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Chamomile tea

図書館戦争の二次小説を書いています。基本堂郁です。
はじめての方は「はじめに」をご覧ください。(メッセージボードにINDEXのリンク貼ってます。)

上官部下期  訓練中


***


夏は水分補給が絶対だ。

特に戦闘職種である図書隊員にとって水分を取らずに訓練をするなどということは自ら死に行くようなものである。だから訓練の合間には必ず水分補給をした。ボトルの見た目に凝るものはもちろん誰一人いない。部活のようにマネージャーがいるわけでもないので必ず独自で用意することになっている。


だが、「うっかり成分」が80%を占める郁に必ず忘れないというのは難しかった。


もちろん忘れた日には必ず堂上に怒鳴りつけられる。水分が無くては倒れてしまうので自腹で自販機に行って買うことになるのだ。


そしてしばらく忘れ物が無かったはずなのに。今日、忘れてしまった。


「うわあ。どうしよう・・・・・」


「なんだ。緊急事態か。」


手塚は冷静にこちらを怪訝な目で見つめてきた。もちろん手塚にとっては『緊急事態』とまではいかないが郁にとっては十分『緊急事態』だ。


「うん。緊急事態。水忘れた。」


緊急という言葉に反応したものの水を忘れたという何とも間抜けな理由を聞いた手塚は大きくため息をついた。


「お前、それ、何回目だ。」


「わかんない・・・・。って、昨日も忘れたみたいにいわないでよ!ここ3週間は忘れてないんだかラっ!」


「ったく・・・。俺は知らない。自分でどうにかすれ。」


要するに、堂上に怒られても手塚は知らない。ということだ。まあこれは郁個人の問題なので仕方がないがここで何かフォローを入れてくれたっていいじゃん、といじける。


仕方ない。自販機に買いに行くか。


自販機に着いたところで郁は目を見張った。


そこには、『売り切れ』の文字がズラリ


「なに・・・・これ・・・・。あたしは水すら飲めないのかーーーーーー!堂上教官に怒られるーーーー!」


「水忘れたのか。」


ぎょっとして振り返るとそこには堂上が仁王立ちしていた。何故ここに、と思ったが時計を見るともう集合時間の5分前だ。常に10分前行動を命じている堂上だ。何があったのかと思っていたら自分の名前を叫ぶ郁の姿が目に入ったのだろう。


「はい・・・。でも、全部売り切れなんです。だから仕方ないのでもう戻りますね。」


Uターンしようとした矢先、堂上が郁の行く先を手で制止した。


「アホか貴様!水分を取らないでどうする!水道の水を持ってこい!集合時間は気にしなくていい。だが、腕立て10回だ。」


いつまでも厳しい堂上だが思わぬフォローに助かった。



その後、堂上が集合場所に戻って郁を待つが、郁が全く戻ってこない。ここから水道まではすぐだ。そう時間がかかるものではない。


「笠原さん、遅いね。見てくるか。」


おう、と小牧に頼み郁の様子を見に行ってもらうことになった。



「か、笠原さん!!聞こえる?」


小牧が水道にたどり着くと水が流れっぱなしになっているところに倒れる郁の姿が目に入った。

どうやら熱中症で倒れてしまったようだ。顔が真っ赤になっている。 水道の水を触ると温く、全く冷たさが感じられなかった。



***


今日三本も書いてしまいました汗

しかも、一回で終わらないタイプーーーーーーーーーーーーーーー!

すみません。これも続きます汗。

可愛い郁ちゃんを書いてみたかったのでとにかく可愛くしたいと思います。


結婚後


***


「うっ・・・・」


郁が目を覚ますと頭に鈍い痛みが走った。


なんだろう。


身体を起こすと視界がぼやける。そして顔がいつもより熱い。


もしかして、風邪?


隣を見るともう既に堂上は起きたようだ。


今日は確か特別訓練という訳ではなく館内業務が殆どだった。そしてプレゼンがあるはずだ。休むことは出来ない。

しかし堂上に風邪だということが知られたらきっと、休まされるだろう。


郁は重い腰を上げてベッドから降りてリビングへと向かった。



「おはよう、郁。」


プライベートでしか見せないこの笑顔に郁は癒された。この笑顔を見て毎日やる気がわいてくる。郁はおはよう、篤さん。と笑顔で返した。

結婚後もう2年半ほどになるが、これまでこの笑顔に何度助けられたか。そう思うと堂上の存在を非常に大きく感じた。


堂上家のルールは早く起きた方、帰宅した方が食事を作る。

共働きの為、これが当たり前となっていた。

帰宅は郁が早いものの朝は堂上の方が早起きの為たいていは堂上が先に食事を作ってくれる。その料理も絶品で、日に日に上達しているようにも思えた。


「篤さん。今日も凄く美味しい。」


「俺はお前が食べているところを見るのが幸せだ。」


堂上が郁の顔を覗き込んだ後、すぐさま怪訝な顔をした。


「郁。顔が赤いぞ。」


おでこに手をかざそうとする。

しかしこの熱だ。絶対にばれる。と思った郁はすっと体を避けた。


「ふ、布団が暑かったの!大丈夫だよ、全然!」


堂上は郁が避けたのを不審に思ったが、郁がいつも通りの笑顔なのでそう信じることにした。


10分後


いつもなら必ず間食するはずの食事が半分しか進んでいないのに郁は皿を下げた。

明らかにいつもとは違う。

思えば、布団が暑かったのならばもう頬の赤みは消えているはずなのに先程よりまして赤い。ここは郁がなんと言おうとまずは熱を確かめなくてはと堂上は不意打ちを狙って郁を押さえつけようとした。


「うわ!あ、篤さん!」


郁は必死で抵抗しているのだがいつもより力が入らないのか全くこちらには伝わってこない。

堂上はスキを狙っておでこに手をあてた。


「郁!酷い熱じゃないか!今日は公休日だ。なにも隠す必要はない。さっさと病院行くぞ。」


は?


郁の思考回路が一瞬停止した。

今日はプレゼンがあって館内業務ばっかりの普通の日・・・・・ カレンダーに目をやると公休日のアカマークがしっかりと塗ってあった。


「ごめんなさい・・・・てっきり今日・・・・仕事あると・・・」


はぁ、と堂上が深いため息をついた。


「お前なあ。風邪の面倒くらい見させろ。お姫様の看病なんて大歓迎だ。」


堂上の優しい言葉に一筋の涙がこぼれた。


風邪をひくと弱くなる。



ふらつく足元を堂上に支えられながら、病院へと向かった。。。。


***


いつもとは違って弱い郁ちゃんを助ける篤さん( ´艸`)

妄想ワールド全開ですw

長くなりそうですがお付き合いください^^


ココロ⑥です。

恋人前 いよいよ合コンへしゅっぱーつ★


***


「笠原。」


急に低い声で声をかけられたので驚いた。思わず声が上ずる。堂上が低い声を出すと妙に迫力がある。声は小さいのだが、その声に込められた気持ちがあまりにも大きいからだろうか。


「はぃぃぃぃ!な、なんでしょか!」


「今はプライベートだ。そんなに緊張するな。さっきの連中みたいなのは無視すれ。あんなガキに純粋なお前は強すぎる。生身の人間に塩酸をかけられたようなもんだ。」


ああ、やっぱり迷惑かけちゃったんだ。どうしよう。

直感でそう思った。すっかり忘れかけていたので心臓に針をチクリと刺されたような気がする。


「すみませんでした。迷惑かけちゃって。」


郁が漏らすと堂上の眉間にしわが寄った。そこまでひどいことしてしまったのか、あたしは。と益々ネガティブ化していく。


「アホか。心配してるんだ。要するにあんなのは気にすんなって言ってんだ。」


えっ、教官が・・・あたしを心配?

じゃあ、今までのやり取り聞いてたの?

数々の疑問が頭に浮かびあがる。と同時にあまりに嬉しくて顔が紅潮し、口元が緩んだ。


ふと、物思いに浸っていると聞き覚えのある声が脳内に響いた。

もしや・・・・・これは・・・


「ヒューヒュー!恋人か?お前らは!いいコンビじゃねぇか。タスクフォースのお姫様を奪うなんて堂上もいい度胸だ!なぁ?小牧?」


声の主は・・・そう、玄田隊長だ。


そういわれるのもそのはず。


堂上と郁は手をつないだままここまで来てしまったのだ。なんという間抜けなことをしてしまったのか!


二人して顔が赤くなる。


言い訳してもしようがないというのはもうわかりきっていることなのだが、ここで言い訳しないとどうする事も出来ないので適当に言い訳をする。


「ち、違います!断じて違う!これには深い事情があるんです!勝手に状況作らないでくださいッ!」


堂上はそれだけを言い残すと不機嫌そうな顔ですたすたと行ってしまった。


残された郁は堂上が郁と恋人だと言われたことに強く反発したことがなんだかむず痒い。

別に恋人同士じゃないんだから・・・そんな、否定するなんて当たり前よ。と自分に言い聞かせるのだが頭では分かっていても心は納得してないようだった。


「笠原さん。堂上、あれ、照れ隠しだよ。」


思わぬ小牧のフォローに目頭が熱くなる。


「そんな、笠原さんに泣かれたらまた堂上”お姫様を泣かせた”って言われて一層眉間の皺がふえちゃうからさ。ほら。」


そうか。


自分が堂上の足を引っ張れば堂上に迷惑をかける。


今更、そして当たり前のことを再認識した。



気が付くと、目の前には堂上の姿があった。


小牧や玄田隊長はいつやらいなくなっている。


「悪かった。笠原、行くぞ。」


堂上の目は郁を心配するまなざしだった。


はい、と返事をすると堂上は仏頂面に戻ったがその顔は凛としていていつもより素敵に見えた。



この光景を小牧と手塚、そして柴崎が覗き見してニヤニヤしていたのはひ・み・つ!



***