2024 Hugo Award Finalists【Glasgow 2024】
https://glasgow2024.org/hugo-awards/2024-hugo-award-finalists/

 

 

2024年 ロードスター賞の最終候補作品が発表されました。

ロードスター賞は、毎年世界のどこかでSFファンの集会「ワールドコン」を催し、1950年代から続くファン投票によるSF文学賞ヒューゴー賞を管理している団体The World Science Fiction Society(世界SF協会/WSFS)が創設したYA対象のSF&ファンタジー文学賞。
ヒューゴー賞と同じくファン投票で選ばれ、同賞と一緒にワールドコンで発表されます。

例年最終候補発表(4月ごろ/6作)→受賞作品発表(8月ごろ/1作)のスケジュールです。

今年の最終候補作品は以下の通り。



Abeni’s Song (Abeni’s Song #1)
by P. Djèlí Clark


収穫祭の日、12歳のアベニが住む村に、ひとりの老女が恐ろしいメッセージとともにやってきた。
「おまえたちはわたしの警告を無視した。逃げるにはもう遅い。やつらが来るぞ」
そして燃える剣を手にした戦士たちが村に攻め込み、呪いの笛を持つ男が信じられないほど魅惑的な曲を奏で、アベニの愛する人たちは全員捕らえられて幽霊船に乗せられ、遠く離れた土地へ連れていかれてしまった。
アベニは老女に魔法の力で森に連れ去られ、望まぬ魔法の修業と、魔女からのがれるための長い旅と、そして故郷の人々を取り戻すための極めて困難な挑戦をはじめることになった。

コネチカット大学の歴史学の先生兼SF作家P・ジェリ・クラーク(P. Djèlí Clark)によるミドルグレード作品。西アフリカ風世界を舞台にした冒険ファンタジーのようです。シリーズ1作目。

 

 

 

 

 

Liberty’s Daughter
by Naomi Kritzer 


16歳の少女ベック・ギャリソンはシーステッド(海上住居)の上で暮らしている。リバタリアンの分離主義者たちが何世代も前に、いくつもの古いクルーズ船に乗降場を組み合わせて作った六つの人工島による独立国だ。
快適に保護されて成長したベックも、小遣い稼ぎに奇妙な仕事をはじめることに。借金を背負った奴隷のデビーが行方不明の妹を探すために雇える金額の探偵はベックだけだった。捜査をはじめたベックは、恐ろしい計画や、自分の人生と世界に関して父が隠している秘密にたどり着いてしまう。

アメリカのSF&ファンタジー作家ナオミ・クリッツァー(Naomi Kritzer)のYA作品。現在2023年アンドレ・ノートン・ネビュラ賞最終候補作品。

 

 

 

 

Promises Stronger Than Darkness (Unstoppable #3)
by Charlie Jane Anders


ティナは自分が「平凡」だと思い悩んだことがない。その必要がない。愛されて育った普通の少女ティナ・メインズは彼女の一面。実は惑星間通信のできる救助ビーコンの保持者で、それが起動したら、世界を救って星々を旅するという夢が現実になるのだ。しかし実際にビーコンが起動すると、ティナの運命は予想していたものと違っていて…
 
伝説的な銀河の女英雄(宇宙人)のクローンとして作られた女子高生を主人公にした青春スペースオペラ。
「永遠の真夜中の都市」のチャーリー・ジェーン・アンダーズのYAデビュー作「Unstoppable」シリーズの3作目(上のあらすじは1作目のものです)。

 

 

 

 

The Sinister Booksellers of Bath (Left-Handed Booksellers of London #2)
by Garth Nix


ほんの少し現実世界とずれた1983年のロンドン。スーザン・アークショウは一度も会ったことがない父親を探している。犯罪組織のボス・フランク・スリングレイの手を借りることができたかもしれないが、スーザンが何か頼む間もなく、彼は魅惑的なマーリンによる銀の針の一刺しで塵に変えられてしまった。
マーリンは若き「左利き」の書肆。彼らは「右利き」の書肆たちとともに魔法使いの家族をつくり、書店を経営しながら魔法と伝説の世界「旧世界」が現代に食い込んでくるのを防いでいる。

「古王国記」のガース・ニクスによる戦う魔法の本屋さんさんが登場するパラレルワールド80年代イングランドが舞台のファンタジー。シリーズ2作目。(上のあらすじは1作目のものです)「左利き(レフトハンデッド)」の書肆は戦う書店員で、「右利き(ライトハンデッド)」の書肆は知性の書店員という設定のようです。

 

 

 

 

To Shape a Dragon’s Breath (Nampeshiweist #1)
by Moniquill Blackgoose


長年ドラゴンが目撃されていなかった離島マスカポウグ島で、15歳の少女アネクスがその卵を見つけ、孵化したドラゴンに刷り込みで親と認識された。住民がドラゴンと共存していた頃の物語を知っている島の人々は喜んだ。彼らにとってアネクスは尊敬すべきナンペシウェイスト(ドラゴンと絆を結ぶ者)だ。
でもあいにくなことに、島の支配層「アングリッシュ」の人々には別の考えがあった。彼らはドラゴンがどう育成されるべきか、誰に育成されるべきかについてきわめて独特の考えを持っていて、アネクスはその条件を何も満たしていなかった。彼らは大いに渋りながらアネクスが本土のアングリッシュのためのドラゴンの学校に入学することを許した。もし彼女がそこで成功できなければ、ドラゴンは殺されてしまう。

17世紀にワンパノアグ族を率いていた酋長マサソイト(ピルグリム・ファーザーズを救ったエピソードで有名な方です)の血をひくワンパノアグ族の新人YA作家モニクィル・ブラックグース(Moniquill Blackgoose)のデビュー作品。シリーズ1作目。

 

 

 

 

Unraveller 
by Frances Hardinge
【呪いを解く者/フランシス・ハーディング/児玉敦子訳/東京創元社】


人々の心から生まれた呪いが飛び交う奇妙な国ラディスに暮らす少年ケレンは、それを解く力を持っている唯一の存在。呪いで鳥に変えられてしまったのを元に戻してあげた少女ネトルを相棒に、呪いをかけられた人々を救う呪い解き屋として商売をしている。
そんなふたりの前に謎めいた片目の男ゴールが現れて保護を申し出た。かつて呪いを解かれて施設に送られた「呪い人」の中にケレンを恨んで狙っている者がいるらしい。秘密の多いゴールのことを信用できないながらも受け入れ、ふたりは呪いを解く旅を続けるが…

「嘘の木」、「ガラスの顔」のフランシス・ハーディングの最新作の異世界ファンタジー。すでに東京創元社から邦訳が出ています。
2023年ローカス賞YA部門最終候補作品。2024年カーネギー賞作家賞ノミネート作品。

 

 

 

 

 

以上です。