2024 Walter Awards【WNDB】
https://diversebooks.org/programs/walter-awards/

 

 

2024年 ウォルター・ディーン・マイヤーズ賞が発表されました。

ウォルター・ディーン・マイヤーズ賞、通称ウォルター賞は、2014年に亡くなったアメリカのYA作家ウォルター・ディーン・マイヤーズの名を冠して、2016年にスタートしたアメリカのYA&児童文学賞。

有色人種、ネイティブアメリカン、LGBTQ+、障害を持つ人、宗教や文化においてアメリカでマイノリティである人、といった多様性のある主人公を描く多様性のある著者(または共著者)によるYAと児童書の優れた作品に贈られます。

現在はYA部門(Teen Category)と児童書部門(Younger Readers Category)の2部門です。


今年の児童書部門受賞作品はこちらです。


Remember Us
by Jacqueline Woodson


7年生の学年がはじまる前の夏、サガの世界は炎に包まれているみたいだった。そこでは次から次に家が火事になり、彼女が住むニューヨークのブッシュウィック地区を地元紙は「マッチ箱」と呼んだ。
男子とバスケをして遊びながら、女の子らしくなっていく幼なじみの女の子たちのグループにもなじもうとするサガだが、男子の世界には完全に受け入れられず、女子の世界にもなじめない。
でもその夏はフレディが引っ越してきた。サガを完璧に理解してくれる子。

「わたしは夢を見つづける」のジャクリーン・ウッドソンの作品。

 

 

 

 

また、こちらの作品が児童書部門オナー(銀賞)に選出されました。


Grounded
by Aisha Saeed, S.K. Ali, Jamilah Thompkins-Bigelow, Huda Al-Marashi


大規模なムスリム集会に向かうはずだったすべての飛行機が嵐で欠航になり、4人の子どもたちは思いがけず一緒になった。
妹の面倒をみることで手一杯のフィークは、本当は有名な詩人でラッパーの父さんに認められるような詩を書いていたい。
行方不明の猫を空港で探しているハナは、同時に再婚について話したがる父さんから逃げてもいる。
不安症をわずらうサミは、一生懸命打ち込んできたカラテの大会に出られなくなることを恐れている。
そして有名女性議員の娘でいることがプレッシャーなノラは、本当はノックノックの動画を制作していたいのだ。
4人の子どもたちに大した共通点はないように見える。今はまだ。

嵐の空港で足止めになった4人のムスリムの少年少女たちを4人のムスリム児童書作家たちが描いた作品のようです。
「囚われのアマル」のアイシャ・サイード、「ねえさんの青いヒジャブ」のS・K・アリ、アフリカ系アメリカ人の父とマンディンカ族の母を持つアメリカの児童書作家ジャミラ・トンプキンズ=ビグロウ(Jamilah Thompkins-Bigelow)、イラク系アメリカ人の児童書作家フーダ・アル=マラシ(Huda Al-Marashi)の共著。

 

 

 

 

 

そしてYA部門の受賞作品はこちらです。


Saints of the Household
by Ari Tison


マックスとジェイはお互いに助け合って生き延びてきた。暴力をふるう父のもとで育ったふたりのブリブリ(コスタリカの先住民族)系アメリカ人の兄弟は、自分たちと母さんを守る唯一の方法は完全にスケジュールを守り、おとなしくしていることだと学んでいた。
でも学校でのトラブルで、サッカー部のスター選手とけんかをして叩きのめしてしまった。この暴力が彼らの将来への夢と、自分たちが何者かという認識を危うくする。

兄弟愛と虐待と回復、正しい道を選ぶことについての物語。コスタリカの先住民族ブリブリ(Bribri)出身のコスタリカ系アメリカ人新人作家アリ・トリソン(Ari Tison)のデビュー作品。
現在2024年ウィリアム・C・モリス賞最終候補作品。

 

 

 

 

YA部門のオナーはこちらの作品です。


All the Fighting Parts
by Hannah V. Sawyerr


16歳のアミナはクラスメートに暴言を吐いて、教会のボランティアでジョンソン牧師の手伝いするようにと父さんに命じられた。でも牧師は、みんなが信じているような聖人ではなかった。
アミナの闘う言葉はジョンソン牧師に性的暴行を受けた夜に沈黙してしまった。その夜の後、彼女の人生はばらばらになっていった。成績が落ちはじめたことに父さんはいらだっている。親友も彼氏も、かつてははっきりものを言い自信たっぷりだった彼女が今は黙って距離を置いている理由がわからないでいる。加害者がみんなに好かれた地域の指導者の場合、誰が自分を助けてくれるのかアミナにはわからない。

アメリカの詩人で新人YA作家ハンナ・V・ソウヤー(Hannah V. Sawyerr)のデビュー作品。
現在2024年ウィリアム・C・モリス賞最終候補作品。