リヴァイアサン クジラと蒸気機関/スコット・ウエスターフェルド/小林美幸訳/早川書房
世界が、遺伝子組み換えによる人工生物を兵器とする「ダーウィニスト」と、発達した機械文明の軍事力を持つ「クランカー」とに分かれて争う架空の第1次世界大戦を描いたスチームパンク冒険活劇。
しっかり時代考証をした上にユニークな架空の設定を分厚く乗っけて魅力的な世界を作っています。
日本では一般書として出てるけど、本国ではヤングアダルト（中高生向け）扱いの作品。これだけ作りこんだものがYAとして提供されてるってのは、アメリカのYAはすごい世界。トワイライトみたいな甘いロマンスものばかりじゃないんだぜ。
主人公は、両親を暗殺され家臣とともに追っ手から逃亡中の、オーストリアのアレクサンダー公子。そして、男装して英国海軍航空隊に入隊した、空を飛ぶことが好きな少女デリンのふたり。
各国の思惑が交錯し、ヨーロッパ全体が坂を転げるように戦争に突入していくなかで出会ったふたりは、英国所有の巨大飛行獣「リヴァイアサン」で戦火のなかを移動しながら、少しずつ友情を深めていくのだが、政治的に微妙な立場のアレックの存在が、リヴァイアサン艦長や謎の女科学者の目をひきつけ…と、いいところで次巻へ続く。
飛行獣リヴァイアサンをはじめとする英国海軍の生物兵器のしくみになかなかなじめず、前半は時間がかかったけど、２人の主人公が出会ってからは一気に読めました。
アレックとデリンはキュートな良いコンビ。繊細で真面目なアレックに対し、女の子のデリンのほうが威勢がよくてガサツなのが面白い。
男装の少女、というと何やら宝塚的でロマンチックなものを想像しがちですが、この話のデリン（偽名は「ディラン」）は全くスイートな部分がなく、言葉づかいが悪くて向こう見ずで、気持ちいいくらい男の子そのものって感じ。…のヒロイン（笑）。
アレックはいつデリンが女の子だと気が付くんだろう？その時の両者の反応もすごく楽しみだけど、
「だけど、おまえって奴は、それ以上の存在なんだぜ」
デリンはアレックの手を取った。
「おまえはさ、氷河を渡って、俺のケツを凍傷から救ってくれた奴だよ」
（自分の存在が政治争いを招いてしまった事に傷付くアレックを慰める「ディラン」のセリフ）
↑デリンがこんな調子じゃ、いつまでたってもアレックは気がつきゃしないだろう。どこまでも男前なディラン兄貴です。
（でも、このセリフのすぐ後に、デリンは意外なかわいい表情を見せてくれるんですけどね。アレックは見ちゃいないけど…）
ほか、冷静沈着で頼りになる、アレックの家臣にして剣術指南役のヴォルガー伯がなかなかカッコ良いです。次巻ではもっと活躍してほしい。
また、この作品の特徴として、全編にわたってすばらしいイラストがたくさん入っているんですが、これが不思議な人造獣や歩行機械のイメージをわかりやすく伝えてくれていますね。
（イラストは、こちら↓の作者ウエスターフェルドのウェブサイトで少し見られます。ちょっとレトロかつSFらしく、とても良いです）
Leviathan Series【westerblog】
http://scottwesterfeld.com/books/leviathan/
下のほうへスクロールするとイラストが出てきます
リヴァイアサン クジラと蒸気機関 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)/スコット・ウエスターフェルド
￥1,680
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中身のイラストは原書と一緒だけど、表紙のイラストだけは日本オリジナルです。
Leviathan/Scott Westerfeld
￥820
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原書はこんなの。
ウエスターフェルドは、日本では児童書として出版された「ミッドナイターズ」三部作と、ヴィレッジブックスから出た「アグリーズ」が紹介ずみの作家。
「アグリーズ」はアメリカでは人気作品だったんですが、日本ではいまひとつだったのか、翻訳が話の途中（２巻）で終わった不幸な作品でした。
この「リヴァイアサン」で三度目の正直の日本ブレイクなるか？
ミッドナイターズ 1 真夜中に生まれし者/スコット・ウエスターフェルド
￥1,890
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そんなに話題にならなかったみたいですが、これは結構面白かった。藤田新策画伯の日本版表紙は原作者ウェスターフェルドもお気に入り。
Midnighters #1: The Secret Hour/Scott Westerfeld
￥1,477
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原書はこんなの。
アグリーズ〈1〉あたしがキレイになる日/スコット ウエスターフェルド
￥1,155
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こちらが翻訳が途中で止まった「アグリーズ」。日本ではラブコメみたいな表紙とサブタイトルつけられてるけどSF作品。
Uglies (The Uglies)/Scott Westerfeld
￥1,130
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原書はこんなの。
世界が、遺伝子組み換えによる人工生物を兵器とする「ダーウィニスト」と、発達した機械文明の軍事力を持つ「クランカー」とに分かれて争う架空の第1次世界大戦を描いたスチームパンク冒険活劇。
しっかり時代考証をした上にユニークな架空の設定を分厚く乗っけて魅力的な世界を作っています。
日本では一般書として出てるけど、本国ではヤングアダルト（中高生向け）扱いの作品。これだけ作りこんだものがYAとして提供されてるってのは、アメリカのYAはすごい世界。トワイライトみたいな甘いロマンスものばかりじゃないんだぜ。
主人公は、両親を暗殺され家臣とともに追っ手から逃亡中の、オーストリアのアレクサンダー公子。そして、男装して英国海軍航空隊に入隊した、空を飛ぶことが好きな少女デリンのふたり。
各国の思惑が交錯し、ヨーロッパ全体が坂を転げるように戦争に突入していくなかで出会ったふたりは、英国所有の巨大飛行獣「リヴァイアサン」で戦火のなかを移動しながら、少しずつ友情を深めていくのだが、政治的に微妙な立場のアレックの存在が、リヴァイアサン艦長や謎の女科学者の目をひきつけ…と、いいところで次巻へ続く。
飛行獣リヴァイアサンをはじめとする英国海軍の生物兵器のしくみになかなかなじめず、前半は時間がかかったけど、２人の主人公が出会ってからは一気に読めました。
アレックとデリンはキュートな良いコンビ。繊細で真面目なアレックに対し、女の子のデリンのほうが威勢がよくてガサツなのが面白い。
男装の少女、というと何やら宝塚的でロマンチックなものを想像しがちですが、この話のデリン（偽名は「ディラン」）は全くスイートな部分がなく、言葉づかいが悪くて向こう見ずで、気持ちいいくらい男の子そのものって感じ。…のヒロイン（笑）。
アレックはいつデリンが女の子だと気が付くんだろう？その時の両者の反応もすごく楽しみだけど、
「だけど、おまえって奴は、それ以上の存在なんだぜ」
デリンはアレックの手を取った。
「おまえはさ、氷河を渡って、俺のケツを凍傷から救ってくれた奴だよ」
（自分の存在が政治争いを招いてしまった事に傷付くアレックを慰める「ディラン」のセリフ）
↑デリンがこんな調子じゃ、いつまでたってもアレックは気がつきゃしないだろう。どこまでも男前なディラン兄貴です。
（でも、このセリフのすぐ後に、デリンは意外なかわいい表情を見せてくれるんですけどね。アレックは見ちゃいないけど…）
ほか、冷静沈着で頼りになる、アレックの家臣にして剣術指南役のヴォルガー伯がなかなかカッコ良いです。次巻ではもっと活躍してほしい。
また、この作品の特徴として、全編にわたってすばらしいイラストがたくさん入っているんですが、これが不思議な人造獣や歩行機械のイメージをわかりやすく伝えてくれていますね。
（イラストは、こちら↓の作者ウエスターフェルドのウェブサイトで少し見られます。ちょっとレトロかつSFらしく、とても良いです）
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原書はこんなの。
ウエスターフェルドは、日本では児童書として出版された「ミッドナイターズ」三部作と、ヴィレッジブックスから出た「アグリーズ」が紹介ずみの作家。
「アグリーズ」はアメリカでは人気作品だったんですが、日本ではいまひとつだったのか、翻訳が話の途中（２巻）で終わった不幸な作品でした。
この「リヴァイアサン」で三度目の正直の日本ブレイクなるか？
ミッドナイターズ 1 真夜中に生まれし者/スコット・ウエスターフェルド
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そんなに話題にならなかったみたいですが、これは結構面白かった。藤田新策画伯の日本版表紙は原作者ウェスターフェルドもお気に入り。
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原書はこんなの。
アグリーズ〈1〉あたしがキレイになる日/スコット ウエスターフェルド
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こちらが翻訳が途中で止まった「アグリーズ」。日本ではラブコメみたいな表紙とサブタイトルつけられてるけどSF作品。
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原書はこんなの。