こちら↑の記事に引き続き、2023年の児童書&YA文学賞受賞作品をまとめます。


【9月】

2023年 ドラゴン賞YA&ミドルグレード部門【ファンタジー&SF】

The Golden Enclaves (The Scholomance #3)
by Naomi Novik
【闇の礎 死のエデュケーション3/ナオミ・ノヴィク/井上里訳/静山社】


そこには教師もいないし、休日もない、戦略のために結ぶものを除いては友情もない。どんな成績表よりも重要なのは生き延びること。その学校は、卒業するか、あるいは死なない限り去ることを許されない。
新入生のエルには仲間はいないが、実は山を平地に変えたりモンスターの大群を一掃できるほどの闇の魔法の使い手で、学校の生徒を皆殺しにもできてしまうため、その力を解き放たないように努力している。とりあえず、解き放たざるを得なくなる状況にならない限りは。

 「テメレア戦記」のナオミ・ノヴィクによる魔法学園ものYAファンタジー「死のエデュケーション」シリーズの3作目(上のあらすじは1作目のものです)。Mandeville Filmsで映画化の予定があります。静山社から邦訳が出ています。

【このほかの受賞・候補作品選出文学賞】
2023年 ロードスター賞(最終候補)

 

 

 

 


2023年 ロードスター賞【ファンタジー&SFのYA作品】

Akata Woman (The Nsibidi Scripts #3)
by Nnedi Okorafor


自分の血の中に魔法が流れていると知った時から、サニー・ンワズはその力を制御する方法を探し続けた。これまでの冒険を通して、彼女は人生におけるすべての間でバランスを取る術を学ぶ必要があった。アメリカとナイジェリア、普通の世界とジュジュ(魔法)の世界、人間と精霊、良い子の自分と強力な豹人間の自分。
そして今、サニーは友人の助けを借り、魔法の王国の奥深くへ貴重な宝物を探す旅に出る。

「ビンティ 調和師の旅立ち」のンネディ・オコラフォーによるナイジェリアの文化や伝承を盛り込んだYAファンタジー「The Nsibidi Scripts」シリーズの3作目。

【このほかの受賞・候補作品選出文学賞】
2022年ドラゴン賞YA&ミドルグレード部門(候補)

 

 

 

 

【10月】

2023年 ドイツ児童文学賞YA部門

Die Sonne, so strahlend und Schwarz
by Chantal-Fleur Sandjon


最初に出会ったときから、ノヴァはアコーアに惹かれた。ノヴァの世界をその輝きで明るくしてくれる女の子。一目惚れの恋は幸せで、母さんのことも、弟のコスモのことも、暴力的な義父とのこれまでの辛い経験のことも考えられなかった。でもそんなときに思いがけない出来事が起こって、苦しみが戻ってきた。

クィアの少女の恋と成長を描いたヴァースノベルのようです。アフリカ系ドイツ人のYA作家シャンタル=フルール・サンドジョン(Chantal-Fleur Sandjon)の作品。

 

 



2023年 ドイツ児童文学賞児童書部門

Boris, Babette und lauter Skelette
by Tanja Esch 


海外に行くお隣さんから1年間ペットの世話を頼まれたボリスはすぐに引き受けた。でもボリスの両親はアパートに動物を置きたがらない人で、だからボリスはそのペットのボベットちゃんをしっかり隠さないといけなかった。ボベットちゃんは黄色くて二足歩行でTV好きでしゃべる謎の動物で、この秘密の同居人がボリスの生活をカオスに変えた。

ドイツの児童書作家&イラストレーター・ターニャ・エシュ(Tanja Esch)のグラフィックノベル作品。

 

 



2023年 ドイツ児童文学賞青少年審査員賞

Als die Welt uns gehörte
by Liz Kessler, Eva Riekert (Übersetzung)


1936年ウィーン。
3人の幼なじみレオ、リサ、マックスは一緒に完璧な日々を過ごしていた。彼らをとりまくヨーロッパという世界が、どんどん大きくなる闇の中へ落ちていくことにも、そのために自分たちが早晩引き裂かれてしまうことにも気がつかないでいた。人生は3人をヨーロッパ中へ散り散りにした。ドイツ、イングランド、プラハ、ポーランド。彼らはふたたび一緒になる道を見つけられるのか。そして、彼らはそれを望むのか?

「エミリーのしっぽ」のリズ・ケスラーによる2022年のYA歴史小説「When The World Was Ours」のドイツ語訳。原書は英語です。

【このほかの受賞・候補作品選出文学賞】
2022年カーネギー賞(ノミネート)

 

 

 

 

 

2023年 カーカス賞児童書部門

America Redux: Visual Stories from Our Dynamic History
by Ariel Aberg-Riger


アメリカの現代アート作家アリエル・アバーグ=ライガー(Ariel Aberg-Riger)がアートでアメリカの歴史を語った作家デビュー作の長編ノンフィクション絵本。ジャンルとしては歴史ノンフィクションになるかと思いますが、本としてはまるで現代アート。
あらすじ見るより現物見た方がよさそうなので公式サイトを貼ります。ここ↓で少し中身が見られます。

https://www.americareduxbook.com/

 

 

 

 

2023年 ダイバース・ブック賞YA部門【多様性のある文学】

When Our Worlds Collided
by Danielle Jawando


「When Our Worlds Collided」が今年2冠目。

 

 


2023年 ダイバース・ブック賞児童書部門【多様性のある文学】

Drama and Danger (The Lizzie and Belle Mysteries #1)
by J.T. Williams


12歳のリジー・サンチョとダイドー・ベルはまったく違う世界に住む2人。リジーはウェストミンスターのお父さんの紅茶屋で暮らし、ベルはケンウッドの豪邸で叔父と叔母と暮らしている相続人。でもふたりは謎解きへの愛を共有していた。
ある夜ドルリー・レーン劇場の客席で目が合ったとき、ふたりの少女は舞台上で何かが起きたのを見たと確信していた。
一緒に謎を追い、親友になった2人。でも殺人を食い止めることはできるのか?

イギリスの元教師で新人作家J・T・ウィリアムズ(J.T. Williams)のデビュー作品。ジョージ王朝時代のロンドンを舞台にした児童書歴史ミステリ。ロビン・スティーヴンスのファンにおすすめだそうです。シリーズ1作目。

【このほかの受賞・候補作品選出文学賞】
2023年ブランフォード・ボウズ賞(ロングリスト)
2023年ウォーターストーンズ児童文学賞児童書部門(ショートリスト)

 

 

 

 

【11月】

2023年 全米図書賞児童書YA部門

A First Time for Everything
by Dan Santat


ダンはいつでもいい子だった。先生の言うことをよく聞き、母さんの買い物を手伝い、厄介ごとには関わらない。とはいえいい子でいることは、いじめられていて自分が透明人間になったような気がしていることにはなんの助けにもならない。だから学校のヨーロッパへの研修旅行に行かされたとき、ダンはなんの期待も持っていなかった。
でもフランス、ドイツ、スイス、イングランドと旅をするうち、経験が少しずつ彼を変えはじめた。生まれて初めてのファンタ、初めてのフォンデュ、ドイツのパンクロッカー相手の初めての自転車盗難、そして初めての恋。

絵本「ビークル ゆめのこどものおはなし」のダン・サンタットが自身の少年時代の経験を描いたグラフィックノベル回顧録。

 

 

 

以上です。