「クレンペラー 指揮者の本懐」(春秋社 1998)という本がある。
シュテファン・シュトンポア編になる、素顔と肉声が収録された興味深いもので、クレンペラーの芸術を味わう上でも、参考となる発言が収められている(野口剛夫訳)
ドイツの文豪トーマス・マンの「ファウスト博士」第34章で、主人公の作曲家レーヴァーキューンの作品「黙示録」の指揮者として、クレンペラーの名が登場する・・・知らなかったなあ(^^)
オットー・クレンペラー(1885-1973)は、20世紀初頭から芸術活動を始め、1920年代には、オペラ革命とでも言えるほどの活動をしていた気鋭だった!
彼の演奏は・・・明晰な構想と根源的な舞踏の感覚が・・・結びあっていた。
ヴィーラント・ワーグナーは、こう語っている。
この本は、大きく5部に分かれ・・・
自叙伝的文章の
第1部「わが人生行路」に始まり、同時代の音楽などを対象とした
第2部「音楽と音楽家」、
第3部では、演奏会レパートリーにおける重要な作品(マーラーの交響曲が中心)の演奏体験が語られ、
第4部では、「ベルリン・クロル歌劇場」での批判や論争が、
第5部「オペラについて」では、古典的レパートリーの重要な作品についての洞察と経験が報告されている。
ベートーベンのチクルス(全曲演奏・録音)について、彼は長い人生の間に次の8回にわたって指揮している!
1933年ロスフィル、1935年ミラノ・スカラ座、1936年シュトラースブルク、1947年ブダペスト、1949年アムステルダム、1957年と59年ロンドン、そして、1960年ウィーン・・・
この中で、最後となる手兵フィルハーモニア管とのウィーン・ライヴは、CDもリリースされていて、聴いたことがある!
この本には、たくさんの写真が鏤められており、時代時代におけるクレンペラーの素顔に接することができるのが嬉しい!
巻末には、年譜と詳細なディスコグラフィが挙げられていて、手元のディスクを確認するには打ってつけだ(^^)
<クレンペラーの遺産を聴く!> ・・・ 20 (インテルメッツォ)