アーサー・ウェイリーとは・・・! | マンボウのブログ

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ここで、「源氏物語」の英訳者としての地位を保持しているアーサー・ウェイリーについて調べてみようか・・・チョキ

 

R大図書館から借りてきたのは、この書物である!右差し

 

 

   アーサー・ウェイリー

 

本平川祐弘「アーサー・ウェイリー『源氏物語』の翻訳者」(白水社 2008)

 

 

500ページ近い大冊である。第57回日本エッセイスト・クラブ賞受賞。

 

 

メモ日本文学の扉を世界に開いた英国人
 アーサー・ウェイリー(1889~1966)は『源氏物語』や白楽天の詩の英訳で知られるが、大英帝国が生んだ、比類を見ない学匠詩人であり、二十世紀最大のオリエンタリストである。西洋で認められることのなかった日本文学が、世界文学の土俵に上ったのは、ひとえに彼のすばらしい訳筆のおかげである。
 若き日のウェイリーは、能の翻訳で日本学者としてデビューした。やがて謡曲の出典である『源氏物語』を読んだウェイリーは、その真価を把握し、大英博物館の学芸員の地位を辞して翻訳に没頭、見事な作品に訳しあげた。十九世紀以来の英国は、オースティン、ディケンズ、ブロンテ姉妹などの大小説を世に問うてきたが、その最後を飾るように英訳『源氏物語』は二十世紀の英語芸術作品として世に出た。こうして『源氏物語』は『失われた時を求めて』に比せられる世界文学の一大傑作としての地位を占めるにいたったのである。
 本書は、天才翻訳家ウェイリーの人となりと彼の業績を語り、その翻訳の妙味を伝え、『源氏物語』の魅力を解説しようとするものである。

 

<目次>

第1章 中国詩の新世界
第2章 西洋人の謡曲発見
第3章 日本の女たち
第4章 世界文学の中の『源氏物語』
第5章 翻訳の諸問題
第6章 大英帝国の衰退
第7章 晩年の諸業績
第8章 平安朝の恋とブルームズベリーの恋

 

<著者>

ジーンズ平川祐弘[ヒラカワスケヒロ]
1931年東京生れ。東京大学名誉教授(比較文学比較文化)

昭和63年~平成4年まで比較文学比較文化研究室主任を務める。
著書に、『アーサー・ウェイリー 「源氏物語」の翻訳者』(白水社、2008年)、 『マッテオ・リッチ伝』全3巻(平凡社東洋文庫、1969年~1997年)、 『和魂洋才の系譜 内と外からの明治日本』(河出書房新社、初版1971年)、 『東の橘 西のオレンジ』(文藝春秋、1981年(サントリー学芸賞受賞))、 『ラフカディオ・ハーン 植民地化・キリスト教化・文明開化』(ミネルヴァ書房、 2004年(和辻哲郎文化賞受賞))、 等多数。

 

 

   

 

  勉誠出版から刊行された決定版著作集全18巻の一冊(2020)

 

 

いろいろ引用してみたい箇所があるけど・・・

 

 

      メモ・・・『万葉集』と『古今集』以後の歌集の間には非常に異なる歌風が感じられる。それは、ほかの要素も作用しているが、『古今集』以後の歌集には、三十一文字とはいえ、背後には白楽天をはじめとする中国の漢詩の働きかけが、知性面にも感性面にも見られ、よかれあしかれ洗練といおうかソフィスティケーションが行われたからである。

 ヴィクトリア朝イギリスのテニスンに代表される十九世紀詩人と、T・S・エリオット以後の二十世紀詩人との間には非常に異なる詩風が感じられる。それは、ほかの要素も作用しているが、一つにはパウンドやウェイリーが訳した中国の訳詩の働きかけが、感性面にも形式面にも見られ、旧来の定型詩の束縛を取りはずしてしまったからである。・・・(p.47-8)

 

 

ふむふむ。比較文学史を繙いているみたいだ!びっくり

 

 

   メモ・・・私見ではウェイリーの東洋学者としての三大業績は、年代的にいうと、中国の詩をいかにも英語の詩らしい詩に訳したこと(千九百十年代半ば以降)、謡曲の詩文学としての魅力を複式夢幻能の構造を西洋に伝えたこと(二十年代初期)、『源氏物語』のすばらしさを英語で再現してみせたこと(二十年代半ばから三十年代前半)だと思う。・・・(p.81)

 

そうして、シェイクスピアの「オセロ」を夢幻能に仕立てるという試みが面白い(^^)口笛

ウェイリーの処方箋に従って著者が試みた文章だ。

 

 

 

     (次回に続く)

 

 

   <「源氏物語」を愉しむ!>・・・12