はじめに

 みなさん、こんにちは。本野鳥子です。今回は、私の敬愛する作家さんである荻原規子さんのエッセイ、「もうひとつの空の飛び方」についてです。以前出版された「ファンタジーのDNA」を改題して文庫化ということらしいのですが、荻原さんのエッセイは上橋さんのものと違って読んだことがなかったので、とても楽しめました。どうぞ、お楽しみください。

 

「もうひとつの空の飛び方 『枕草子』から『ナルニア国』まで」荻原規子(角川文庫)

 「空色勾玉」「レッドデータガール」「西の善き魔女」など、数々のファンタジーの名作を発表してきた荻原規子さん。その根源は、どこにあったのかが、綴られていく。

 

 古今東西、様々な作品が取り上げられており、とても面白かった。読んだことのある作品、気になってはいたけれど、手をつけられていないもの、それから全く題名も聞いたことのなかった作品……ぽんぽんとたくさんの本が飛び出してきて、楽しむことができた。大好きなサトクリフも名前が出たし、指輪物語、ナルニア国物語など不朽のファンタジーの名作から、枕草子まで、色とりどりだった。

 

 このエッセイを読んでいて思い出したのは、やはり「レッドデータガール」である。主人公の泉水子は、愛読書を聞かれて、枕草子、と答え、相楽深行はトトロが好き。ここは、作者自身の投影なのかもしれない。作品の中では、一人の人間として瑞々しく息づいている登場人物たちが、たった一人の作者の頭の中から飛び出してきた存在だということに実感が湧いた。

 

 

 ところで私は、「指輪物語」は全巻読んだのだが、「ナルニア国物語」を全部読んだかどうかあまり自信がない。多分読んだと思うのだが、記憶がかなりおぼろげなのだ。これを機に、読み返してみるのもいいかもしれない。また、「枕草子」は読んだことがなかったので、気になってきた。学校で習うような一部分ではなく、全部を通して読んでみたいものだ。時代の中の偉人といった印象が強い人々の肉声を聞いてみたい。それから、実はモンゴメリの「赤毛のアン」を読んだことがないのである。「ゲド戦記」も読んだような、読んでないような……とまあこんな調子で、もったいないことをしている。読みたい本が山ほど増えたエッセイだった。

 

おわりに

 ということで、荻原さんのエッセイ「もうひとつの空の飛び方」についてでした。私もこのような自分の読書遍歴について語ってみたいです。まだまだ精進が必要ですね……。

 

 さて、次回はワイルドの「サロメ」についてです。どうぞお楽しみに。最後までご覧くださりありがとうございました!