2024 Recipients【The Dragon Award】
https://awards.dragoncon.org/2024-recipients/

 

 

2024年 ドラゴン賞(The Dragon Award)が発表されました。


ドラゴン賞は、一般からの投票によって受賞作品が決まるSF&ファンタジーの文学賞。
アトランタで毎年行われているアニメ、ゲーム、SF&ファンタジーの祭典「ドラゴン・コン(Dragon Con)」により2016年からスタートしました。
出版物だけではなく映画やゲームなどの部門も存在します。

前年の7月1日からその年の6月30日までに発表されたSFやファンタジー、ホラー作品が対象。
推薦を一般から受け付け、その後、候補作品発表(8月)→受賞作品発表(9月)のスケジュールで賞が決まります。

小説についてはSF部門、ファンタジー部門、ホラー、歴史改変もの、アポカリプスものなど色々部門がありますが、YAと児童文学は「YA&ミドルグレード部門(Best Young Adult / Middle Grade Novel)」ですべてのジャンルをひとまとめです。


(このブログでは基本的にYA&ミドルグレード部門のみのご紹介になりますので、他の部門については上のリンク先などをご参照ください)

今年のYA&ミドルグレード部門(Best Young Adult / Middle Grade Novel)の受賞作品はこちらです。


Midnight at the Houdini
by Delilah S. Dawson


アンナはラスベガスの街のキラキラの中で育ったが、誰にも自分を薄っぺらな奴だと言わせたりしないと心に決めている。姉さんのエミリーは家族のアイドルで、アンナはその真面目なマネージャーのようなものだった。でもそのエミリーに裏切られ、怒りに駆られて飛び出したアンナは、初めて見た高級ホテル「フーディニ」に逃げ込んだ。
そこでマックスという、生まれてからずっとホテルの中で暮らしているという少年に出会って恋をするが、そこは時計が12時を打つと永久に出られなくなる魔法のホテルだった。

日本には「STAR WARS ファズマ」などスターウォーズの公式小説の著者として上陸しているアメリカの小説家&コミックライター・デライラ・S・ドーソンのオリジナル作品。

 

 



この本と賞を争った今年の候補作品は以下の通りです。



Hideki Smith: Demon Queller
by A.J. Hartley


15歳のケイレブ・ヒデキ・スミスは最低レベルの冴えない男子だ。彼はポーターズヴィルの町の数少ない日系人のひとりで、自分がここに馴染めることはないだろうと悟っている。人気者でもなく、フットボールもできず、片思い中の女子には存在も認知されていなかったが、それもケイレブがうっかり町の名所を全焼させてしまうまでの話だ。
でもその日、ケイレブと妹のエミリーは、山で日本の神道の神社に出くわした。前日まではそこにそんなものはなかったのに。
それからケイレブには奇妙な能力が芽生え、妹は気をつけていないと急にキツネに変身してしまうようになった。原因を解き明かそうとする二人は、やがてなにかが山の下に封印されていることに気がついた。

日本の伝承を題材にしたファンタジー。アメリカで活動するイギリス生まれの児童書、YA&一般書作家でBABYMETAL好きYouTuberとして日本でもごく一部に認知されているA.J.ハートレイ(A.J. Hartley)のYA作品。
この人は甲府に2年間住んで学校の英語教師をしていたことがあり、その時に出会った奥さん(日系アメリカ人)のヒサコさんと息子のクマ(Kuma)くんが執筆に協力しているとのことです。

 

 



Homecoming In Black (The Black Chronicles #6)
by J.M. Anjewierden


劣悪な環境で重力が地球の2倍もある惑星ヒルマンの鉱山で生き延びられるのなら、自分に生き延びられない場所などないだろうとモーガンはいつも思っていた。
でもそれは彼女が宇宙船の技術者になるまでの話。今は敵意を向けてくる上司たちや装置の欠陥をさばいて、友だちの娘の面倒まで見なければならない。そして船が宇宙海賊の襲撃を受けたが、これ以上の仕事なんて抱えられるのか不明だ。

ソルトレイク郡の図書館司書でSF作家J.M.アンジュワイデン(J.M. Anjewierden)のYAスペースオペラ。シリーズ6作目。

 

 



So Let Them Burn (Divine Traitors #1)
by Kamilah Cole


ファロン・ヴィンセントは神の力を自分に降ろすことができる。5年前、彼女は故郷の島をラングレイ竜騎帝国から守るために使った。でも17歳になった今は、戦うべき戦もないまま力は完全に増しており、ファロンは民衆にとっては伝説、近所の人々にとっては厄介者だ。
そんなファロンの姉エララが、敵のドラゴンとの間に前例のない絆を結んでしまった。断ち切るには姉を殺すしかないという。

ジャマイカ生まれアメリカ育ちのYA作家カミラ・コール(Kamilah Cole)の作品。シリーズ1作目。

 

 



The Spirit Bares Its Teeth
by Andrew Joseph White


1883年ロンドン。生者と死者をへだてる幕は薄く、すみれ色の瞳を持つ能力者「話す者」たちは、その幕を透かして死者と交流できる。その目を持つ16歳のトランスジェンダーの少年サイラスは今年の末には親が決めた男と結婚することになっているが、従順な「話す者」の妻になるくらいなら目をえぐったほうがましだ。周りから見れば女の子でも、自分は男の子なのだ。
婚約から逃げ出そうとして失敗した彼は、すみれ色の瞳を持つ女性だけを発狂させる「幕の病」と診断され、ブラクストンの花嫁学校兼療養所に送られてしまう。ここでは生徒が消える事件が起きていて、その生徒の幽霊がサイラスに助けを求めてきた。

架空のヴィクトリア朝ロンドンを舞台にしたホラーミステリのようです。アメリカのYA作家アンドリュー・ジョゼフ・ホワイト(Andrew Joseph White)の作品。
2024年ストーンウォール賞YA部門オナー(銀賞)作品。2024年ローカス賞YA部門最終候補。