こちら↑の記事に引き続いて、2024年ラムダ賞の最終候補作品をご紹介します。
今日はミドルグレード部門です。
今年のミドルグレード部門最終候補作品は以下の通り。
Dear Mothman
by Robin Gow
6年生の途中で、ノアの親友で学校の自分以外で唯一のトランス男子だったルイスが自動車事故で亡くなった。冒険好きで好奇心旺盛だったルイスはいつも新しいオカルト話を探してきてはノアに教えてくれた。
ルイスの死後、ノアは、巨大な蛾の怪人モスマンに手紙を書き、科学コンテスト用の研究のために彼を探し始めた。そのうちに奇妙な出来事が起こりはじめて、モスマンは実在すると確信したノアは、森へ入って自力でモスマンを見つけると決意した。
アメリカの児童書作家で詩人ロビン・ゴウ(Robin Gow)によるヴァースノベル。
Ellie Engle Saves Herself
by Leah Johnson
エリー・イーグルは目立たない。父さんが出て行き母さんは1日中働きに出ていてひとりでペットの魚と過ごしている自宅でも目立たないし、週末に手伝っているウォーカーさんのパン屋でも目立たない。学校でもまったく目立たない。世界一かっこよくて行動的で才能がある女の子で親友のアビーの自分の名を知らしめるための冒険につきあっているから。誰かの日陰の存在でいることは、ほかの人にとってはつまらなかったり寂しいものでも、エリーは違う。隣にアビーがいて、手の中に漫画があるだけで完全に満足だ。
でも町が大地震に襲われ、エリーには触れるだけでなんでも元通りにできる特殊能力が芽生えてしまった。しかもその力を使っているところを撮られた動画がバズってしまい…
アメリカのYA作家リア・ジョンソン(Leah Johnson)の児童書作品。
Just Lizzie
by Karen Wilfrid
14歳のリジーは隣人と家族とのあいだのできごとのせいで、大好きなりんごの木と自分の子ども時代を置いて引っ越すことになった。兄さんは大学生活の最初の年で忙しく、友だちはみんな人形遊びよりも彼氏づくりに興味がある。置いてきぼりにされたような気分にならずにいるのは難しい。リジーは男の子にも女の子にもまるで興味がなく、だれかといちゃいちゃすることにも興味がないのだ。
アセクシャルの少女の成長物語のようです。アメリカの中学校の先生で新人ミドルグレード作家カレン・ウィルフリッド(Karen Wilfrid)のデビュー作品。
Matteo
by Michael Leali
11歳のマッテオは自分が周囲の男子たちと同じだと感じられたことが一度もない。でも父さんも昔所属していた野球チーム「ブルーホエールズ」に入ればそれも変わるはずと信じていた。父さんが自慢に思ってくれるような息子に成長するチャンスだ。
そしてマッテオは確かに成長したが、それは予想した方向にではなかった。マッテオは葉を生やし、皮膚が樹皮に変わりはじめたのだ。自分に起きている現象について調べはじめたマッテオは、すべての手がかりが町の中心にあるカシノキにつながっていることに気が付いた。
アメリカの児童書作家マイケル・レアリ(Michael Leali)の作品。
The Beautiful Something Else
by Ash Van Otterloo
完璧な娘でいるのは疲れる。だけど波風起こさず良い成績を取り続けるのは、母さんが壊れかかっているという事実から気をそらす唯一の方法かもしれなかった。
でも母さんの調子がさらに悪くなって、スパロウ・マローンはメグズおばさんと暮らすことになった。そこは広大な団地で、面白くてカラフルな隣人たちがたくさん住んでいる。そして生まれて初めて、人に自分を合わせるのは正しいことだと感じなくなった。スパロウの影さえ決まりに従うのをやめた。
影はスパロウが母さんに禁じられていた怖くてわくわくすることをなんでもやってみるように促し、スパロウは人生を変える何かを感じはじめた。
自分がノンバイナリーだと気が付く12歳を主人公にした成長物語のようです。アメリカの児童書作家アッシュ・ヴァン・アーテロー(Ash Van Otterloo)の作品。