「うーん。どれもパッとしないね。」
そう言うのは、大宮怜だ。
最近、暗礁に乗り上げていることがある。
アルバムの命ともいえる、タイトルがなかなか決まらない。
『夢人の今までとこれから』、『希望と・・・』に当てはまる言葉がなかなか見つからない。
前のホワイトボードに書かれている文字は、「夢」、「未来」、「心」などなど。
怜が言うように私も納得はしていない。どれもダメなわけじゃないけど、心に来るものがない。
「煮詰まって来たね。一端休憩にしようか。」な桐生大輔の一言で、15分ほど休憩時間になった。
最近この休憩に楽しみを見つけた。
10階にある会議室から2階までエレベーターで降りる。
ここは全フロアダンススタジオになっていて、小学生からかなり大きな人まで、ダンスのレッスンを受けたり、自主練習をしたりしている。
奥から2番目の、ちょうどカーブになっていて人から気づかれにくいところにある部屋で私は足を止める。
中では、同い年くらいの男の子3人が黙々と鏡に向かって練習している。
部屋が大きいのと目が悪いのもあって顔があまり見えないけれど、3人のダンスはいつもぴったり揃っていて、すっと引き込まれて、時間が経つのも忘れてしまうくらい魅力的だ。
ふと腕時計を見ると15分が経ちそうになっていて、慌てて10階まで戻った。
そうやって休憩時間を過ごすと不思議と頭も体も心もリフレッシュされて、何か良いことが起こったり思い浮かんだりする予感がする。
今日もその予感に期待してみたけど、しっくりくるタイトルは見つからないまま、時間だけが過ぎていき、解散となった。