こんな本を図書館から借りてきた。
オペラ作曲家として大成功を収めた後は、美食家として贅を極めた料理やワインに余生を費やしたロッシーニ。その名前を冠する料理は数知れず、牛ヒレ肉のステーキにフォアグラのソテーとトリュフを載せた「トゥルヌド・ロッシーニ」をはじめ、「ロッシーニ風」といえば高級食材をふんだんに使った料理の代名詞にもなっている。
本書はそんな美食家(グルマン)としてのロッシーニと彼にまつわるさまざまな逸話や伝説の真相をひもとく。スタンダールやバルザックなど19世紀の名だたる文人たちに語り継がれた美食家ロッシーニの逸話から、様々なカリカチュアに描かれたロッシーニの姿や、ロッシーニの名前を冠する代表的料理の解説まで、ロッシーニと料理にかんするすべてを網羅した一冊。
『ロッシーニと料理』(透土社、発売:丸善 1993年、新版2000年)に、筆者がこの20年で収集したさまざまな情報を盛り込み、すべての逸話について、その初出までさかのぼってあらたな検証を加えた決定版。
バルザックなど文人を通して語り継がれた数々の逸話、書簡やメモから浮かび上がる食へのこだわり、カリカチュアに描かれた姿から食にまつわる楽曲まで、ロッシーニと料理にかんする全てを網羅!フォアグラ、トリュフ、マカロニ…ロッシーニ風料理の逸話と真実。ロッシーニ風ステーキ含む50種のレシピ集も収録。
<目次>
1 ロッシーニの自筆メニュー
2 トリュフ、フォアグラ、マカロニ
3 コーヒー、ワイン、菓子、野菜と果物、逸話
4 書簡の中の美食
5 美食家ロッシーニのカリカチュア
6 “老いの過ち”―食べ物と料理の音楽
7 ロッシーニとその時代―食通音楽家の生涯
ロッシーニの料理(50のレシピ)
<著者>
水谷彰良[ミズタニアキラ]
1957年東京生まれ。音楽・オペラ研究家、日本ロッシーニ協会会長。ドイツ・ロッシーニ協会会員。『サリエーリ』(音楽之友社)で第27回マルコ・ポーロ賞を受賞
左:初版(1993年) 右:新版(2000年)
料理や食べ物だけでは、読み甲斐がないので、音楽作品についても引用しておこうか。
・・・ピアノ曲、歌曲、室内声楽曲からなる<<老いの過ち>>はロッシーニの私邸でのみ演奏を許された秘曲で、十三巻と補巻からなる全十四のアルバムにまとめられた曲の総数は約160にのぼり、うち105曲のピアノ独奏曲には<<痙攣前奏曲>><<苦悶のワルツ>><<深い眠り---びっくりして目を覚ます>><<自称ドラマティックな前奏曲>>,<<喘息練習曲>>など、風変わりな題名が付けられている。これはロマン派作曲家の詩的で尊大なタイトルへの皮肉や挑発でもあるが、ロッシーニは「競争相手のいない四流ピアニスト」と自称して周囲を煙に巻き、批判をかわしたのである。
こうした姿勢はエリック・サティに通じるモダニズムと後世に評価され、ロッシーニ作品でアルバムを録音したピアニスト、アルド・チッコリーニは山口昌男氏との対談で次のように語っている。(以下、略)・・・(p.152)
ふむふむ。
ロッシーニとサティとの結びつきは考えたことなかったなあ。。。
・・・文豪オノレ・ド・バルザックは、1830年代のロッシーニの遊び仲間だった。・・・(p.57)
・・・似たような体型の、食いしん坊と才気でひけをとらないバルザックとロッシーニは、すぐに親しくなった。・・・(p.59)
ふむふむ。何となく分かる気がするけどなあ。。。
美食家はすぐに似たような人と親しくなり、大いに健啖家ぶりを発揮するのだ!
この書物を読んでいて、とっても残念なのは、美味しそうな料理がいろいろ出てくるのだけど、味わってみることもできないし、その旨さも堪能できないのだ。ロッシーニ風と名づけられた料理の数々は、一度でいいから試してみたいものだわ!
なお、文豪スタンダールもこんな評伝を著している。