The 2024 Rainbow Book List【Rainbow Book List】
https://glbtrt.ala.org/rainbowbooks/archives/1448

 

 

2024年 全米図書館協会「レインボー・ブック・リスト」が発表されました。

これは、全米図書館協会の「the Gay, Lesbian, Bisexual, and Transgender Round Table(ゲイ、レズビアン、バイセクシュアル、トランスジェンダー円卓会議)」と「the Social Responsibilities Round Table(社会的責任円卓会議)」というふたつの団体が共同で選ぶブックリスト。
LGBQTIA+を取り扱った、18歳までの若者に向けたすぐれた作品を選びます。

毎年30~50作程度のリストと、そしてその中で特に優れた10作品を選んだトップ10リストが発表されます。
トップ10は児童書とYAに分けて発表されます。


今年の児童書部門のトップ10作品は以下の通りです。
(リストの全作品については上のリンク先をご参照ください)


My Mommies Built a Treehouse
by Gareth Peter, Izzy Evans (Illustrator)


ツリーハウスを作るのはビッグプロジェクトだ。でもふたりのママたちが手伝ってくれるなら、誰もあなたを止めることなんかできない。

夢のツリーハウスを作ろうとする男子を主人公にした、2人ママ家庭の家族を描く絵本のようです。イングランドの絵本作家ギャレス・ピーター(Gareth Peter)が文を、イングランドのイラストレーター・イジー・エヴァンス(Izzy Evans)が絵を担当しています。

 

 

 

 

Grandad's Pride
by Harry Woodgate


おじいちゃんとミリーは新たな冒険に出ることにした。今回は過去に敬意を表し未来を祝うプライドパレードへの旅だ。

イギリスのイラストレーターで児童書作家ハリー・ウッドゲート(Harry Woodgate)の作品。2022年ストーンウォール賞児童書部門オナー作品に選ばれた、夫を亡くしたゲイのおじいちゃんと孫娘の旅を描いた家族物語絵本「Grandad‘s Camper」(未訳)の続編のようです。

 

 

 


A Child's Introduction to Pride: The Inspirational History and Culture of the LGBTQIA+ Community
by Sarah Prager, Caitlin O'Dwyer (Illustrator)


LGBTQIA+コミュニティの歴史はよく見落とされがちなものだが、そこには英雄や、戦いや、偉業や、喜びがいっぱいに詰まっている。

アメリカと世界のLGBTQIA+コミュニティの歴史とカルチャーを紹介する、ミドルグレード向けの児童書ノンフィクションのようです。LGBTQIA+の歴史をテーマに執筆活動をするアメリカの作家サラ・プラガー(Sarah Prager)の作品。

 

 

 

 

Ellie Engle Saves Herself 
by Leah Johnson 


エリー・イーグルは目立たない。父さんが出て行き母さんは1日中働きに出ていてひとりでペットの魚と過ごしている自宅でも目立たないし、週末に手伝っているウォーカーさんのパン屋でも目立たない。学校でもまったく目立たない。世界一かっこよくて行動的で才能がある女の子で親友のアビーの自分の名を知らしめるための冒険につきあっているから。誰かの日陰の存在でいることは、ほかの人にとってはつまらなかったり寂しいものでも、エリーは違う。隣にアビーがいて、手の中に漫画があるだけで完全に満足だ。
でも町が大地震に襲われ、エリーには触れるだけでなんでも元通りにできる特殊能力が芽生えてしまった。しかもその力を使っているところを撮られた動画がバズってしまい…

アメリカのYA作家リア・ジョンソン(Leah Johnson)の児童書作品。

 

 

 

 

Camp QUILTBAG
by Nicole Melleby, A.J. Sass


レズビアンだとアウティングされてから友だちに避けられている12歳のアビゲイルは、クィアとトランスの子どもたちのためのキャンプ・キルトバッグで過ごす夏休みにわくわくしていた。自分が自分でいられるコミュニティを見つけるのが待ちきれないし、理解してくれる子相手にローラ・ダーン(女優)に夢中だということを打ち明けたい。
ノンバイナリーで13歳のカイはそれほどわくわくしていない。親友やパルクールのチームメイトと遊んでいたいし、自分の腕が折れることになったーーそれで両親にキャンプに送られることになったーー事件については考えたくない。
そんなふたりの出会いは前途多難だったけれど、やがてお互いに助け合うことになる。

アビゲイルちゃん、ローラ・ダーン(57)が最推しなのはだいぶ渋い12歳ですね。そりゃ周囲に萌え語りできる相手とかいないだろうな。
アメリカのYA作家ニコル・メルビー(Nicole Melleby)&A.J.サス(A.J. Sass)のの共著による児童書作品。

 

 

 

 

Nikhil Out Loud
by Maulik Pancholy


13歳の二キール・シャーはヒットアニメ「外宇宙のラジ・リディ」に出演している人気声優。でもTVでスターになることが舞台裏にあるすべてを解決してくれるわけじゃない。
病気のおじいちゃんの面倒をみるためにオハイオの田舎町に引っ越すことになり、二キールは自分が軌道を外れたような気がした。知名度のせいで学校ミュージカルの主役になってしまったが、舞台で戦闘シーンになったらみんなに詐欺だと言われないかとびくびくしている。しかも保守層の親グループがオープンリーゲイの芸能人を主役にすることにはっきりと難色を示し、人生全部アニメキャラのラジ・リディでいられたらどんなに楽かという気分にさせられた。そしてある朝、声変わりがはじまってしまったことに気がついて…

インド系アメリカ人のゲイの少年声優を主人公にした成長物語。ドラマ「30 ROCK/サーティー・ロック」などに出演している俳優で児童書作家モーリク・パンチョリーの作品。
2023年ラムダ賞ミドルグレード部門受賞作品。

 

 

 

 

Jude Saves the World
by Ronnie Riley


12歳のジュードには苦労していることがいくつかある。学校に集中できないこと、何もかもが自分の肩にかかっているような気がすること、昔気質のおじいちゃんとおばあちゃんに自分がノンバイナリーだと言えないこと。
同じクラスの女の子スティヴィーが人気者グループから追い出されたと知った時、ジュードと親友ダラスの世界は変わった。追放の理由は、スティヴィーが女の子に恋をしたからだという噂がある。心配したジュードとダラスは彼女に手を差し伸べ、スティヴィーは彼らの大事な友だちになった。彼らはクィアのための避難所を作ろうとするが…

カナダの児童書作家ロニー・ライリー(Ronnie Riley)の作品。

 

 

 

 

Joy, to the World
by Kai Shappley, Lisa Bunker


12歳のトランス女子ジョイは母さんと兄さんと一緒にテキサスに引っ越してきたばかり。家族はジョイを女の子として受け入れてくれていて、今は性別以降の最中。親友に誘われてチアリーディングに出会ったジョイは、すぐにこの競技に夢中になった。
でもチームを出ていくように告げられて、ジョイはチアを続ける権利のために戦うことにした。彼女の活動は全国の子どもたちの支援をひきつけ、やがて彼女のヒーローのトランス活動家カイ・シャプリーの目に止まる。

12歳の女優でトランス活動家カイ・シャプリー(Kai Shappley)と民主党の元ニューハンプシャー州下院議員で児童書作家リサ・バンカー(Lisa Bunker)の共著。著者のカイ・シャプリーさんご本人が作中に登場してるようです。

 

 

 

 

 

Sir Callie and the Champions of Helston (Sir Callie #1)
by Esme Symes-Smith


わたしの名前はカリー。女の子じゃない。父さんの騎士見習いとしてここにいるし、騎士としての修行がしたい。
女子は魔法を学び、男子は騎士の修行をする世界で、12歳のノンバイナリーのカリーはどこにも居場所がない。それで?別に構わない。カリーはいつでも求めることをする子だと知られているし、ジェンダールールみたいなばかげたものが行く手にあることを許しもしない。

ドラゴンや魔女がいる中世風ファンタジー世界を舞台にしたノンバイナリーの若き騎士の物語のようです。アメリカの児童書作家エズメ・サイムス=スミス(Esme Symes-Smith)の作品。

 

 

 

 


The Year My Life Went Down the Toilet
by Jake Maia Arlow


12歳のアル・シュナイダーは自分についていちばん重要なふたつのことについて話すのをあまりにも恐れている
1・自分はお腹が常に痛いし、その理由がわからない。
2・100パーセント確信しているけど、女の子が好き。
大腸内視鏡検査でクローン病だと判明したけど、その診断は問題を解決するどころか何もかもをもっと悪くした。最悪なのはみんなが病気についてアルと話したがること。過保護な母さんも、親友も。医者は同じ病気の子どもたちと交流するサポートグループをしつこく勧めてくる。でも、自分がトイレで何をしてるかについて語り合いたい人なんかいる?

アメリカの児童書作家ジェイク・マイア・アーロウ(Jake Maia Arlow)の作品。

 

 

 

以上です。

YA部門についてはまた後日。