はじめに

 みなさんこんにちは、本野鳥子です。十二国記の再読を終え、今回からは、銀河英雄伝の再読をしていきます。どうぞお楽しみに。

 

「銀河英雄伝説 1 黎明篇」田中芳樹(創元SF文庫)

 銀河帝国、ラインハルト・フォン・ローエングラム。自由惑星同盟、ヤン・ウェンリー。この二人を中心に、人類の支配する星域の歴史が塗り替えられていく。その始まりが、この巻では描かれている。

 

 なんといっても、壮大な歴史が、まず背景にある。だから、人々も世界も息づいているように感じられるのだ。実際にこういう未来が訪れるのではないか、と思わずにはいられない。

 

 そしてまた、これから始まる彼らの物語への、密かな伏線も、今読み返してみると数々隠されていて、結末を思い巡らせるにつれ、ここまで考え抜かれていたのかと、感嘆の吐息が漏れてしまう。考えると、私は、一番最初に読むとき、語り手や主人公に完全に感情移入してしまうのだと思う。結末を知らないので、主人公たちと目まぐるしく変化する状況に一喜一憂し、とにかく先が気になる。

 

 だが、二回目、三回目となるにつれ、物語全体を俯瞰できるようになってくるのだ。なので、結末を知らない主人公たちとは距離が遠のいていく。その代わり、作者の立場にどんどん近づいていくのだろう。むろん、完全に作者の立場になることは不可能だが、読み返すにつれ、限りなくその立場に近くなっていく。伏線にも気づくようになるし、構成の巧みさに感心するようになる。

 

 だが、結末を知っているからこそ、胸に迫ってくるような記述も、数え切れない。ユリアンとヤン、ラインハルトとキルヒアイスの何気ない会話が、これほど愛おしく感じられるとは、全く思っていなかった。

 

 彼らの手によって創られていく歴史が、どんなことを下地にしていたのか。それに注目して、今回も銀河英雄伝説、読んでいきたいと思う。

 

少し長めのおわりに

 なぜ、私が今、銀河英雄伝説を手に取ったのか、という話です。まずは、十二国記を読み終えたばかりだから、というのが一つあります。ご存じの方も多いと思いますが、小野不由美さんは、銀河英雄伝説の影響を受けて、十二国記を書いたとのこと。この二つのシリーズを連続して読めば、何かしら見いだせるような気がしたのです。それから、今、NHKで銀河英雄伝のアニメが放送していますよね。銀英伝のアニメを見るのは初めてなのですが、そこまで違和感もなく、面白いです。ですが、キャラがとことん一致してこない。なので、原作を読み返そうと思いました。

 

 銀河英雄伝説の再読、次回も続けていきます。またご覧になっていただけると嬉しいです! 最後までお読みくださり、ありがとうございました。