく。視野がだんだんぼやけ始めた。
「郁!」
だれかがあたしを呼んでいる
ただそれだけのことしかわからぬまま郁は意識を失った。
***