The Yoto Carnegie Medal for Writing Shortlist 2024【The Yoto Carnegies】
https://yotocarnegies.co.uk/writing-shortlist-2024/

 

 

イギリスでもっとも権威ある児童文学賞であるカーネギー賞の2024年のショートリストが発表されました。
これは、イギリスの図書館情報研究機関CILIP(Chartered Institute of Library and Information Professionals)とYouth Libraries Groupにより選考される賞。
前々年9月1日~前年の8月31日までにイギリスで刊行された児童書が審査対象。非英語作品の翻訳も含まれます。

現在は「作家賞」と「画家賞」の2部門構成。


受賞作品発表までのスケジュールは

①ノミネート作品発表(70~100作程度/前年10~11月)→②ロングリスト発表(20作程度/2月ごろ)→③ショートリスト発表(5~10作程度/3月ごろ)→④受賞作品決定(1作/6月)
の4段階です。


2024年カーネギー賞作家賞ショートリスト作品は以下の通りです。字数制限のため記事を2つに分けます。

(当ブログでは作家賞のみのご紹介となりますので、画家賞については上のリンク先などからご参照ください)


Away With Words
by Sophie Cameron


ガラと父さんは故郷のカタルーニャからスコットランドに引っ越してきた。父さんの彼氏のライアンと暮らすためだ。ガラはほとんど英語も話せず、途方に暮れて寂しくて、本来の陽気な自分でいることができなかった。でもそれは場面緘黙症の女の子ナタリーに出会うまでの話。ふたりは自分たちだけのコミュニケーション方法を見つけた。ほかの人たちが捨てた言葉を集めて、それを励ましの詩にしてクラスメートに贈るのだ。
でも、彼女たちと同じ方法を使ってみんなに酷い言葉を贈るいたずらをはじめる者が出てきて…

スコットランド出身スペイン在住のYA作家ソフィー・キャメロン(Sophie Cameron)の作品。

 

 

 

 

Choose Love
by Nicola Davies, Petr Horáček (Illustrator)


2018年にRefugee Trauma Initiativeという難民支援のためのチャリティ活動のために書かれたものを中心に編纂された、難民たちの声を題材にした詩集のようです。絵本「ちいさな ちいさな」のイギリスの児童書作家ニコラ・デイビスの作品。

 

 

 

 

Safiyyah’s War 
by Hiba Noor Khan


パリの街に戦火がやってきて、サフィヤの人生は変わってしまった。親友は家族と一緒に逃げ、サフィヤは空爆で自分が住むモスクを去らなければならないかもしれないと不安になった。秘密のレジスタンス活動をしていた父がナチスに連行されると、街での危険な任務はサフィヤに任されることになった。何百人ものユダヤ人が隠れ家を探してモスクに来たのは最近のことだ。サフィヤはパリの地下のカタコンベに入ってユダヤ人たちを安全に導く勇気を持てるか?

第二次世界大戦中に1600人のユダヤ人を匿ったパリの実在のモスク「グランド・モスケ・ド・パリ」の物語をもとに書かれた歴史フィクション。パキスタン系イギリス人の作家ヒバ・ヌール・カーン(Hiba Noor Khan)の小説デビュー作品。
現在2024年ブランフォード・ボウズ賞ロングリスト。

 

 

 

 

Steady for This 
by Nathanael Lessore


ショーン(またの名をMCグロウル)はラッパー志望の少年。親友シャンクスと一緒に最高のbarsとsmashをラップの大会「ラップトロジー」に持っていく準備ができている。そうしたら今度こそ片思い相手のタニーシャもチャンスをくれるはず。
ところが練習動画の配信をミスって、グロウルの汚い洗濯物が文字通り世界に公開されてしまった。ネットでバズるという夢をついに叶えたわけだ。良い意味ではなく。
今やタニーシャはこっちを見てもくれないし、学校のネタとなり、「ラップトロジー」に顔を出すのも無理だ。この危機から抜け出すことはできるのか?

イギリスの新人YA作家ナサニエル・レソール(Nathanael Lessore)のデビュー作品。barsとsmashはたぶんヒップホップ用語かと思うんですが、違ったらすみません。
現在2024年ブランフォード・ボウズ賞ロングリスト。

 

 

 

 

The Boy Lost in the Maze
by Joseph Coelho, Kate Milner (Illustrator)


父を探して危険かつ勇壮な旅に出た古代ギリシャのテセウスは、最終的に迷宮のミノタウロスに巡り合った。現代の少年テオは自分が父を探すための迷宮のような探索公の途中にいることに気がついた。

ギリシャ神話の英雄と21世紀の少年の冒険を混ぜ合わせたヴァースノベルのようです。イギリスの詩人で劇作家ジョゼフ・コエーリョ(Joseph Coelho)の作品。

 

 

 

 

Crossing the Line 
by Tia Fisher


父さんが亡くなってからエリクの生活は粉々だ。新しい男の人が家で暮らしはじめると、宿題や学校で良い子でいることは大事に思えなくなった。エリクの問題行動は良くないグループを惹きつけ、彼はドラッグ取引と暴力の世界に引きずり込まれてしまった。
金を稼ぐのは気持ちがいいが、エリクはすぐに、わずかな好意の代償が巨大な負債になりうると気がついた。そして妹たちの身が危険にさらされるようになると、エリクは彼女たちを救うためにより危険な一線を越えることになる。

イングランドのYA作家ティア・フィッシャー(Tia Fisher)の作品。
現在2024年ブランフォード・ボウズ賞ロングリスト。

 

 



The Door of No Return
by Kwame Alexander 


11歳のコーフィは上(かみ)クワンタの村の暮らしが何よりも大好きだ。家族も、炉端で聞く父さんの父さんの昔話も、近所の女の子アマも、それに泳ぐことも。彼が泳ぐ姿は非凡で、ヒメハヤのようだと言われる。だからアマや友達の前で、水泳の試合で年上の従兄弟に勝って見せたいと思っていた。
その前に、村祭りの相撲大会でコーフィの兄さんが上クワンタの代表に選ばれた。しかしその試合は始まるやいなや、思いがけない死によって終わった。コーフィの世界は覆され、彼は生きるために戦い、愛する地を遠く離れて旅に出ることになる。

ニューベリー賞受賞作品「クロスオーバー」で知られるアメリカの児童書作家クワメ・アレグザンダーの2022年の作品。

 

 



The Song Walker
by Zillah Bethell


砂漠の真ん中で目を覚ました少女は、自分が誰なのか覚えていなかった。身につけているのは片方だけの靴、黒いシルクのドレス、そして重たい奇妙な容器を持っていた。
そんな彼女は、こちらも謎めいた旅の途中の少女ターニに出会った。ふたりは広大で絶え間なく変化するオーストラリアの奥地で答えを探して一緒に旅をすることになる。お互いに秘密を隠しながら…

パプアニューギニア生まれウェールズ在住のYA&一般書作家ジラ・べセル(Zillah Bethell)の作品。

 

 

 

 

 

 



以上です。