Congratulations 2024 Lammy Award Winners!【Lambda Literary】
https://lambdaliterary.org/awards/2024-winners/

 

 

2024年 ラムダ賞が発表されました。

これはロサンゼルスのLambda Literary Foundation (LLF)が主催する文学賞。ゲイ、レズビアン、トランスジェンダー、バイセクシュアル等の性的少数者(LGBTQ)を取り扱った、すぐれた文学作品に贈られます。

小説部門に回顧録部門、ミステリ、ファンタジー&ホラー、官能小説、恋愛小説、詩集…とさまざまな部門があって、その部門のほとんどがまたさらにゲイ、レズビアン、バイセクシュアル、トランスジェンダー部門に分かれていて…、と部門がいっぱいある賞。

児童書とYAは、絵本から小学校低学年向け作品が対象の「LGBTQ+ Children’s Books(LGBTQ+ 児童書)」部門、ミドルグレードが対象の「LGBTQ+ Middle Grade(LGBTQミドルグレード)」部門と、YAが対象の「LGBTQ Young Adult(LGBTQ YA)」部門の3部門があります。

このブログではYAとミドルグレード部門のみ取り上げていますので、すべての部門については上のリンク先などをご参照ください。

最終候補発表(各部門5作品程度/3月ごろ)→受賞作品発表(各部門1作/6月ごろ)のスケジュールです。


ではまずYA部門からご紹介。
今年のYA部門受賞作品はこちらです。


Only This Beautiful Moment
by Abdi Nazemian


2019年、LAで暮らすモードはイランのおばあちゃんがそろそろ危ないという知らせを受けて、父さんとテヘランへ旅立った。そこで判明した驚くべき家族の秘密が、モードを歴史、文化、自分自身への新たな理解へ導く。
1978年、サイードはテヘランで工学を学ぶ将来有望な学生だった。だが彼が急進派と関わったことを知った両親によって、身の安全のために大嫌いなアメリカに送られ、存在も知らなかった祖母と暮らすことに。
1939年、ステージマザーの母親に育てられたボビーは憧れのMGMスタジオと契約を結んだ。しかし彼が足を踏み入れた魅惑的なおとぎ話の世界は暗い側面をあわせ持っていた。

イラン系の家族の数世代にわたるトラウマと愛と隠された歴史の秘密に関する物語のようです。「ダリウスは今日も生きづらい」のファンにおすすめとのこと。
イラン系アメリカ人のYA作家アブディ・ナゼミアン(Abdi Nazemian)の作品。
2024年ストーンウォール賞YA部門受賞作品。

 

 



この本と賞を争った今年の最終候補作品は以下の通りです。



Cold Girls
by Maxine Rae


18歳のロリー・クイン=モレッリは死にたくない。1分でも長く現実から逃げていたい。8カ月前に自動車事故で自分は生き残り、親友のリヴは助からなかったという現実から。
思いがけずリヴの両親と再会したロリーは、リヴと自分の秘密を心に秘めておくか、それを話すことを自分に許すかを決めなければならなくなる。もし秘密を話したら、自分は平和の真ん中に何を掘り出してしまうことになるのか。

アメリカの新人YA作家マキシン・リー(Maxine Rae)のデビュー作品。

 

 



Pritty (Pritty #1)
by Keith F. Miller Jr.


ジェイは高校4年生。みんなが男はこうあるべしと思うだろうものすべてを持ったタフなスポーツマンの兄さんと違って、読書家で周囲に埋没してしまう存在だ。
そんなジェイと、ギャング「ブラック・ダイヤモンド」のリーダーを兄に持つリロイとのあいだに思いがけない友情が芽生えた。
でもリロイといると、ジェイの世界は何もかもが過熱していく。若手黒人ジャーナリストの殺害事件に、地元の抗争。ふたりはその中に巻き込まれてしまう。
リロイは自分がジェイの命を危険にさらす存在でありたくはないのだが…

カタギの文学少年とギャングの親族の少年のラブストーリーのようです。アメリカの新人作家キース・F・ミラーJr.(Keith F. Miller Jr.)のデビュー作品。シリーズ1作目。

 

 



That Self-Same Metal (Forge & Fracture Saga #1)
by Brittany N. Williams


16歳のジョアン・サンズはウィリアム・シェイクスピアの劇団の舞台仕掛けを発明して保全している才能ある女性職人だ。ジョアンの技術は金属を操れる魔法の力に由来しており、その力はオグン(ヨルバ神話の精霊)から与えられたものだ。彼女の一族はオリシャ(神/精霊)の祝福を受けており、ロンドンの妖精たちを常に監視してきた。ある日強力な妖精に傷を負わせ、残忍な王の息子を救ったジョアンは、人間と妖精の世界の政治的な陰謀に巻き込まれてしまう。

妖精が存在する架空のシェイクスピア時代ロンドンを舞台にしたヒストリカルファンタジーのようですが、ナイジェリア(ヨルバ)の伝承や文化が盛り込まれた作品でもあるようです。珍しい組み合わせですね。
アメリカの新人ブリタニー・N・ウィリアムズ(Brittany N. Williams)のデビュー作品。シリーズ1作目。

 

 



The Wicked Bargain
by Gabe Cole Novoa


マール・リオン=デ・ラ・ローサの16歳の誕生日に悪魔がやってきた。マールはトランスマスキュリンでノンバイナリーのティーンの海賊で、炎と氷を操れる魔法の力を隠している。だがその魔法でも父が交わした不正な契約を反故にすることはできず、今悪魔がその代償を取り立てにやってきたのだ。父とこの船乗組員全員の魂を。

これまでエイヴァ・ジェイ(Ava Jae)というペンネームで活動していたラテン系アメリカ人のYA作家ゲイブ・コール・ノヴォア(Gabe Cole Novoa)の本名での初刊行作品。