やっと「トリスタン」の毒から解放されて・・・![]()
さて、ワーグナー楽劇の6作品目は・・・
荘重に鳴り響くハ長調の和音で開始される前奏曲が有名な「ニュルンベルクのマイスタージンガー」だ!
ここでは、手元にある6種の全曲録音から、3つを選んで聴いてみたい。
まずは、カラヤンの新旧録音からだ(ライヴとスタジオ録音)
カラヤン&バイロイト祝祭管(1951L)
1951年にバイロイト音楽祭が戦後初めて再開された時に、EMIが収録したライヴ録音である。
戦後最高のザックス歌いの一人オットー・エーデルマンを中心としたキャストで、若きカラヤンの颯爽とした音楽運びが心地いい。
エーデルマン、ハンス・ホップ(ヴァルター役)、シュワルツコップ(エーファ役)の面々は、同じ年のバイロイト再開の伝説的公演となったフルヴェン指揮による「第九」でも独唱陣を固めていた。
いわばこの時期を代表するソリストたちである。
なお、エーリヒ・クンツがベックメッサー役を務めているのも面白いし、ゲルハルト・シュトルツェ(モーザー役)の名も見える。シュトルツェは、後にカラヤン盤でミーメを歌っていて(「ラインの黄金」)、性格俳優的な個性を放っていたものだ。
第3幕第4場のエーファらの五重唱はとても美しい!
崇高さと諦念のこもった気高さが綯い交ぜになった、この作品随一の場面であろう。
なお、それに続く第5場は全編聴きもので、マイスタージンガーたちの登場から大団円まで、これぞドイツが誇るドイツ・オペラの真骨頂とさえ思わせるところだ!
まだオケが鳴っている間から盛大な拍手が沸き起こるのもライヴならではの感動場面である。(267"37)
敗戦後に再開された音楽祭の喜びがひしひしと伝わってくるようだ。
第2幕以降は音質も良く、モノラル・ライヴながら聴きやすくて、バイロイトの客席にいるような雰囲気を味わうことができる(NAXOS盤)。
<ワーグナー生誕200周年!> ・・・ 16 (「マイスタージンガー」 1 )