CATEGORY WINNERS 【Nero Book Awards】
https://nerobookawards.com/category-winners/

 

 

2023年 ネロ文学賞部門賞が発表されました。

ネロ文学賞(Nero Book Awards)はイギリスのコーヒーチェーン店Caffè Neroがスポンサーとなってスタートしたイギリスの新文学賞。今回が第1回です。
「友だちや家族に手渡したくなるような」素晴らしい文章と読書の喜びのある文学作品を選ぶのがコンセプトのようです。

児童書部門、処女作部門、フィクション部門、ノンフィクション部門の4部門構成。

ショートリスト発表(11月)→部門賞受賞作品発表(翌年1月)→総合部門受賞作品発表(同2月)のスケジュールです。

コンセプトや賞の形態、スケジュールが2021年に惜しまれつつ終了してしまったコスタ賞に似ています。(あと偶然ですが、コスタ賞と同じくコーヒー屋さんがスポンサーです)


第1回ネロ文学賞児童書部門受賞作品はこちらです。

(このブログでは児童書部門のみのご紹介となりますので、ほかの部門については上のリンク先などをご参照ください)


The Swifts: A Dictionary of Scoundrels (The Swifts #1)
by Beth Lincoln, Claire Powell (Illustrator)


スウィフト家の子どもたちは、生まれたその日に一族の神聖なる辞書の前に連れていかれ、そこから単語を選ばれて運命にふさわしい名前を与えられる。
親戚一同の集まりで、姉さんのフェノメナ(現象)とフェリシティ(至福)と一緒に古く大きなスウィフト館にやってきたシェナニガン(愚鈍、いたずら)・スウィフトは、ならず者の見本市のような親戚たちに会うのを楽しんでいた。ところがシャーデンフロイデ(悪意の喜び)おばさんが何者かに階段から突き落とされて死んでしまった。
仲良くなったいとこのエルフ(誤差関数)と姉さんたちと協力し、シェナニガンは犯人を見つけようとする。

珍名一族が登場する児童書ミステリのようです。イングランドの新人作家ベス・リンカーン(Beth Lincoln)のデビュー作品。シリーズ1作目。
現在2024年カーネギー賞作家賞ノミネート作品。現在2024年ブランフォード・ボウズ賞ロングリスト作品。

 

 

 

 

この本と賞を争った今年のショートリスト作品は以下の通りです。


Gwen & Art Are Not in Love
by Lex Croucher


アーサー王の治世から数百年後。その子孫で放蕩者で未来の王のアーサーは、賢く気が強いイングランドの姫君グウェンドリンと生まれた時から婚約している。ふたりの意見が合うのは相手を軽蔑しているという1点のみだ。
婚姻の予行練習としてその夏をキャメロットでともに過ごすことを強要されたふたりだが、24時間も経たないうちにグウェンはアーサーが男とキスしているのを目撃したし、グウェンの日記を盗み見たアーサーは彼女が王国唯一の女騎士ブリジットに夢中なのを知ってしまった。
ふたりはお互い敵でいるより協力した方がいいと気がついた。

中世イングランドを舞台にクィアな男子と女子の恋を描くヒストリカルコメディのようです。イングランドの作家レックス・クラウチャー(Lex Croucher)の初YA作品。
現在2024年カーネギー賞作家賞ノミネート作品。現在2024年ブランフォード・ボウズ賞ロングリスト作品。

 

 

 

 

Bitterthorn
by Kat Dunn


ブラムウォルドは呪いに暗く覆われた町。森の奥深くにある不気味な城には恐ろしい魔女が住んでおり、彼女は1世代に1回町にやってきては、誰かを一緒に連れて帰る。連れて行かれた者は二度と戻ってこない。
公爵家のミナは悲しく孤独で、このブラムウォルドでの未来に何の希望もない。だから魔女がやってきた時、自分が一緒に行くと申し出た。
暗く魅惑的な監禁者にとらわれ、先に連れてこられた人々に何が起こったのかという謎にもとらわれ、ミナは自分の命を救うか、あるいは奪うことになる恐ろしい秘密に近づいていく。

「美女と野獣」にインスパイアされたゴシック同性愛ロマンスだそうです。イギリス生まれのYA作家カット・ダン(Kat Dunn)の作品。
現在2024年カーネギー賞作家賞ノミネート作品。

 

 

 

 

Wild Song
by Candy Gourlay


1904年。ルキはフィリピンの山地で部族の一員として暮らしていた。今や彼女は成長し、妻や母になることを望まれている。嫁ぐよう言われた相手は親友のサムカッド。彼のことは好きだが、ルキは戦士になるという夢をまだあきらめられないし、結婚はしたくない。だから部族に届いたセントルイス万博参加の打診を引き受けて、アメリカへ行くことにした。
でもアメリカでは真剣な儀式を見世物にされ、自分たちは対等な人間ではなく展示品として扱われていると気がついた。

イギリスで活動するフィリピンの作家キャンディ・グーレイ(Candy Gourlay)の作品。
現在2024年カーネギー賞作家賞ノミネート作品。