「当たっちゃたんだ。」
あの郵便の中身、夢人の10周年記念アルバムの制作スタッフに選ばれたということを、家族に言うと、食卓の父がご飯をかき込んで、リビングへ来た。
「それ募集してた番組あっただろ。たまたまそれ見てて、たまたま葉書余ってたから、送ってみたんだよ。でも、当たるとは思わなかったな。」
「で、やるんでしょ、それ。面白そうじゃん。」
そう言うのは、3歳年下の妹、花音[かおん]だ。名前のように、ピンクやスカートがよく似合う女の子である。ただ少し口が悪いのがキズだ。
断るよ
あたしがやると大変だろうし
迷惑かけちゃう
そう書いて、1度文字を消す。
逃げてる訳じゃない
冷静に考えて出した答え
私が書いたホワイトボードを、家族3人がじっと見つめた。その顔を見ると、反論は出来ないようだった。
“1回やってみたらいいじゃん。初めてやって失敗するのは当たり前だ。やっても無いのに諦めるな。”
いつもこう言って、両親は私を育ててくれた。そのお陰で、何事にも物怖じしない度胸と積極性が身に着いた。
しばらくの時間が流れた。みんなが納得してくれたと思った時、母が口を開いた。
「1回やってみたらいいじゃん。」
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