ご無沙汰してます。雨乱です。
最近は新たな職場で楽しく仕事させてもらってます。いい人たちばかりで涙出てくるです。
さて今日は少しポケモン絡みの昔話でも、と。
遡ること約25年前。
私が幼稚園時代、仲のいい男の子がいました。
名前はコウキくん。よく一緒にゲームしたり、ベイブレードなんかで遊んだりしてました。
やんちゃな他の友達よりも大人しくて少し達観したような子だったのが印象的。サッカー少年で運動神経も抜群でした。実にうらやましい。
で、そんな彼とよく遊んだのがポケモンでした。
我々の年代としては初代・赤緑世代が直撃で、アニメ効果もあって一大ブームを巻き起こしたポケモン。今でも続く超人気コンテンツですね。
私もコウキくんもその例に漏れずがっつり遊んだものです。ちょっとスーパーに出かければ指人形やらポケパチを親にねだったり…きっとどこのご家庭でも見られた光景だったと思います。
赤緑から金銀になって小学生になっても、私もコウキくんもずっとポケモンで遊び続けていました。
この頃の私のエースポケモンは赤バージョンで育てたカメックス、コウキくんは銀バージョンで育てたルギアでしたね。よく戦わせていましたっけ…種族値差でボロ負けばかりだったけど
余談ですがコウキくんは【王道なカッコイイもの】が好きでした。ポケモンではルギア、ベイブレードではドラグーン、ワンピースではルフィが好きな、割と分かりやすい趣味をしてました。私はひねくれてたのであまり王道なカッコ良さは求めなかったタイプなのでゲームしててもキャラの取り合いとかにはなりにくかった記憶があります。
そしてルビーサファイア世代。
2002年発売の新シリーズです。ゲームボーイからゲームボーイカラーに移ってグラフィックやシステムも大きく進化した世代でもあります。
私はパッケージのポケモンが好みだったのでサファイアを、コウキくんはルビーを購入。
サファイアのパッケージはカイオーガ。水タイプの強力な伝説ポケモンですね。見た目はシャチをモチーフにしてるそうです。
ルビーのパッケージはグラードン。こちらは地面タイプの伝説ポケモン。大きな体は力強く迫力がありますよね。
ここでようやく名前を出せました、グラードン。
何を隠そう今日の記事はこのグラードンがもう1人の主役なのです。
先程も書きましたが私はカイオーガの見た目を気に入ってサファイアを選んだわけで、対のバージョンでのみ出現するグラードンとは接点がないのでは、と思われる方もいるかもしれません。
ところが、あるんです。
結論から書きますと、私はコウキくんのルビーバージョンで捕まえたグラードンを持っているんです。
ある日、コウキくんはポケモン図鑑完成のため最初に選んだキモリ以外の最初のポケモン…俗に言う御三家ポケモンが欲しくなり、一度クリアしたソフトから大事なポケモンを他のソフトに避難させソフトのリセットを繰り返すことを思いついたそう。リセットマラソンというやつですね。
ルビーサファイア発売当時はメタモンが手に入らなかった環境で御三家を気軽に量産できず、私もアチャモを渡せなかったので「こいつ頭良いな…」と幼心ながらに感心したものでした。
そしてとりあえずデータ消去のために一時的にコウキくんのポケモンを私のソフトに移動させました。
コウキくんがストーリークリアまで共に旅したジュカインやグラードンを預かって慎重に他のボックスに移動させた覚えがあります。絶対無くしたらダメだ!と真剣だったんでしょうなァ
ところがコウキくんは「せっかくデータ消してアチャモやミズゴロウ貰うなら♀になるまで粘る!」と謎に火がついてしまったので更に時間がかかり、その日はそのまま私のソフトで預かることになったのでした。
と思いきや、気が変わったのかアチャモとミズゴロウを粘るのは面倒になったため再び普通にストーリーを進め始めてしまったらしく、とりあえず以前のデータのエースポケモンであるジュカインのみコウキくんに返してグラードンは「また今度返してもらうかな〜」とあまり気にしてなかった。哀れグラードン。
その数ヶ月後、コウキくんが家の都合で引っ越すことになってしまった。
幼稚園からずっと一緒に遊んできた親友が遠くに行ってしまう…という事実はゆっくりと、でも確かに寒くなっていくような未知の感覚でした。
最後に何して遊ぼう、なんて色々と考えましたが結局ポケモンで遊びました。
対戦ではほとんど勝ててなかったけど最後くらいは勝ちたい!と思い挑みましたが、なんとコウキくん、改造ソフトで獲得した聖なる炎持ち色違いエンテイを使い私から勝利をもぎ取っていったのでした。
お前ら人間じゃねぇ!
今でこそ聖なる炎エンテイは正規ポケモンですがルビーサファイア世代では習得できませんでしたのでね…改造ダメ、ゼッタイ。
負けはしたけどやっぱりコウキくんと遊ぶのは本当に楽しかったし熱くなれた。楽しかった時間はあっという間に過ぎ、気がつけば帰る時間になっていました。
必ずまた会おうね!と約束して暫しのお別れ。
お別れしてから、グラードンを返すのを忘れてたことに気づくのでした。哀れグラードン。
その次に会ったのは4年後。中学3年生の冬でした。
幼稚園の頃に埋めたタイムカプセルを開封するのに久しぶりにコウキくんと会いました。
しばらく見ない間に随分と背が伸びてやはりクールな印象でした。コウキくんのお母さん曰く反抗期真っ最中で喧嘩したり万引きしたりやんちゃの限りを尽くしてたらしいですが…
お互いの学校の様子とか勉強がどうとか受験がどうとかの話で盛り上がって、すごくよく知ってる人なのに知らない話ばかりでなんだか不思議な気分でした。
これからもちょくちょく会いたいね〜という話をしたのも覚えてます。
お察しの通りお互いの口からグラードンのグの字も出てきませんでした。哀れグラードン。
その数ヵ月後に高校受験も無事に終わりお互いにお疲れ様と少し会って話したりなんかして、コウキくんも携帯を買ってもらったので連絡先を交換しました。
もちろんグラードンは((ry
しかしそれが最後にコウキくんを見た日になりました。
2018年初夏。
地元の母から連絡がきました。
「コウキくんのお母さんから連絡あって、コウキくんが交通事故で亡くなったんだって…」
全く実感がわかなかった。
高校時代にはたまに連絡取ってたりはしたけど、直接見たのは10年前だぞ…と。
今覚えば我ながらなんて薄情な考えなんだろうと思う。でも、それくらい実感が無かった。
もうこの世のどこを探してもコウキくんには会えない。
まず一番最初に思い出したのがグラードンだった。
当時はあれだけ忘れ去られてたポケモンだったのになぜ真っ先に思い出せたのか。
簡単な答えだった。
私は今でもポケモンで遊んでいるからだった。
いつかまた懐かしんでポケモンで遊ぶ機会があるかもしれない。ならば新世代のポケモンをやるだろうとルビーサファイアからダイヤモンドパール、ブラックホワイト、XY…と様々なソフトを経由して最新の環境までグラードンを連れてきていました。
ルビーサファイアから勝手に世代をまたいで連れてきたグラードンは未だに健在。
しかし、このグラードンにはもう帰るべき場所が無い。
もうコウキくんはいない。
そんな考えがようやく、私に親友の死を実感させたのでした。
思い出の品とか形に残るものでは無いし、たかだか一ゲームのデータに過ぎないかもしれない。
でも、そのグラードンは私の親友が捕まえて一緒に旅した思い出が残っている。私は、そんな思い出をただのデータとして扱いたくないんだろうなと思う。
私がポケモンを遊び続けていく限り、このグラードンとの思い出は消えないし、新しい思い出も増えていくだろうと信じてます。
それがゲーマーとして、コウキくんの親友としての弔いだと思ってます。
そして現代。ソードシールド。