Longlists Announced for the Yoto Carnegies 2024【The Yoto Carnegies】
https://yotocarnegies.co.uk/2024-longlists-announced/

 

 

イギリスでもっとも権威ある児童文学賞であるカーネギー賞の2024年のロングリストが発表されました。
これは、イギリスの図書館情報研究機関CILIP(Chartered Institute of Library and Information Professionals)とYouth Libraries Groupにより選考される賞。
前々年9月1日~前年の8月31日までにイギリスで刊行された児童書が審査対象。非英語作品の翻訳も含まれます。

現在は「作家賞」と「画家賞」の2部門構成。


受賞作品発表までのスケジュールは

①ノミネート作品発表(70~100作程度/前年10~11月)→②ロングリスト発表(20作程度/2月ごろ)→③ショートリスト発表(5~10作程度/3月ごろ)→④受賞作品決定(1作/6月)
の4段階です。


2024年カーネギー賞作家賞ロングリスト作品は以下の通りです。字数制限のため記事を2つに分けます。

(当ブログでは作家賞のみのご紹介となりますので、画家賞については上のリンク先などからご参照ください)


The Door of No Return
by Kwame Alexander 


11歳のコーフィは上(かみ)クワンタの村の暮らしが何よりも大好きだ。家族も、炉端で聞く父さんの父さんの昔話も、近所の女の子アマも、それに泳ぐことも。彼が泳ぐ姿は非凡で、ヒメハヤのようだと言われる。だからアマや友達の前で、水泳の試合で年上の従兄弟に勝って見せたいと思っていた。
その前に、村祭りの相撲大会でコーフィの兄さんが上クワンタの代表に選ばれた。しかしその試合は始まるやいなや、思いがけない死によって終わった。コーフィの世界は覆され、彼は生きるために戦い、愛する地を遠く離れて旅に出ることになる。

ニューベリー賞受賞作品「クロスオーバー」で昨年日本に上陸したアメリカの児童書作家クワメ・アレグザンダーの2022年の作品。

 

 

 


The Song Walker
by Zillah Bethell


砂漠の真ん中で目を覚ました少女は、自分が誰なのか覚えていなかった。身につけているのは片方だけの靴、黒いシルクのドレス、そして重たい奇妙な容器を持っていた。
そんな彼女は、こちらも謎めいた旅の途中の少女ターニに出会った。ふたりは広大で絶え間なく変化するオーストラリアの奥地で答えを探して一緒に旅をすることになる。お互いに秘密を隠しながら…

パプアニューギニア生まれウェールズ在住のYA&一般書作家ジラ・べセル(Zillah Bethell)の作品。

 

 

 

 

Away With Words
by Sophie Cameron


ガラと父さんは故郷のカタルーニャからスコットランドに引っ越してきた。父さんの彼氏のライアンと暮らすためだ。ガラはほとんど英語も話せず、途方に暮れて寂しくて、本来の陽気な自分でいることができなかった。でもそれは場面緘黙症の女の子ナタリーに出会うまでの話。ふたりは自分たちだけのコミュニケーション方法を見つけた。ほかの人たちが捨てた言葉を集めて、それを励ましの詩にしてクラスメートに贈るのだ。
でも、彼女たちと同じ方法を使ってみんなに酷い言葉を贈るいたずらをはじめる者が出てきて…

スコットランド出身スペイン在住のYA作家ソフィー・キャメロン(Sophie Cameron)の作品。

 

 

 

 

The Little Match Girl Strikes Back
by Emma Carroll


ブライディは家族を養うため、ヴィクトリア朝ロンドンの路上でマッチを売って必死で働いていた。ある事件のせいで、彼女の手元に残ったのはマッチ3本。1本ごとに魔法がかかって、明るい未来の幻影を見せてくれた。
自分には自分の未来を変える力があると気がついたブライディは、マッチ工場の労働者たちを率いてストライキを起こし、団結と勇気によって目覚ましい結果を勝ち取る。

アンデルセン童話「マッチ売りの少女」のリテイリング作品のようです。マッチ売りの少女たくましすぎる。
イギリスの児童書作家エマ・キャロル(Emma Carroll)の作品。

 

 

 


The Boy Lost in the Maze
by Joseph Coelho, Kate Milner (Illustrator)


父を探して危険かつ勇壮な旅に出た古代ギリシャのテセウスは、最終的に迷宮のミノタウロスに巡り合った。現代の少年テオは自分が父を探すための迷宮のような探索公の途中にいることに気がついた。

ギリシャ神話の英雄と21世紀の少年の冒険を混ぜ合わせたヴァースノベルのようです。イギリスの詩人で劇作家ジョゼフ・コエーリョ(Joseph Coelho)の作品。

 

 



Choose Love
by Nicola Davies, Petr Horáček (Illustrator)


2018年にRefugee Trauma Initiativeという難民支援のためのチャリティ活動のために書かれたものを中心に編纂された、難民たちの声を題材にした詩集のようです。絵本「ちいさな ちいさな」のイギリスの児童書作家ニコラ・デイビスの作品。

 

 

 

Electric Life
by Rachel Delahaye


「エステラ」は完璧な社会だ。清潔で快適で、あらゆるものがネットで繋がった環境。ゴミも痛みも病気も自然もない。
そのずば抜けたゲームの才能でエステラの支配者層の目をひいたアララは、ずっと昔に廃れた都市ロンドンの下層への危険な任務を命じられた。そこで彼女は新たな世界に足を踏み入れることになる。騒音や汚染や痛みが日常的なもので、食べものが管理されず現実の味を持つ世界でどうやって生き延びられる?

ディストピアものでしょうか。オーストラリア生まれイギリス在住の児童書作家レイチェル・デラヘイ(Rachel Delahaye)の作品。

 

 

 


Until The Road Ends
by Phil Earle


ペギーが死にかけていた野良犬のビューを助けたのが美しい友情のはじまりだった。でも1939年に戦争がはじまると、ペギーと弟のウィルフは海辺の町に疎開。ロンドンに残されたビューは夜毎に続く空襲の中で数えきれない家族を救い、思いがけない戦時の英雄になった。
そんな時、災害でペギーの両親が亡くなった。ビューはロンドンを出て、ウィルフの愛猫マーベル、鳩のボンバーを連れて、遺されたペギーとウィルフのもとへ行くと決める。

わんこの視点から第二次世界大戦を描く歴史児童文学のようです。イングランドの児童書作家フィル・アール(Phil Earle)の作品。

 

 



Digging for Victory
by Cathy Faulkner


1941年デヴォン。12歳のボニーは戦争に重要な貢献がしたくてしょうがない。家族の野菜畑の世話では物足りない。英国空軍のパイロットの兄ラルフみたいな英雄になりたい。
でも謎めいた兵士フィッシャーさんが彼女の家に滞在するようになり、ラルフが任務中に消息不明になったと伝えられると、ボニーは本当に必要な英雄的行動とは何だろうと疑問を感じはじめる。

イングランドの新人児童書作家キャシー・フォークナー(Cathy Faulkner)のデビュー作品。ブリストルの大学の英語の先生で、過去に日本の大学で教えていたこともあるそうです。
現在2024年ブランフォード・ボウズ賞ロングリスト。

 

 



Crossing the Line 
by Tia Fisher


父さんが亡くなってからエリクの生活は粉々だ。新しい男の人が家で暮らしはじめると、宿題や学校で良い子でいることは大事に思えなくなった。エリクの問題行動は良くないグループを惹きつけ、彼はドラッグ取引と暴力の世界に引きずり込まれてしまった。
金を稼ぐのは気持ちがいいが、エリクはすぐに、わずかな好意の代償が巨大な負債になりうると気がついた。そして妹たちの身が危険にさらされるようになると、エリクは彼女たちを救うためにより危険な一線を越えることになる。

イングランドのYA作家ティア・フィッシャー(Tia Fisher)の作品。
現在2024年ブランフォード・ボウズ賞ロングリスト。