American Library Association announces 2024 Youth Media Award winners
https://www.ala.unikron.com/

 

 

2024年のALA(全米図書館協会)Youth Media Awards各賞受賞作品が発表されました。

このYouth Media Awardsには、児童文学賞のニューベリー賞、絵本に贈られるコールデコット賞、YA文学賞のプリンツ賞、新人賞のモリス賞、YAにおすすめの一般書を選ぶアレックス賞など、20を超えるYA、児童書の文学賞が含まれており、これらが一夜のうちに一気に発表されます。

一度に全部はとてもご紹介できないので、数日かけてゆっくり更新します。お付き合いください。


まずはアメリカでもっとも権威ある児童文学賞ニューベリー賞から。
(このブログでは児童書~YAの文学賞のみの紹介となりますので、すべての賞の受賞作品についてはいちばん上のリンク先などをご参照ください)

今年のニューベリー賞受賞作品はこちらです。


The Eyes and the Impossible 
by Dave Eggers 


犬のヨハネスは海の近くの公園で暮らしている。彼の仕事は公園の中で起こるすべてを見て、公園の長老である三頭のバイソンに報告すること。友だちのカモメとアライグマ、リス、ペリカンが助手になり、人間たちとほかの動物たちに目を配って、公園の安定を保っている。
でも変化が訪れた。やかましい旅行客を含めた人間たちが増えてきて、四角い謎の新しい建物が建てられ、大量のヤギたちが恐ろしい啓示とともにやってきた。

世界的ベストセラー「ザ・サークル」、「王様のためのホログラム」のデイヴ・エガーズによる児童書作品。

 

 

 

 

 

また、次の5作がオナー(銀賞)に選ばれました。


Eagle Drums
by Nasugraq Rainey Hopson


家族が冬に備えて支度をしているかたわら、才能ある若き狩人は黒曜石を集めるために山へ登る。そこは彼の2人の兄が死んだ場所だ。
頂上に着くと、彼はすぐに恐ろしい鷲の神サヴィクに対峙する。サヴィクは彼に、
自分と一緒に来るか、兄たちのように死ぬかを選べと言う。
それに続くのは、鷲の神々が住む国への過酷な旅と、自然の世界から与えられる思いがけない試練。

アラスカのイヌピアックの作家ナスラグ・レイニー・ホプソン(Nasugraq Rainey Hopson)の児童書作品。
イヌピアックの人々が行なった冬の儀式「キヴヨック(使者の祝宴)」を題材にしたマジックリアリズムファンタジーのようです。キヴヨックは使者が自分の村から他所の共同体へ送り出されて、祭りに参加する客人を連れてくるという儀式だそうです。

 

 

 

 

Elf Dog and Owl Head
by M.T. Anderson


クレイは家の中だけで生活している。世界的な感染症が世界にブレーキをかけ、友だちとTV通話するだけのあまり楽しみじゃない夏休みと、家のコンピュータを鬱陶しい妹たちと奪い合う生活、両親の生活不安がもたらされた。森の中に逃げ込む時間だけが幸せすぎた。
そんな彼の前に、豪奢な首輪をつけた優雅な犬が現れた。この謎めいた犬に案内され、クレイは森に隠された古い秘密を垣間見て、未知の深みへ降りていくことになる。

「フィード」のM・T・アンダーソンによる児童書作品。

 

 

 

 

Mexikid
by Pedro Martín


ペドロ・マルティンはアブエリト(おじいちゃん)にお話を聞かされて育った。おじいちゃんはメキシコ革命にも参加した伝説の警官だ。
だからって、おじいちゃんがうちに来て同居することになって喜ぶかというとそうじゃない。ペドロには8人の兄弟姉妹がいて、家はもう充分ぎゅうぎゅうなのだ。それでもペドロは一家でキャンピングカーに荷物を積み、おじいちゃんを迎えに行くためのメキシコへの自動車旅に出た。それは笑いと悲しみに満ちた人生の旅になった。

メキシコ系アメリカ人の作家ペドロ・マルティン(Pedro Martín)が自分の少年時代の出来事を描いたグラフィックノベル回顧録。

 

 

 

 

Simon Sort of Says
by Erin Bow


世界じゅうの人がサイモン・オキーフについて語りたがるのはサイモンが何としてでも忘れたい話だけ。サイモンは学校で起きた銃乱射事件のクラスでたったひとりの生き残りなのだ。
事件から2年後、12歳になったサイモンは、家族と一緒にアメリカで唯一インターネットが繋がらない地域ナショナル・クワイエット・ゾーンに引っ越してきた。ここでは誰もサイモンについての噂話をせず、宇宙生命体の気配を聞き取ろうとする天文学者たちが忙しく働いていた。
この町で宇宙人からのメッセージを偽造しようとするアガテとケヴィンと友だちになり、サイモンは世界が語りたがる新しい物語を動かすチャンスを得ることになる。

アメリカ出身カナダ在住の児童書&YA作家エリン・ボウ(Erin Bow)の作品。2023年全米図書賞児童書部門ロングリスト。

 

 

 

 

The Many Assassinations of Samir, the Seller of Dreams
by Daniel Nayeri, Daniel Miyares (Illustrator)


これは若き僧侶と彼の新たな護衛サミールのシルクロードをたどる心躍る旅の物語だ。サミールは大柄な男で、またの名を「夢売り」という。
この男は詐欺師だ。最も得意なのは言葉巧みに欲しいものを手に入れること。その話術がモンキーの命を救い、サミールに怒り心頭の多くの人々を生んだ。あまりに怒り心頭で、暗殺者を雇うほど。
借りを返すために、モンキーはサミールの命を救うと決めた。サミールの命を6回救えば、自分は自由になれる。でも、それまでふたりとも生きていられるのだろうか?

「星の王子さま」と「ハルーンとお話の海」のファンにおすすめの冒険物語だそうです。アメリカで活動するイラン出身のYA&児童書作家ダニエル・ナイリ(Daniel Nayeri)の作品。