こちら↑の記事に引き続き、2024年に見られる(かもしれない)YA文学映画化作品をご紹介します。

 

 

【公開時期未定】

 

 

廣嶋玲子原作「ふしぎ駄菓子屋銭天堂」

 

 

原作は、児童書&YA&一般書作家廣嶋玲子が2013年にスタートした児童書のヒットシリーズ。紅子さんという店主が食べると不思議な体験ができる怪しいお菓子を売ってくれる駄菓子屋「銭天堂」を訪れた人々を描く連作短編集です。
すでにTV、劇場アニメーション化されている作品ですが、こちらは実写の劇場映画化企画。

実写映画化ということ以外はキャスト、スタッフなどすべて不明です。

2024年公開予定。

 

 

アリシア・アボット原作「Fairyland」(原作未訳)

 

 

原作はアメリカの作家アリシア・アボット(Alysia Abbott)が2013年に刊行したベストセラー。
2歳のときに交通事故で母親を失い、バイセクシュアルで詩人でLGBT活動家のシングルファーザー・スティーブ・アボットに育てられた作者が、自身の少女時代を語った回顧録です。
父に連れられてサンフランシスコの芸術家たちと交流し、アパートを転々として根無し草のように暮らし、AIDSに苦しむ父の友人たちを目撃し、やがて父がAIDSに倒れるのも見ることになる…
という、AIDSの大流行が起こっていた1970年代から80年代サンフランシスコの激動の時代を背景に、父娘の愛情を描いた物語のようです。


監督&脚本は新人アダム・ダーラム(Andrew Durham)。

主演は「コーダ あいのうた」のエミリア・ジョーンズ&「カモン カモン」のスコット・マクネイリー。
ほか出演は「テルマ&ルイーズ」のジーナ・デイヴィス、シンガーのアダム・ランバート、「アメリカン・ホラー・ストーリー: 黙示録」のコーディー・ファーンなど。

すでに完成。2023年1月のサンダンス映画祭で上映されました。



シャロン・M・ドレイパー原作「Out Of My Mind(原作邦題「わたしの心のなか」)」

 

 

原作はアメリカのベテラン児童書作家シャロン・M・ドレイパーの2010年のベストセラー。
豊かな心と賢い頭脳を持ちながら、脳性まひのため言葉を発することができなかった11歳のヒロイン・メロディが、機械を通じて声を出す手段を手に入れ、学校生活で新たなチャレンジに踏み出していく姿を描く成長物語。
見くびられていたヒロインが自分の能力を示すことでクラスのみんなに受け入れてもらってめでたし、みたいな話「ではない」ところが良い作品。
続編の「わたしの心のきらめき」とともに鈴木出版から邦訳が出ています。


監督は「No Man of God」のアンバー・シーリー(Amber Sealey)。
脚本は「ビリーブ 未来への大逆転」のダニエル・スティープルマン。

主演は新人フィービ=リー・テイラー(Phoebe-Rae Taylor)。

ほか出演は「グッバイ、リチャード!」のローズマリー・デウィット、「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」のマイケル・チェルナス、「ヘアスプレー」のシャロン・マシューズなど。


すでに完成。2024年1月のサンダンス映画祭で上映予定です。
 

 

 

スコット・ウエスターフェルド原作「Uglies(原作邦題「アグリーズ」シリーズ)」

 

 

 

原作は、「リヴァイアサン」3部作などで知られるオーストラリアのベストセラーYA作家スコット・ウエスターフェルドが2005年にスタートしたシリーズ作品。
16歳でほとんどの人間が整形手術を受けて美しくなる近未来世で、手術を受けない「アグリーズ(醜い者)」の少女タリーが、この整形社会の裏に潜む大きな秘密に気付いていく…というディストピア小説。
かなり好評で、本編シリーズ全3作+番外編、そして2018年にスタートした同じ世界観の新シリーズ「Impostors」3部作が存在しています。

ソニーマガジンズ(現ヴィレッジブックス)から邦訳が出ていましたが、日本ではあまりウケがよくなくて本編シリーズ最初の2冊(原書の1巻目にあたる)で日本版は打ち切りとなりました。ヴィレッジブックスという会社もなくなってしまったため、現在はもう絶版と思われます。


2011年の時点では20世紀FOXが映画化権を持っていましたが、製作に至りませんでした。現在はNetflix映画として企画されています。


監督はドラマ版「シャドウハンターズ」のマックG。
脚本は「グレイズ・アナトミー」のクリスタ・ヴェルノフ。


主演は「ブレット・トレイン」のジョーイ・キング。
ほか出演は、「ストレイト・アウタ・コンプトン」のキース・パワーズ、ドラマ版「ラストサマー」のブリアンヌ・チュウ、「アウターバンクス」のチェイス・ストークスなど。


2021年10月に撮影が行われました。現在ポストプロダクション中。

 

 

 

ジョン・グリーン原作「Turtles All the Way Down(原作邦題「どこまでも亀」)」

 

 

原作は、アメリカのベストセラーYA作家ジョン・グリーンが前作「さよならを待つふたりのために」以来5年ぶり、2017年に発表した最新作。
OCD(強迫性障害)を持つ16歳のヒロイン・アーザが、10万ドルの懸賞金のため、親友デイジーと一緒に行方不明の大富豪ラッセル・ピケットを探す、という青春ミステリ。
2018年チルドレンズ&ティーン・チョイス・ブック賞ティーン部門最終候補、2019年カーネギー賞ノミネート作品。
岩波書店から邦訳が出ています。当ブログにレビューあります。

 

 


この作品は2019年の時点ではFOX2000で劇場映画化される予定でしたが、ディズニーによる買収でFOX2000という会社がなくなってしまった後はしばらく音沙汰がなくなっていました。
現在はニューライン&HBO MAXの映画になっています。


監督はドラマ「私立探偵ダーク・ジェントリー」などに出演している女優のハンナ・マークス。
脚本は「Love,サイモン 17歳の告白」のアイザック・アプテイカー&エリザベス・バーガー。

主演は「トランスフォーマー 最後の騎士王」のイザベラ・メルセイド。
ほか出演は「Mr.イグレシアス」のクリー・チキーノ(Cree Cicchino)&「ロック&キー」のフェリックス・マラード、監督ハンナ・マークスなど。


2022年4月に撮影が行われました。現在ポストプロダクション中。

 

 

あさのあつこ原案「美作物語(原作タイトル「透き通った風が吹いて」)」

 

 

原案作品「透き通った風が吹いて」は、人気YA作家あさのあつこの2015年発表の作品。
初めて故郷の美作を舞台に設定し、故郷に残るか都会に出るかで将来を悩む元野球部の少年・渓哉の、親友や地元で働く兄との関係や淡い恋を描く青春小説です。
文藝春秋から単行本と文庫が出ています。


この映画は、地元の小説と映画を全国に発信することを目的とした岡山県美作市の地域映画プロジェクト「みまさか創生映画」の企画。
美作出身の映画監督大谷健太郎が監督&脚本をつとめ、同じく美作出身のベストセラーYA作家あさのあつこによる2015年刊行の同名小説の「その後」を描く後日譚映画として製作するようです。

主人公は原作の少年ではなく、彼が恋をした大人の女性のほうのようです。


監督&脚本は「NANA」の大谷健太郎。
共同脚本に「鉄オタ道子、2万キロ」の市川榮里。


主演松下奈緒。


2022年4月から撮影が行われました。2023年秋日本公開予定でしたが、延びたようです。

 

 

ローラ・テイラー・ネイミー原作「A Cuban Girl’s Guide to Tea and Tomorrow」(原作未訳)

 

 

原作はキューバ系アメリカ人のベストセラーYA作家ローラ・テイラー・ネイミー(Laura Taylor Namey)の2019年発表の青春小説。
高校を卒業した後はおばさんのパン屋で働くつもりだったキューバ系アメリカ人のヒロイン・リラにある悲劇が起こって、精神を休めるために両親の友人が経営するイングランドのイン(宿屋)を手伝って夏を過ごすことになる。
気候が故郷のマイアミとまったく違うイングランドの田舎町は居心地が悪いし、インのコックは無愛想。でもティーショップで働く少年オリオンと知り合って町を案内されるうちに、イングランドと彼に恋をするようになり、やがて料理で2つの文化に橋をかけ、自分の心を癒していく…
という青春ラブストーリーのようです。


監督は「トドリック・ホール: バックステージ・ストーリー」などドキュメンタリー監督として活動しているキャサリン・フェアファックス・ライト。
脚本は新人カーラ・アマザン(Khaila Amazan)&セヴィアン・アインシュタイン(Savion Einstein)。


出演は「プリティ・リトル・ライアーズ ORIGINAL SIN」のマイア・ラフィコ(Maia Reficco)、「ハートストッパー」のキット・コナー、「インゴベルナブレ」のケイト・デル・カスティーリョなど。


2022年の8月から撮影が行われました。

 

 

 

リマンタス・クミタ原作「Pietinia kronikas」(原作未訳)

原作はリトアニアの詩人で小説家リマンタス・クミタ(Rimantas Kmita)の2016年発表のベストセラー青春小説。
1990年代、ソ連から独立したばかりの混乱期リトアニアの都市シャウレイを舞台に、ラグビーと音楽が好きな労働者階級の家の少年リマスの友情や、ミドルクラスの彼女との関係などを描く物語のようです。


監督はリトアニア映画「Artimos sviesos」のイグナス・ミスキンス(Ignas Miskinis)。
脚本は「Stebuklas」のイグル・ヴェルテライト(Egle Vertelyte)。

出演は新人ジュガス・グリニス(Dziugas Grinys)、新人ロベルタス・ペトレイティス(Robertas Petraitis)など。


2022年8月から撮影が行われています。現在ポストプロダクション中。

 

 

シモン・ストーレンハーグ原作「The Electric State(原作邦題「エレクトリック・ステイト」)」

 

 

原作はスウェーデンのイラストレーター・シモン・ストーレンハーグが2017年に発表したストーリー付きSFビジュアルブック。
人をダメにするヴァーチャル・リアリティ娯楽の流行とドローン戦争で荒廃した架空の1990年代アメリカで、小さなロボットを連れて行方不明の弟を探す旅をする少女を描いたポストアポカリプスロードノベルです。
グラフィック社から邦訳が出ています。


監督は「アベンジャーズ」シリーズのルッソ兄弟。
脚本も「アベンジャーズ」シリーズのクリストファー・マルクス&スティーヴン・マクフィーリー。


主演は「エノーラ・ホームズの事件簿」のミリー・ボビー・ブラウン。
ほか出演は「ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー」のクリス・プラット、「ベター・コール・ソウル」のジャンカルロ・エスポジト、「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」のキー・ホイ・クァン、「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」のアンソニー・マッキー(声優)、ビリー・ボブ・ソーントン(声優)など。

2022年11月から撮影が行われています。Netflixで配信されると思われます。

 

 

 

ジョー・R・ランズデール原作「The Thicket」(原作未訳)

 

 

原作はアメリカの作家ジョー・R・ランズデールが2013年に発表した歴史サスペンス小説。
20世紀初頭の東テキサス。住んでいた農場を襲われ、殺人犯カットスロート・ビルとその仲間のギャングに14歳の妹ルーラを誘拐されてしまった16歳の少年ジャックが、射撃の名手で低身長のショーティ、巨大ショットガンを武器にする黒人のユースタス、娼婦のジミー・スーに助力を頼んで妹の行方を追う…
という、「トゥルーグリット」+「スタンド・バイ・ミー」のようで、やや「オズの魔法使い」でマーク・トウェインなダークスリラーだそうです。


映画化の話は2014年から存在しており、その時から伝説の女アニー・オークリーを師匠に持つという凄腕ガンマンでカリスマ賞金稼ぎのショーティの役でピーター・ディンクレイジがキャスティングされていました。

また2020年に「ゲティ家の身代金」のチャーリー・プラマー、「IT イット “それ”が見えたら、終わり。」のソフィア・リリス、「ミレニアム」シリーズのノオミ・ラパスらを起用していったん撮影がスタートしたのですが、コロナのせいでたった1週間で撮影ストップ。
それから撮影再開までに3年が経過してしまったため、その時に起用されていた俳優はディンクレイジ以外は(おそらくスケジュールやティーン俳優が成長してしまったことなどが理由で)ほとんど降りてしまい、最終的には別のキャストで製作されました。


監督は「ある殺人者の告白」」のエリオット・レスター。
脚本はドラマ「バンシー/BANSHEE」に参加しているクリス・ケリー(Chris Kelley)。


主演はマヤ・ホークの弟でほぼ新人のロアン・ホーク(Levon Hawke)。
ほか出演はピーター・ディンクレイジ、ドラマ版「ハンナ」などに出演しているエズメ・クリード=マイルズ、「イエロージャケッツ」のジュリエット・ルイス、「HE WIRE/ザ・ワイヤー」のベンガ・アキナベ、「バットガール」(お蔵入り版)のレスリー・グレイス、METALLICAのギタリスト・ジェイムズ・ヘットフィールドなど。

2023年3月に撮影が行われました。すでに完成。

 

 

まだ続きます…