American Library Association announces 2024 Youth Media Award winners【ALA】
https://www.ala.unikron.com/

 

 

2024年 プーラ・ベルプレ賞が発表されました。
これは、ラテン系アメリカ人として初めてニューヨーク公共図書館の司書になったプーラ・ベルプレの名を取って1996年に創設された文学賞。
ラテン系の作家による、ラテン文化を取り扱ったすぐれた児童書とYAに贈られます。

児童書とYAそれぞれに作家部門とイラストレーション部門があります。
当ブログでは作家部門のみのご紹介となりますので、すべての部門については上のリンク先などをご参照ください。


今年の児童書作家部門の受賞作品はこちらです。


Mexikid
by Pedro Martín


ペドロ・マルティンはアブエリト(おじいちゃん)にお話を聞かされて育った。おじいちゃんはメキシコ革命にも参加した伝説の警官だ。
だからって、おじいちゃんがうちに来て同居することになって喜ぶかというとそうじゃない。ペドロには8人の兄弟姉妹がいて、家はもう充分ぎゅうぎゅうなのだ。それでもペドロは一家でキャンピングカーに荷物を積み、おじいちゃんを迎えに行くためのメキシコへの自動車旅に出た。それは笑いと悲しみに満ちた人生の旅になった。

メキシコ系アメリカ人の作家ペドロ・マルティン(Pedro Martín)が自分の少年時代の出来事を描いたグラフィックノベル回顧録。
2024年ニューベリー賞オナー(銀賞)作品。

 

 

 

 

オナー(銀賞)には以下の5作品が選ばれました。


Alebrijes
by Donna Barba Higuera


400年前から不毛の荒野となった地球。
13歳のスリの少年レアンドロと妹のガビは、生き残った人類たちが集められた都市ポカテルで自分たちが生き延びるためなら何でもする。ある日、ガビが上層民の貴重な果物を盗んで捕まり、レアンドロはその罰をかわりに引き受けた。
彼の罰は街からの追放。ただし、肉体ではなく意識だけ。彼の意識は古代のドローンの中に入れられて、ひとりで放たれた。
ポカテルの壁の向こうには、レアンドロと同じくより良き世界を探すアレブリヘ(幻獣)たちがいた。それにミュータントの怪物、荒れ地の海賊たち、隠されたオアシス、そして真実が。

「最後の語り部」のドナ・バーバ・ヒグエラによるディストピアファンタジー。

 

 

 

 

Aniana del Mar Jumps In
by Jasminne Mendez


アニアナ・デル・マーは水の生き物だ。イルカが海の生き物なの同じように。でもアニアナとパパは水泳の練習をしていることをママには隠している。ママは何年も前に愛する人を水の事故で失っていて、まだ立ち直れないでいるのだ。
でもそれも小児関節炎でベッドから出られなくなってしまうまでの話。アニは水泳が自分にとってどれだけ大事かを打ち明けなければならなくなった。ママはアニが水泳に戻るのを許さなかったが、アニと主治医は薬物治療と並行して水泳をすることが病気と付き合っていく助けになると信じていた。

アフリカ系&ラティーノ系アメリカ人の詩人で児童書作家ジャスミン・メンデス(Jasminne Mendez)のヴァースノベル。

 

 

 

 

Benita and the Night Creatures
by Mariana Llanos, Cocoretto (Illustrator)


ベニータは寝る前にベッドで本を読むのが大好き。でもいつも口笛を吹くトゥンチェ(怪物)や恐ろしいスーパイ(死神)やその他のペルー民話の妖怪たちがじゃまをしにくる。妖怪たちはベニータが本に夢中で自分たちをちっとも怖がらないのが信じられない。

妖怪が眼中にない本好き少女と彼女に怖がってほしい妖怪たちのベッドタイムの攻防をユーモラスに描く絵本作品。ペルー生まれアメリカ在住の絵本作家マリアナ・ラノス(Mariana Llanos)が文を、ペルーのイラストレーター・ココレット(Cocoretto)が絵を担当しています。

 

 

 

 

Papá's Magical Water-Jug Clock
by Jesus Trejo, Eliza Kinkz (Illustrator)


ちっちゃなヘススは土曜日は庭師のパパと「家業」をして過ごす。ヘススはパパのかっこいいトラックや道具が大好きだ。パパはヘススに時計付きの魔法の水入れを担当させてくれる。それが空っぽになったら今日の仕事は終わり。大事な仕事だからしっかりやりたい。
だけどヘススは仲良しの動物たちには水をやらずにいられない。セーターを着た犬、年寄りの猫たち、孔雀の群れ。気がついたら水入れは空っぽになっていたけど、仕事の時間はまだ終わってない。ヘススはクビになってしまうのか?

メキシコ系アメリカ人の俳優でコメディアン・ヘスス・トレホ(Jesús Trejo)の絵本作家デビュー作品。トレホが文を、アメリカ在住のイラストレーター・エリザ・キンクス(Eliza Kinkz)が絵を担当しています。

 

 

 

 

Something Like Home
by Andrea Beatriz Arango


ローラ・ロドリゲス・コロンには計画がある。大人たちがなんと言おうが、もう一度両親と暮らすのだ。責めることなんかできない。転校先で友達を作るのは大変だ。叔母さんの家での暮らしは悪くない。ただ自分の居場所にいる暮らしとは違う。
だから子犬を見つけた時は、運命のような気がした。この子犬を訓練してセラピードッグにできれば、両親に会いに行くのを許可してもらえるかも。犬が両親の状態を改善してくれて、何もかもあるべき姿に戻るかも。

プエルトリコ生まれアメリカ在住の児童書作家アンドレア・ベアトリス・アランゴ(Andrea Beatriz Arango)の作品。

 

 

 

 

YA部門の受賞作品はこちらです。


Saints of the Household
by Ari Tison


マックスとジェイはお互いに助け合って生き延びてきた。暴力をふるう父のもとで育ったふたりのブリブリ(コスタリカの先住民族)系アメリカ人の兄弟は、自分たちと母さんを守る唯一の方法は完全にスケジュールを守り、おとなしくしていることだと学んでいた。
でも学校でのトラブルで、サッカー部のスター選手とけんかをして叩きのめしてしまった。この暴力が彼らの将来への夢と、自分たちが何者かという認識を危うくする。

兄弟愛と虐待と回復、正しい道を選ぶことについての物語。コスタリカの先住民族ブリブリ(Bribri)出身のコスタリカ系アメリカ人新人作家アリ・トリソン(Ari Tison)のデビュー作品。
2024年ウォルター・ディーン・マイヤーズ賞YA部門受賞作品。2024年ウィリアム・C・モリス賞最終候補作品。
 

 

 

 

オナー(銀賞)は次の2作品です。

The Prince and the Coyote
by David Bowles, Amanda Mijangos (Illustrator)


1418年。コロンブスに発見される前のメキシコ。
14歳の世継ぎの王子アコルミズリは何よりも彼の都テツココが栄える姿を見ることを望んでいた。
だが彼のふたつの家族であるメシカ王国とアコルワカン王国は、彼が生まれてからずっと戦を続けている。父王が、妻への愛のためにテパネク族の皇帝の怒りを買う危険を冒したからだ。
権力争いの果てに父は死に、母とそのきょうだいは追放され、アコルミズリも命の危険にさらされて逃げなければならなかった。荒野で出会ったコヨーテに助けられて道を見つけた彼は、新たに「ネザワルコヨトル(速足のコヨーテ)」を名乗る。ネザは彼の血筋を一掃しようとする叔父の企みを生き延びることができるのか。

アコルワの王を父に、メシカ王の妹を母に持つ1400年代メキシコの実在の王ネザワルコヨトルの追放から帰還を描く若き日の冒険物語。詩人でもあったご本人による現存の詩の古ナワトル語からの翻訳が一部含まれているそうです。
メキシコ系アメリカ人のYA作家デイヴィッド・ボウルズ(David Bowles)の作品。

 

 

 

 

Worm: A Cuban American Odyssey
by Edel Rodriguez


エデルが9歳のとき、フィデル・カストロは12万5000人の亡命希望者、あるいは「虫」たちを出国させるという驚くべき決定をした。停滞した経済と政府からの監視は家族の農場の日々の暮らしを不安定にしており、一家は密かに亡命を決めた。

キューバ系アメリカ人の画家で児童書作家で活動家エデル・ロドリゲス(Edel Rodriguez)が自身の若き日を語るグラフィックノベル回顧録。