「草枕絵巻」とは・・・! | マンボウのブログ

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漱石の名作「草枕」は、その様々なシーンを題材にした絵巻が作られていた。チョキ

 

 

   漱石世界と草枕絵:新品本・書籍:川口久雄【著】:ブックオフオンライン

 

本川口久雄「漱石世界と草枕絵」(岩波書店 1987)

 

 

<目次>

1 序曲
2 大和絵でかいた『草枕絵』の出現
3 松岡映丘と新興大和絵のグループ
4 草枕絵巻の制作と構成
5 草枕絵の絵解き(1)
6 草枕絵の絵解き(2)
7 草枕絵の絵解き(3)
8 漱石の英国体験の謎
9 別乾坤への旅
10 ミレーのオフェリア
11映丘の湯煙り女

 

 

<著者>

ジーンズ川口久雄(1910-1993) 日本の国文学者。

 

 

冒頭に置かれた文章は、こう始まる。

 

   メモ・・・『草枕』は、たしかに普通の小説とはちがっている。西洋にもないし日本にもないような小説。人生の苦を忘れさせ、人間に慰みを与えてくれるもの、漱石自らは「美しい感じが読者の頭に残りさへすればいい」といった。『草枕』を読むと、青春の時のほのぼのとしたあこがれごころがよみがえる。忙しい生活のなかでも、ひとときの心のくつろぎが与えられる。

 匂やかなもの、ほっかりした気分、微光、水蒸気、ほばりの声、すみれの花、散りかかる山桜の花、白雲の湧く桃源郷、壺中にかがやく日月のもと、ささやかな温泉場の天地で「たまたま一美人にめぐりあって、これを観察する」という筋の小説。それは、まさに前人の試みたことのない創意にみちた作品、いわば文字で構築した美意識の見事な城。その文学空間から匂い出す「美しいもの」を、柳田国男の愛弟画家松岡映丘は絵絹の上から光と影による映像によってほのぼのと輝き出させるのだ。明治・大正の二人の巨匠の創意工夫の息づかいがぴったり合って、『草枕絵巻』が制作された。・・・(p.1)

 

 

   草枕絵巻|奈良国立博物館

 

 

『草枕絵巻』三巻は、奈良国立博物館蔵である。

 

 

 

 

なお、こんな動画も作成されている(表紙のみ紹介)。

 

 

 

〇0376 [草枕抄 三島筆] 村上三島 3冊組 桐箱入 限定500部 昭和58年 状態良好_2

 

草枕抄

クサマクラショウ

夏目 漱石著 ; 村上 三島筆

 

東京 : アート・プロデュース, 1983

 

 

こんな箱入りの巻物も出ている。。。びっくり

 

 

なお、注にこう記されている・・・右差し

 

   メモ・・・芳賀徹が指摘するように、『草枕』の画工の脳裡の空間は、東西にわたって相当にひろい、世界広しといえども二十世紀のごくはじめに、芦雪とミレーが、ターナーと応挙が、池大雅とレッシングが、あるいは王維とスウィンバーンが、一人の頭脳のうちに連鎖して同時に浮かぶということは、ただこの日本においてだけ、それもこの漱石においてしかありえなかったことはたしかだ(『絵画の領分』小道具としての絵画、362頁。取意。日本文学研究資料叢書、夏目漱石Ⅱより再録)という。・・・(p.108)