どんな作品か、先ずは聴いてみよう!![]()
1924年に「国際的貴族階級のためのパリの夜会」の開催を計画したド・ボーモン伯爵が、その期間に上演する出し物としてこの作曲を依頼してきたのが一年まえの1923年1月だった。その三月には、ピカソが舞台美術と衣裳デザイン、それに演出を引き受けた。
<<メルクリウス>>(フランス語でメルキュール)は副題を「3場の造型的ポーズ」と名づけたバレエ作品として、1924年6月15日、パリのラ・シガール座で初演。振付はレオニード・マシーン。この「造型的ポーズ」という着想を提供したのもこの舞踊家のマシーンだった。
ピカソ=サティ=マシーン。このコンビは<<パラード>>の仲間マイナス・コクトオというわけで、かれを除いて全員が再び勢ぞろいしたのだった。 (p.451)

バレエは3場の3つの情景をくりひろげることで、このメルクリウスの生涯の3つのエピソードを語る。
全体の構成は、こうなっている。![]()
第1景
①序曲
②夜
➂愛撫の踊り
④黄道十二宮
⑤メルクリウスの登場と踊り
第2景
⑥三人の美の女神たちの踊り
⑦美の女神たちの水浴
⑧メルクリウスの逃亡とケルベロスの怒り
第3景
⑨文字のポルカ
⑩新しい踊り
⑪カオス
⑫フィナーレ
このバレエの筋はまことに奇怪な、突飛な展開をみせる。一見、荒唐無稽なナンセンスなものにさえおもわれる。ところが、この展開にまったく独自な、注目すべき解釈を下したひとがいる。サティ研究家として知られるオルネラ・ヴォルタ夫人である。
彼女によれば、この突飛な展開も、「錬金術の文書にみられる化金石探究の手順、各段階を象徴的に表現した錬金術の版画を”造形的ポーズ”にあてはめると、突然すべての謎が解ける」というのである。 (「エリック・サティ覚え書」:p.454)
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初演時、主役を務めたマシーン
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ピカソ&サティ
<エリック・サティ没後100年に寄せて!>・・・19