THE CBCA BOOK OF THE YEAR AWARDS, 2024 NOTABLES LIST【CBCA】
https://cbca.org.au/notables-2024
2024年 オーストラリア児童図書賞の優秀作品リストが発表されました。
オーストラリア児童図書賞は、オーストラリア児童図書評議会(CBCA)主催の児童文学賞。
絵本部門、幼児向け部門、低学年向け部門、高学年向け部門、ノンフィクション部門があり、いずれも、前年にオーストラリアで出版された、英語(または英語を含む2か国語)で書かれた、18歳未満向けのすぐれた文学作品に贈られます。
優秀作品リスト発表(2月末)→ショートリスト発表(3月末)→受賞作品発表(8月)のスケジュールです。
今年の高学年(Older Reader)部門(ほぼYA部門と思ってください)の優秀作品リストは以下の通りです。
文字数制限のため記事を2つに分けます。
(このブログでは、ほぼYAにあたる高学年向け部門と児童書にあたる低学年向け部門のみのご紹介となりますので、ほかの部門については上のリンク先などをご参照ください。)
A Hunger of Thorns (A Hunger of Thorns #1)
by Lili Wilkinson
モードは魔女の娘。幼い頃は親友オデットとドラゴンを倒して王子様を救う女の子たちの物語を作って気ままに過ごしたが、成長した彼女は魔法も親友も失ってしまった。
近年の魔法は歯ごたえがなくなり、弱体化してスーパーやモールで買える魅力アップワッペンや超能力ドリンクになってしまった。でもオデットは禁じられた危険な魔法にいつも惹かれていて、2週間前にそれを探しに行って行方不明になってしまったのだ。誰もがオデットはもう死んだと言っている。モード以外は。
「ドラゴンキーパー」で知られるベストセラー児童書作家キャロル・ウィルキンソンを母に持つオーストラリアの児童書&YA作家リリ・ウィルキンソン(Lili Wilkinson)の作品。シリーズ1作目。
Blind Spot
by Robyn Dennison
あるパーティでベッドルームに入ったデイルは、そこで酔った女の子が複数の男子に服を脱がされているのを目撃して、逃げてしまった。酔ってはいたが、自分が何を見たのかはわかっていた。どうして止められなかったのか。どうして逃げてしまったのか。その疑問が何度も湧き上がる。正しいことをしたかったが、どうしたらいいのかわからない。家族にも話せないし、セックスにもドラッグにもオープンな親友のキーランは何が問題なのか理解してくれないだろう。
そんな時に、いとこのマックスが訪ねてきた。年上で賢くてかっこいい彼女は、デイルの問題への独自の視点を持っていて、そして自分の問題も抱えていた。
オーストラリアの新人YA作家ロビン・デニソン(Robyn Dennison)のデビュー作品。この本は日本Amazonにないようです。出版社のHPを貼っておきます。
Borderland
by Graham Akhurst
ジョノは大都会ブリスベン生まれの先住民のティーン。卒業してアボリジニ舞台芸術センターで職を得た彼と親友のジェニーに、大きなチャンスが巡ってきた。クイーンズランドの砂漠での政府の掘削プロジェクトを取材するドキュメンタリーチームに、インターンとして参加することになったのだ。
しかし彼らが小さな田舎町ガンバリに滞在をはじめると、ジョノは不気味な死の気配や夢に現れる悪の精霊ウーダンにおびやかされるようになった。このガス掘削プロジェクトの裏にはどんな真実の物語があるのか?ドキュメンタリーの取材班はジョノに何を隠しているのか。精霊ウーダンは侵略に立ち向かう土地からの使者なのか。
クイーンズランドに暮らすアボリジニの新人作家グラハム・アクハースト(Graham Akhurst)のデビュー作品。あらすじだといまひとつ方向性がわかりませんが、ホラーゴシック小説だそうです。
Eleanor Jones is Not a Murderer
by Amy Doak
エレノア・ジョーンズは5年に満たない期間で9校目となる学校生活をスタートしたばかり。母さんと一緒に引越しを繰り返すようになってからは、エレノアは端っこで目立たず過ごすのを好むようになった。だからコーインダ中等学校で最初に話しかけた相手のアンガス・マーシャルがその日のうちに刺されて死んだのは単に運が悪かったのだ。
警察の事情聴取を終えたエレノアは、彼らがすべての真実を集められていないことに気がついて捜査を開始した。ほかの生徒たちと一緒に少しずつアンガスの秘密を解き明かしていくうち、エレノアは友情の意味を知り、そしてこの町の中心に潜む危険に気がついていく。
オーストラリアのYA作家エイミー・ドーク(Amy Doak)のミステリ作品。
Eta Draconis
by Brendan Ritchie
エローラは大学進学で地元の町を離れることになった。友だちも家族も平穏も後に残して、自分にまだ可能性があるうちに演劇を学ぶという夢を追う。
エローラと姉のヴィヴィアンは一緒に都会と新学期へ向かうことに。亀裂が入って希薄になりつつあった姉妹の関係は、凶暴な流星群エタ・ドラコニスによってひっくり返された。
クレーターと衝撃波でずたずたになった国では、どこへ行くにもすべてが危険だ。隕石の落下が激しくなり、先へ進むのが危険になる中、姉妹は自分たちの関係に向かい合い、ふたたび未来への希望を見つけなければならなくなる。
オーストラリアのYA作家ブランドン・リッチー(Brendan Ritchie)の作品。
Grace Notes
by Karen Comer
グレイス・ダルフィンチは才能あるヴァイオリニスト。現代音楽をバーで弾くのが夢だが、彼女の母親はそれを許さない。
ジェイムズ・クラックスは野心的なストリートアーティスト。18歳になるまでは公共の場で非合法に絵を描かないと父に約束している。
ある日ネット上でバズったグレイスの秘密の演奏の動画に出会ったクラックスは、彼女とそのヴァイオリンにインスパイアされた絵をあまり合法でない壁に描いてしまい、メルボルンの通りで作者不明の自分の絵姿に出会ったグレイスは、その画家を探しはじめた。
パンデミックでロックダウン中の2020年のメルボルンを舞台に若きアーティストたちを描くヴァースノベル。オーストラリアの新人作家カレン・コーマー(Karen Comer)のデビュー作品。
I Am the Mau and other stories
by Chemutai Glasheen
カーティン大学の人文学の先生でYA作家チェムタイ・グラシーン(Chemutai Glasheen)の短編作品集。
If You Tell Anyone, You're Next
by Jack Heath
ジェイデン・ジョーンズは失踪した。誰もが彼は家出したと思っていたが、親友のゾーイだけはそれは違うと知っていた。
ジェイデンを探すゾーイはやがて、匿名のティーンたちが弱い相手に対して脅迫を行うための秘密のグループチャット「セブンティーン」にたどり着いた。参加したい者は仮面をつけ、違法で危険で時に命にかかわるような挑戦の動画を撮らなければならない。セブンティーンとは誰なのか。彼らはジェイデンに何をしたのか。ゾーイを黙らせるために彼らは何をするのか。
オーストラリアのミステリ作家ジャック・ヒース(Jack Heath)のYA作品。
Inkflower
by Suzy Zail
リサの父さんの余命は半年。そして語るべき物語がある。アウシュヴィッツに送られた少年の物語。すべてを失って、もう一度やり直した少年。彼が今までずっと隠していた物語。
でもリサはそれを聞きたくない。リサもまた秘密を抱えているから。学校では誰もリサがユダヤ人だと知らないし、父さんの病気のことも知らない。彼氏ですら。でもすべては変わりはじめている。リサ自身も。
著者とお父さんの間で実際にあった出来事をもとに書かれた作品だそうです。オーストラリアのYA作家スージー・ザイル(Suzy Zail)の作品。
Let's Never Speak of This Again
by Megan Williams
16歳のアビーの人生はまあまあ良好。まあ、おばあちゃんはもうものが思い出せなくなっているし、母さんとの関係は緊張が高まっているし、週末にはうっかりいとこのいとことキスしてしまったから、全部が完璧というわけじゃない。でも1年生の頃からの親友エラがそばにいてくれれば、何もかも何とかなる。
そこに転校生のクロエが現れた。アビーは彼女を案内するのも自分のグループに入れてあげるのも喜んでやった。でもクロエがあまりにもなじんでしまったことも、それがあまりにも早いのも、予想していなかった。アビーが、自分がちょっと取り残されたように感じ、エラとの友情に不安を覚えるようになるまで長くはかからなかった。
オーストラリアの新人作家メーガン・ウィリアムズ(Megan Williams)のデビュー作品。
優秀作品リストはまだありますが、続きは後日。