「 水音ちゃん!」
沢渡邸に戻ったちみみくを待っていたのは、
全身が傷だらけになり、重傷を負った水音だった。
お気に入りと言っていたマキシスカートも、ぼろぼろになっている。
傍らには、大柄の男性が一人、気絶していた。
「 ち…、ちみちゃん?」
ちみみくの声で気づいた水音が、
弱々しい口調で、彼女に応える。
「 何が、あったの?早く、病院に!」
ちみみくは、ケイタイを取り出し、
救急車を呼び出した。
「 もしもし…?」
電話をかけるちみみくに、水音は促すように、
「 それ…。」
視線だけで、水音はあるものを追う。
ちみみくも、それに合わせて辿っていくと、
一個のヘッドセットが、転がっていた。
「 あれは!」
「 そう、沢渡せんせのヘッドセット…。」
ちみみくは、一通り、病院に場所を告げると、
ヘッドセットを手に取った。
「 それね?すごいんだよ?魔法が使えたの。ここで。」
「 えっ!」
改めて、そのヘッドセットをよく視る。
これさえあれば…。
「 ただい…。」
沢渡敦彦が、そこに帰ってきて、その場の惨状に驚いてしまう。
「 先生…。」
「 水音くん。ちみ!何が?」
水音とちみみくは、沢渡に茉莉歌が狙われたことを告げた。
「 な…、んだって!」
沢渡は、駆け出そうとするが、二人を置いてはいけない。
ましてや、どういう訳か、一人は重傷だ。
その彼も、ヘッドセットに気づいて、水音に問うた。
「 使ったのか?あれを?」
「 ええ、ごめんなさい。勝手に…。」
「 いや、君が助かったのなら、それでいい。ちみ。」
「 なぁに?」
「 それを持って、茉莉歌の元に。俺は、この子を見ている。」
「 ちみでいいの?」
「 ふふふ…。俺が、君の正体に気づいてないとでも?」
「 えっ?」
「 君以外に適任がいない。すまない、本当は…。」
ちみみくは、じっと、それと篤彦と見比べて、
決心したかのように、立ち上がる。
「 うん、まかせて。篤彦お父さん。茉莉歌ママは、ちみが助けるよ!」
ちみみくは、茉莉歌と分かれた場所に、
ヘッドホンを片手に、駆け出していった。
【 つづく 】
*次回更新は、11月5日の18:00~20:00の間になる予定です。