American Library Association announces 2024 Youth Media Award winners【ALA】
https://www.ala.unikron.com/

 

 

2024年 ストーンウォール賞が発表されました。
LGBTを扱った文学の優れた作品に贈られる賞です。

児童書部門とYA部門があり、どちらも受賞作品にはMike Morgan & Larry Romans Children’s /Young Adult Literature Awardという名の賞が与えられます。


ではまず児童書部門から。
今年の受賞作品はこちらです。

 
Cross My Heart and Never Lie
by Nora Dåsnes, Matt Bagguley (Translator)


12歳のトゥヴァは7年生がスタートしたばかり。目標は日記をしっかり書くこと、いけてる見た目になること、親友と一緒に森に秘密基地を作ること。ほか多数。
でもいざ学校がはじまると、何も実現できそうになかった。
友だちはみんな彼氏持ちの女子のグループ「リーニア組」と初恋未経験で恋に関するすべてを嫌う女子のグループ「バオ組」に分かれてしまった。子どものままの気持ちとどうやってティーンになったらいいか知りたい気持ちの間で揺れるトゥヴァの前にミリアムが現れた。トゥヴァはまるでソウルメイトに出会ったような気がしたが、女の子に恋をして、それを友だちみんなに隠して、生き延びることはできるだろうか?

ノルウェーのイラストレーターで作家ノーラ・ダスネス(Nora Dåsnes)による青春グラフィックノベル。原書はノルウェー語です。「ハートストッパー」のファンにオススメだそうです。

 

 

 

 

オナー(銀賞)には以下の4作品が選ばれました。


Desert Queen
by Jyoti Rajan Gopal, Svabhu Kohli (Illustrator)


内なる炎に照らされ家族の悲劇にせきたてられ、ハリッシュはインド中産階級のジェンダーのしきたりを打ち倒し、差別や脅しと戦った。そして最後にはボリウッドスターと一緒に踊り世界中で公演を行うようになった。

2008年のドキュメンタリー映画「ジプシー・キャラバン」などで知られるラジャスタン人の世界的女形ダンサー・クイーン・ハリッシュの伝記絵本。
アメリカ在住の児童書作家ジョイティ・ラジャン・ゴパル(Jyoti Rajan Gopal)が文を、インドのイラストレーター・スヴァブ・コーリ(Svabhu Kohli)が絵を担当しています。

 

 

 

 

Not He or She, I'm Me
by A. M. Wild, Kah Yangni (Illustrations)


すてきな1日の準備はできている。楽しく服を着て、両親にハグをして、学校へ行き、友だちと遊ぶ。何をしていても、自分が自分でしかいられないことに申し訳なくならなくていい。

ノンバイナリーの子どものハッピーな1日を描く絵本作品。アメリカの児童書作家A・M・ワイルド(A. M. Wild)が文を、アメリカのイラストレーター・カー・ヤンニ(Kah Yangni)が絵を担当しています。

 

 

 

 

The Otherwoods
by Justine Pucella Winans


12歳のリヴァー・リデルを「選ばれし者」と呼ぶ者もいる。怪物を見ることができ、恐ろしい魂の世界「あちらの森」へ行ける力を持つ者だ。
でもリヴァーは自分も含めたそういう存在のことは「不運な奴」と呼ぶ。「あちらの森」関連のものを見てしまったときは、下を向いて無視をしておくのがいい。
ところが唯一の友だち(で片思い相手)のエイヴリーが「あちらの森」の怪物にさらわれてしまった。リヴァーは猫のモフモフさん(名前)とわがままな若者の幽霊グザヴィエをお供に「あちらの森」の怪物と対峙し、エイヴリーを救わなければならなくなる。

アメリカのYA作家ジャスティン・ピュセラ・ウィナンス(Justine Pucella Winans)のミドルグレード作品。

 

 

 

 

Stars in Their Eyes: A Graphic Novel
by Jessica Walton, Aśka


ガンで足を失った14歳のメイジーはオタクイベント「ファンコン」に向かっている。彼女のヒーロー・カーラ・バファノーに会いに行くのだ。大好きなドラマで、足の欠損したかっこいいルナを演じている俳優。
でもコンベンションセンターに着いたメイジーは、ボランティアスタッフのオリーに出会って止まってしまった。
オリーは優しくてかわいくてメイジーと同じくらいオタク。そして1日が過ぎていくうちに、メイジーはオリーへの自分の気持ちが今までに経験したことがないものだと気がつく。これが恋に落ちる気持ちなんだろうか?

絵本「くまのトーマスはおんなのこ」のジェシカ・ウォルトンがストーリーを、オーストラリアのアーティスト・アスカ(Aśka)が作画を担当した青春グラフィックノベル。2021年にオーストラリアで出版された作品のアメリカ版です。
「ハートストッパー」、「ローラ・ディーンにふりまわされてる」のファンにオススメだそうです。

 

 

 

 

 

YA部門の受賞作品はこちらです。



Only This Beautiful Moment
by Abdi Nazemian


2019年、LAで暮らすモードはイランのおばあちゃんがそろそろ危ないという知らせを受けて、父さんとテヘランへ旅立った。そこで判明した驚くべき家族の秘密が、モードを歴史、文化、自分自身への新たな理解へ導く。
1978年、サイードはテヘランで工学を学ぶ将来有望な学生だった。だが彼が急進派と関わったことを知った両親によって、身の安全のために大嫌いなアメリカに送られ、存在も知らなかった祖母と暮らすことに。
1939年、ステージマザーの母親に育てられたボビーは憧れのMGMスタジオと契約を結んだ。しかし彼が足を踏み入れた魅惑的なおとぎ話の世界は暗い側面をあわせ持っていた。

イラン系の家族の数世代にわたるトラウマと愛と隠された歴史の秘密に関する物語のようです。「ダリウスは今日も生きづらい」のファンにおすすめとのこと。
イラン系アメリカ人のYA作家アブディ・ナゼミアン(Abdi Nazemian)の作品。

 

 

 

 

オナー(銀賞)は以下の4作品です。


Ander & Santi Were Here
by Jonny Garza Villa


テキサス州サンアントニオのサントスビスタ周辺、それがアンダー・マルティネスが知るすべてだった。パンドゥルセ(菓子パン)の匂い、通りにあふれるスペイン語と英語。家族で経営するタケリア(屋台)の仕事。この場所がアンダーの壁画にインスピレーションを与えてくれる。だから美術学校に行くために町を去ることにはまだためらいがある。
絵と入学準備に集中できるようにとギャップイヤーに家族のレストランの仕事から外されたアンダー。でも新しいウエイターとしてやってきたサンティアゴに出会ってしまった。ふたりは息をするように自然に惹かれ合うが、やがてICE(移民・関税執行局)の職員がサンティアゴのもとにやってきて…

「アリとダンテ、宇宙の秘密を発見する」+「ザ・ヘイト・ユー・ギブ あなたがくれた憎しみ」な青春ラブストーリーだそうです。
アメリカのYA作家ジョニー・ガルザ・ヴィラ(Jonny Garza Villa)の作品。

 

 

 

 

Imogen, Obviously
by Becky Albertalli 


女子高生イモージェン・スコットはヘテロセクシュアルだが最高のアライ(性的マイノリティの連帯者)。プライド同盟の会議には欠かさず出席するし、クィアメディアでの講演にはめちゃくちゃクィアな妹よりも詳しい。ふたりのクィアの親友がいる。
カミングアウトしたばかりの大学生の親友リリーを訪ねたイモージェンは、彼女が大学で友達全員にイモージェンが元カノだと嘘をついていることを知った。彼らは誰もイモージェンが思いっきりストレートな女子だとは知らない。リリーの親友のテッサですら。でもテッサといると、イモージェンは自分の真実が最初ほど確かなものとは思えなくなってきた。

「サイモンvs人類平等化計画」のベッキー・アルバータリの新作。

 

 

 

 

The Long Run
by James Acker


セバスティアン・ヴィレダは名声も、友だちも、サウスジャージーで一番の短距離選手でいることももうどうでもいい。父さんはいなくなり、母さんは亡くなり、義父とは関わる時間がない。人生に何を求めればいいのかわからなかった。サンドロに出会うまでは。
サンドロ・ミチェリはあまりにお人好しだ。騒がしいイタリア系大家族の真ん中の子として、忙しい両親に面倒をかけないように過ごしてきた。
このまったく違う2人の少年はパーティで運命的に出会った。自分たちがすべてを危険にさらす恋に出会ってしまうとは予想もせずに。

メキシコ系とイタリア系のアスリート男子たちの青春ラブストーリー。アメリカの新人ジェイムズ・アッカー(James Acker)のデビュー作品。

 

 

 

 

The Spirit Bares Its Teeth
by Andrew Joseph White


1883年ロンドン。生者と死者をへだてる幕は薄く、すみれ色の瞳を持つ能力者「話す者」たちは、その幕を透かして死者と交流できる。その目を持つ16歳のトランスジェンダーの少年サイラスは今年の末には親が決めた男と結婚することになっているが、従順な「話す者」の妻になるくらいなら目をえぐったほうがましだ。周りから見れば女の子でも、自分は男の子なのだ。
婚約から逃げ出そうとして失敗した彼は、すみれ色の瞳を持つ女性だけを発狂させる「幕の病」と診断され、ブラクストンの花嫁学校兼療養所に送られてしまう。ここでは生徒が消える事件が起きていて、その生徒の幽霊がサイラスに助けを求めてきた。

架空のヴィクトリア朝ロンドンを舞台にしたホラーミステリのようです。アメリカのYA作家アンドリュー・ジョゼフ・ホワイト(Andrew Joseph White)の作品。