はじめに

 みなさん、こんにちは。本野鳥子です。ようやく4本連投の最後です。一気に書くのってだいぶ疲れますね。そんな今回は、「ホメーロスのオデュッセイア物語」についてです。ヨーロッパ文学最古で最高峰とも言われるこの壮大な叙事詩を、どうぞお楽しみください。

 

「ホメーロスのオデュッセイア物語」(岩波少年文庫)バーバラ・レオニ・ピカード(岩波少年文庫)

 「イーリアス」の続編に位置づけられることが多く、トロイアの戦争では、ギリシア軍きっての智者として謳われたオデュッセウスが、故郷で自らが治めるイタケーの島に帰るまでの波乱の日々が語られる。

 

 古典ということで、読みにくいものを想像していたが、さすがそこは岩波少年文庫。次から次へと襲い来る災難に、心を躍らせ、あっという間に読み終わってしまった。「イーリアス」もこの岩波少年文庫で読んだが、本当にお世話になっていて、感謝してもしたりない。すぐに完訳に手をつけるのはためらわれることもあって、助かった。

 

 ヨーロッパ文学の最高峰とされるのも、納得の面白さだ。これが、紀元前に書かれ、現代まで受け継がれていることの奇跡が心に迫ってきた。名を残した人々が、みなこれを手に取っているのにも、うなずいてしまう。

 「背教者ユリアヌス」の解説で、日本にホメーロスのような叙事詩はない、ということを篠田一士さんが書かれていたが、確かに、こんなに壮大な古典を私は知らない。無理矢理当てはめるなら、「桃太郎」などか、とも思うが、到底比べものにならない壮大さと緻密さである。

 

 主人公であるオデュッセウスが、みすぼらしい乞食に扮していることを、読者は知っているのに、その息子であるテーレマコスや妻のペーネロペイアなど、その事実を知らない人々がオデュッセウスと会話をしているのを見ると、やきもきしてしまう。登場人物たちが、いつ読者の知っている真実にたどり着くのが気になって心配だった。

 

 ぜひホメーロスの詩は、完訳版、そして古代ギリシャ語で読みたいものである。かつては吟じて語られたこの詩は、どんな響きを持っていたのだろうか。

 

おわりに

 というわけで、「ホメーロスのオデュッセイア物語」についてでした。やれやれ、これでブログ更新を止めていたここ数日の分は消化できましたね。今はゆるゆると「北欧神話と伝説」などを読んだりしています。それも読み終わったらそのうち記事にしたいと思っていますが、いつになることやら。

 

 それでは、またお会いしましょう。最後までご覧くださり、ありがとうございました!